ソフォス、DLP機能を追加した企業向け統合セキュリティソフト新版
ソフォス株式会社は10月20日、エンドポイント向け統合セキュリティソフトウェアの新版「Sophos Endpoint Security and Control 9」を発表した。Windows 7やMac OS X Snow Leopardといった最新プラットフォームに対応したほか、デバイス制御機能の強化、DLP(データ流出防止)機能の追加などが行われている。また同時に、メールセキュリティアプライアンス向けの新ソフトウェア「Sophos Email Security and Data Protection」も発表された。いずれも、同日より販売が開始される。
新機能と強化機能 |
代表取締役社長の堀昭一氏 |
Endpoint Security and Controlは、ウイルス対策機能を中核とした統合セキュリティソフトウェア。スパイウェア対策、パーソナルファイアウォール、HIPS(ホスト型IPS)、アプリケーション制御、ブラウザ脅威対策など、さまざまな機能を1つのソフトウェアに統合している。また、管理ツール「Enterprise Console」による統合管理機能を備えており、さまざまな機能を一括して管理できる点も強みという。
新版では、統合機能の中にDLP機能「Data Control」を取り込んだ点が特徴。Data Controlでは、ソフォスの研究機関「SophosLabs」より定期的に提供されるContent Control List(CCL)によって、「5件以上のクレジットカード番号とメールアドレスを含むファイル」といった、一定量の個人が特定される条件を検知し、メール添付時やWebブラウザからのアップロード時などにブロックすることができる。また、CCLはユーザーによるカスタマイズにも対応し、各企業に特有の条件を盛り込めるため、自社商品コード、価格表といった自社資料の漏えい防止にも効果があるとのこと。
なお、DLP機能は、HDDの暗号化機能などを備えた上位版「Sophos Endpoint Security and Data Protection」の新版にも盛り込まれている。これについて、代表取締役社長の堀昭一氏は「情報漏えいのうち意図的なものは実は1割に過ぎず、残りは事故によって漏えいしているという調査結果がある。意図的な漏えいだけでなく、PC置き忘れなど、事故からの漏えいも防ぐため、当社では暗号化のUtimacoを買収。自社のソフトとのインテグレートによって、情報漏えい防止とマルウェア対策の統合に成功した」と述べ、包括的な機能を同一のソフトで提供できる強みをアピールした。
統合という点では、Enterprise Consoleについても強化が図られており、ルートキット対策機能が統合管理可能になったほか、新たな配信ツール「Sophos Update Manager」を集中管理することもできる。またEnterprise Consoleでは、3種類の役割による階層管理機能の追加、統合レポート機能の強化なども行われている。
1ユーザーあたりの価格は、100ユーザー規模の場合、Endpoint Security and Control 9が5200円/年、Endpoint Security and Data Protectionが6240円/年。
Sophos SPX Encryptionの概要 |
一方のSophos Email Security and Data Protectionについては、PDFをコンテナとして用いるメール暗号化機能「Sophos SPX Encryption」を搭載した。送信側が通常のメーラーからメールを送ると、ゲートウェイが全部、あるいはポリシーに従って一部のメールを暗号化し、受信者へ送信する。PDFを用いるため、受信側に特別なソフトウェアのインストールは不要。復号用のパスワードは、送信者が受信者に別途送信する一般的な方法に加えて、受信者用ポータルから受信者自身が設定する機能も備え、柔軟な運用が可能になっている。暗号化は128ビットのAESを用いており、添付ファイルと本文の双方を暗号化できる。
1ユーザーあたりの価格は、100ユーザー規模の場合、4540円/年。メールセキュリティアプライアンスのアドオンとしての位置付けになるため、利用には「ES1100」「ES5000」などのアプライアンスが別途必要となる。なお、PDF暗号化機能を持たない従来製品「Sophos Email Security and Control」も引き続き提供するが、同製品の既存ユーザー向けには、Email Security and Data Protectionへのアップグレードパスを用意する。
またソフォスでは、企業のニーズをより深く満たすために、プリセールスやテクニカルサポート、コンサルティングなどを行う「技術本部」を新設し、活動を強化する。特にエンドポイント向けについては、「いろいろな製品を使ってセキュリティ対策をするケースが多々あるものの、当社では1つのライセンス、製品ですき間のないセキュリティ対策を実現可能。管理面でもTCO削減に貢献できる、シンプルな製品であり、ライセンスを提供している」(営業・マーケティング本部長の牛込秀樹氏)とのメッセージを発信し、企業への訴求を図る意向である。
2009/10/20 17:30