日立、2009年度上期連結決算は減収減益ながら計画よりも上ぶれに


 株式会社日立製作所は10月29日、2009年度第2四半期(4~9月)連結決算を発表した。売上高は前年同期比22%減の4兆1249億円、営業損益は前年同期の1970億円からマイナス247億円に、税引前損失は前年同期の1381億円からマイナス1101億円に、当期純損失は前年同期の642億円からマイナス1388億円となった。

 2009年7月から9月までの3カ月間では、売上高は前年同期比19%減の2兆2320億円、営業利益は前年同期比78%減の258億円、税引前損失は前年同期比で838億円悪化のマイナス293億円、当期純損失は前年同期比332億円悪化のマイナス505億円となった。


2009年度第2四半期連結決算国内・海外売上高

執行役副社長の三好崇司氏
事業部門別売上高
事業部門別営業損益

 同社執行役副社長の三好崇司氏は、「各国の経済政策の影響により、自動車やエレクトロニクス、電機が計画よりも上ぶれした。また、原価低減を前倒しで推進したことも効果があった」と、回復基調にあると述べた。

 情報通信システムは、売上高が前年同期比19%減の1兆367億円、営業利益が前年同期比63%減の270億円。内訳は、ソフトウェア/サービスの売上高が、前年同期比13%減の5297億円。そのうち、ソフトウェアが前年同期比12%減の699億円、サービスが前年同期比13%減の4598億円。ハードウェアの売上高は前年同期比24%減の5069億円。そのうち、ストレージは前年同期比27%減の2906億円、サーバー(汎用機とUNIXサーバーなど)が前年同期比29%減の270億円、PC(ビジネスPCとPCサーバーなど)が前年同期比32%減の134億円、通信ネットワークが前年同期比11%減の665億円となっている。

 「景気低迷などの影響により減収減益となったが、原価低減効果などで営業利益は上ぶれている。下期については、第3四半期よりHDDが黒字転換する見通し。IT投資に関しては、回復が弱いものの、上期と比べて改善する見通し」(三好氏)とした。

 電子デバイスは、売上高が前年同期比34%減の4203億円、営業損益はマイナス38億円。「厳しい状況にあるものの、液晶ディスプレイに関しては黒字転換した。下期は、半導体装置がゆるやかに回復する見通し。ディスプレイは、差別化・高付加価値で対応していく」(三好氏)とした。

 デジタルメディア・民生機器は、売上高が前年同期比25%減の5193億円、営業損益はマイナス91億円。「薄型テレビの構造改革効果のほか、エコポイントの効果により、第2四半期は黒字転換した。下期については、引き続き構造改革を継続し、黒字化を目指す」()三好氏とした。

 このほか、電力・産業システムは、売上高が前年同期比15%減の1兆4355億円、営業損益がマイナス226億円。高機能材料は、売上高が前年同期比37%減の5788億円、営業利益が64億円。物流およびサービスが、売上高が前年同期比21%減の4549億円、営業利益が35億円。金融サービスは、売上高が前年同期比24%増の2350億円、営業利益が35億円となった。

 また、同社では、2009年度の通期業績見通しを修正した。売上高は、5月12日の公表値と比べて2000億円減少の8兆7000億円、営業利益は500億円増加の800億円、税引前損失は800億円増加のマイナス900億円、当期純損失は400億円増加のマイナス2300億円。

 「第3四半期は上ぶれする見通しがはっきりしてきているが、第4四半期は不透明な状況なので、年度計画は厳しくみている。引き続き構造改革を進め、体質強化、着実な事業体制の強化に取り組んでいく」と述べた。


2009年度通期業績見通し事業部門別の通期売上高見通し





(福浦 一広)

2009/10/30 00:00