アドビ、スマートフォンからもアクセス可能な「LiveCycle ES2」

PDFポートフォリオなどAcrobat 9の新機能にも対応

米Adobe Systems、エンタープライズマーケティング担当バイスプレジデントのジョン・ナイトリー氏(左)と、米Adobe Systems、エンタープライズビジネス プラットフォーム担当 シニアテクニカルエバンジェリストのグレッグ・ウィルソン氏(右)

 アドビシステムズ株式会社は11月5日、「Adobe LiveCycle Enterprise Suite 2(以下、LiveCycle ES2)」を発表した。2009年中の発売を予定している。

 LiveCycle ESは、企業や政府機関におけるビジネスプロセスの合理化および自動化を支援する統合製品。今回発表された最新版では、より直感的なユーザーエクスペリエンス、プロセスの自動化、顧客とのコミュニケーション支援、の3点の機能が強化されている。

 米Adobe Systems、エンタープライズマーケティング担当バイスプレジデントのジョン・ナイトリー氏は、「エンタープライズアプリケーションは、データモデル中心に構築されたため、ユーザーインターフェイスなどエンドユーザーに対しては不十分なシステムになってしまっている。コンシューマユーザーでもあるエンドユーザーは、モバイルやSNSなどさまざまな体験をしており、エンタープライズアプリケーションに対しても同じような体験を期待している。今回発表したLiveCycle ES2は、エンドユーザーに対してさまざまな体験を与えるものになっている」と、Flashを最大限に生かすことで、エンドユーザーがより利用しやすい環境を構築できるように進化したと説明する。

 直感的なユーザーエクスペリエンスでは、Flashプラットフォームを生かしたことで、ユーザー中心のアプリケーションを実現。iPhoneやWindows MobileなどのスマートフォンからLiveCycleのビジネスプロセスにアクセス可能な「LiveCycle Workspace for Mobile」、デスクトップからLiveCycleサービスに容易にアクセスできるAIRベースの「LiveCycle Launchpad ES2」などの新機能が用意されている。RIA(リッチインターネットアプリケーション)サービスとして新たに用意されたのが、「LiveCycle Mosaic ES2」。Flexベースのアプリケーションをタイル状に自由に配置できるもので、利用者ごとに自由にカスタマイズした画面を用意できるのが特徴。

 開発者向けの新機能としては、FlexベースのアプリケーションからRIAサービスを検知するFlash Builder 4用のプラグインを用意。インタラクションデザイナーへの利便性を向上している。また、LiveCycleでよく使われる特定のビジネスプロセスをパッケージ化したものを無償で提供。これを利用することで、より短期間での実装が可能になるとしている。このほか、データモデリング向けのApplication Modeling Technologyなども新たに用意されている。

 顧客とのコミュニケーション支援として新たに用意されたのが「LiveCycle Collaboration Service」。ホスト型のサービスで、複数ユーザー間でのチャットやビデオなどの機能を提供するもの。カスタマーサポートなどで利用することで、顧客と企業のコミュニケーションを支援できるとしている。

 ドキュメントサービスに関しては、ウィザードベースでデータキャプチャが可能な「Form Automation」、Acrobat 9でサポートされたPDFポートフォリオやFlashコンテンツ埋め込み機能への対応、Microsoft Officeファイルまで対象を拡大した機密管理機能、などの機能強化が行われている。プロセス管理機能では、エンドユーザー自身でレビューや承認ワークフローを設定できるビジネスプロセスマネジメント機能が新たに用意された。

 米国のみではあるが、クラウド対応サービスも新たに用意。Amazon EC2上でLiveCycleの開発が可能なサービスで、2010年にはクラウド上で本番環境として利用できるように機能を拡張するとしている。

 2010年に発表を予定しているFlash Player 10.1では、モバイル対応機能が強化されることが発表されているが、「LiveCycle ES2では、サポートはしていないが、携帯電話に対応することでいろいろなことができると期待している。LiveCycleの次のバージョンではサポートしていきたい」(米Adobe Systems、エンタープライズビジネス プラットフォーム担当 シニアテクニカルエバンジェリストのグレッグ・ウィルソン氏)と、次期バージョンでサポートする考えを示した。





(福浦 一広)

2009/11/6 16:20