東京エレクトロンデバイス、大規模向けDWHエンジンの販売でTISと代理店契約

国内での「Greenplum Database」の販売活動を強化

 TIS株式会社と東京エレクトロンデバイス株式会社(以下、TED)は10月27日、TEDが国内総販売代理店を務める米Greenplum社のデータウェアハウス用エンジン「Greenplum Database」について、同日付けで販売代理店契約を締結したと発表した。

TED 取締役執行役員CN事業統括本部長の天野勝之氏

 この発表にあわせて行われた記者説明会で、TED 取締役執行役員CN事業統括本部長の天野勝之氏は、TISとの販売代理店契約に至った経緯について、「当社では、米Greenplum社と約1年前に国内総代理店契約を結び、今年春ごろから本格的にGreenplum Databaseの販売を開始した。多くの顧客に販売提案を行う中で、今まで取り扱ってきた輸入商品と比べても非常に注目度が高い商品であることを実感している。そして今回、TISが推進するデータウェアハウスビジネスにおけるクラウド戦略とGreenplum Databaseのビジネス戦略の方向性が合致し、TISとの販売代理店契約が実現した」と説明した。

 Greenplum Databaseは、オープンソーステクノロジーを基盤としたデータウェアハウス用データベースエンジン。PostgreSQLにシェアード・ナッシング型の超並列処理技術を実装し、必要に応じて汎用のPCサーバーを増やすだけでシステム全体の処理性能を向上できる点が大きな特徴。これにより、従来のデータウェアハウスで課題となっていた初期コスト、運用コストを削減し、低TCOでのデータウェアハウス構築を可能としている。

米Greenplum社アジアパシフィック担当副社長兼責任者のキース・バッジ氏

 米Greenplum社アジアパシフィック担当副社長兼責任者のキース・バッジ氏は、Greenplum Databaseの製品戦略について、「Greenplum Databaseは、膨大なデータ量を扱うエンタープライズ企業向けに、柔軟な拡張性を備えた高性能データウェアハウスを低コストで実現する次世代のデータウェアハウスエンジン。すでに世界市場では、幅広い業種の100社近いエンタープライズ企業に導入実績があり、第1のミッションは達成したと考えている。今後は、第2のミッションとして“エンタープライズデータクラウド”のコンセプトを掲げ、クラウドコンピューティング環境において高性能データウェアハウスの提供を目指していく」との方針を述べた。

 また、日本市場でのビジネス戦略としては、「国内では、現在1社が導入を終えて本格稼働しているが、今年末までにさらに3社以上の新規顧客を発表できるだろう。2010年には、パートナーや顧客をサポートする拠点として、営業部隊と技術サポート機能を備えた日本支社を設置することを計画している。これにより2010年中に、10社の新規顧客を開拓したい」と意欲を示した。


シェアード・ナッシングによる大規模データ処理へのアプローチGreenplum DatabaseのアーキテクチャTEDが開設するグリーンプラム検証センター

 今回、TEDと販売代理店契約を締結したTISでは、Greenplum Databaseを既存顧客向けに提供していくほか、金融・カード・通信、ネット産業など大量データを保持する業界に向けて積極的に提案していく方針。また、得意領域であるERPなど基幹系システムとの連携による経営可視化ソリューションや、CRMと連携して高度なリコメンデーションを実現するソリューションなどを展開することで、Greenplum関連ビジネスにおいて、今後3年間で33億円の売り上げを目指す。

TIS 産業統括本部 サービス&コミュニケーション事業部 執行役員事業部長の後藤康雄氏

 TIS 産業統括本部 サービス&コミュニケーション事業部 執行役員事業部長の後藤康雄氏は、「Greenplum Databaseのもつコストパフォーマンスの高さ、柔軟かつ高い拡張性、コモディティなプラットフォームといった特徴と、基幹系やCRMの構築および巨大データベースの構築運用を手がけてきたTISの強みを生かすことで、顧客のビジネス規模や目的に応じて最適なソリューションを提供できると考えた」と、Greenplum Databaseの位置づけを説明するとともに、3年間で33億円を目指すGreenplum関連ビジネスとして、「コストパフォーマンスを訴えるDWHプラットフォームビジネスを中心に、基幹系やCRMのノウハウを連携したDWHソリューションビジネス、クラウドサービス化を提案するDWHサービスビジネスの3つを軸にビジネス拡大に取り組んでいく」考えを述べた。

 TISを始めとしたパートナー向けのサポート体制について、TED CN事業統括本部プロダクト推進部 部長の上善良直氏は、「技術サポートでは、パートナーやエンドユーザー向けの技術トレーニング、エンドユーザー向けのハンズオンセミナー、各種Greenplum関連のプロフェッショナルサービスなどを提供している。これに加え、11月には新宿オフィス内にGreenplum POCセンターを開設する予定で、Greenplum Database導入に向けての検証サービスを提供する。このセンターによって、導入検討時に必要となる性能評価や、システムサイジングを支援していく」としている。このほか、営業面のサポートでは、セミナーやカンファレンスなどの独自マーケティング活動、パートナー向けのマーケティング支援、営業トレーニングを実施していくという。





(唐沢 正和)

2009/10/27 16:46