リコー、2009年度上期決算は減収減益も、利益は7月公表値を上回る


2009年度上期連結決算
取締役専務執行役員・三浦善司氏

 株式会社リコーは10月27日、2009年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比7.2%減の9887億円、営業利益は78.5%減の139億円、税引前利益は88.5%減の67億円、当期純利益は94.7%減の18億円となった。

 同社取締役専務執行役員の三浦善司氏は、「7月公表値に比べて、営業利益(公表値は110億円)、税引前利益(同60億円)、当期純利益(同10億円)は、いずれも上回っている。また、マーケットは第1四半期よりも、第2四半期は上向いていると感じられる。為替の影響を考慮すれば、売上高は1.2%増になっている」などとした。

 ICONによる550億円の増加をはじめとするM&A効果による販売増加で43億円、原材料で約40億円を含むコストダウン効果で54億円、作らずに作るというシミュレーション型の開発手法の導入による研究開発費の削減で72億円の効果があったが、為替の影響で249億円、ICONの買収に伴う一時費用などを含むその他経費の影響が431億円、営業外損益では10億円のマイナスの影響があった。

 三浦専務執行役員は、「ここ数年にわたり取り組んできた構造改革では、この上期だけで、170億円程度の効果が出ている」とした。

 プロダクトプリンティング分野においては、Pro1107などの新製品を国内外で投入。ここを期待の分野とする一方、プリンタでは国内外でA4サイズプリンタを投入。MFPではカラーリサイクル機を初めて日本で投入するなどの取り組みを行ったほか、タイにおける生産拠点であるRicoh Manufacturing Thailandを9月から操業。欧州では、マネージド・プリンティング・サービス(MPS)による大手顧客の獲得、北米で展開していた文書管理アプリケーションである「Ridoc GlobalScan」を9月から全世界に展開。日本においては、日本IBMと今年7月からクラウドコンピューティングで協業を発表するなどのトピックスがあったという。

 地域別では、国内売上高は前年同期比12.8%減の4216億円、海外売上高は2.6%減の5671億円。海外売上高は為替の影響を除くと、前年同期比12.8%増となっている。

 海外では、米州において景気低迷や為替の影響を受けたものの、前年度に実施したM&Aによる販売体制の強化や、販売チャネルの拡大などが市場の縮小をカバーし、前年同期比28.9%増となる2821億円。為替の影響を除くと43.5%増という大幅な伸び。だが、営業損失はマイナス83億円の赤字と、前年の52億円の赤字から増加した。

 欧州では、売上高が20.8%減の2283億円、営業利益が42.3%減の116億円、中華圏・アジアなどのその他地域では売上高が19.5%減の1189億円、営業利益が28.0%減の59億円となった。


日本・米州・欧州など、所在地別の業績

分野別売上高

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年同期比4.9%減の8751億円、営業利益は47.5%減の515億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比8.5%減の7450億円、ネットワークシステムソリューションが23.1%増の1300億円。

 「画像&ソリューション分野の売上高は、為替の影響を除くと4.6%増だが、さらにそこからICONの1200億円の影響を除くと、前年同期比9%減となっている。日本でも厳しく、国内の売上高は10.7%の落ち込みとなっている。だが、営業利益は昨年度の第4四半期を底に回復している」

 画像ソリューションは、米州におけるM&Aによる販売体制の強化が寄与し、PPCおよびMFPを中心に売り上げが増加。MFPの伸び率は、前年同期比2%増、そのうちハードは8%減、ノンハードは11%増。プリンタの伸び率は3%減、そのうちハードが6%減、ノンハードが2%減。カラー化率はMFPで55%、プリンタで27%になったという。

 ネットワークシステムソリューションでは、米国の直販体制の強化が寄与したほか、ITサービスやソリューションも貢献しているという。

 一方、産業分野は、売上高は24.5%減の512億円、営業損失は前年同期の7億円の黒字から、マイナス7億円の赤字。半導体事業、サーマル事業および電装ユニット事業の売り上げが国内外ともに減少した。

 その他分野の売上高は、20.2%減の624億円、営業損失は前年同期の15億円の黒字から、10億円の赤字となった。デジタルカメラの売り上げが国内外ともに減少したという。その他分野では、昨年度第3四半期から赤字が続いている。

 デジタルカメラでは、GR Digital IIIに加えて、CX2を投入。「デジタルカメラそのものは大変評判がいいが、売り上げにはなかなか結びつかない」などと語った。


画像&ソリューション分野産業分野その他分野

通期業績見通し

 なお、同社では、2009年度の業績見通しを一部修正した。

 売上高の前年比1.3%減となる2兆650億円の計画は修正しないが、国内売上高は7月公表値に比べて300億円減の8650億円(前年同期比7.8%減)、海外売上高は300億円増の1兆2000億円とした。

 営業利益は前年比46.3%減の400億円、税引前利益は3.0%減の300億円、当期純利益は53.1%増の100億円とし、7月公表値から修正はない。

 「底打ち感は感じられるものの、まだまだ不透明要因があり、慎重に判断した。構造改革などの目標をクリアすれば、いい数字に結びつくと考えている」として、コストダウン効果で100億円、研究開発費の削減で104億円などの効果を見込んでいる。ICONによる販売増加の効果として年間では753億円を見込んでいる。





(大河原 克行)

2009/10/28 00:00