ヴイエムウェア、デスクトップ仮想製品の最新版「VMware View 4」

帯域幅にあわせて最適な画像を転送する「PCoIP」を実装

 ヴイエムウェア株式会社は11月9日、デスクトップ仮想化専用ソリューションの最新版「VMware View 4」を発表した。11月20日より販売を開始する。

 VMware Viewは、クライアントPCのデスクトップ環境をデータセンター側で仮想的に一元管理するデスクトップ仮想化を実現する製品。最新版では、ユーザーエクスペリエンスを向上する転送プロトコル「PCoIP」の採用により、より高品質なデスクトップ環境を実現。また、最新の仮想化プラットフォーム「VMware vSphere 4」に対応したことで、仮想マシンの統合性能を向上しているのも特長となっている。

ストラテジックアライアンス テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏

 同社ストラテジックアライアンス テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏は、「PCoIPの特長は、プログレッシブなグラフィックス表示機能。転送する画面情報を判断し、低帯域使用時には低解像度イメージを、高帯域使用時には高解像度イメージを表示することができる。また、テキスト情報に関しては、低帯域でも読みやすいように高解像度で表示するなど、人間が不自然に感じないように帯域幅にあわせて最適化している」と、低帯域でも利用者に違和感を感じさせない画面転送を実現している点を紹介。また、オプションのハードウェアアクセラレーションを利用することで、3D CADなどグラフィックを多用するアプリケーションにも対応できると述べた。

 また、vSphere 4をプラットフォームに採用することで、高い統合率を実現していると紹介。「物理サーバーあたり何台の仮想マシンを稼働できるかで、導入時のコストは大きく変わる。VMware View 4であれば、高い統合率を実現しているので、投資効果を最大化できる」と、コスト面でもメリットがあると強調した。「他社製品も、vSphere環境を利用できるとうたっているが、複数製品を利用すると管理面で複雑化する。VMware View 4を利用することで、管理運用を一元化できる」と、管理面で統一した環境を利用できる点を利点として紹介した。


PCoIPの採用で、より高品質なデスクトップ環境を実現vSphere 4の採用により、高い統合率を実現
VMware View 4のエディション別機能

 このほか、リンククローン方式により差分情報だけを持つ仮想マシンを作成できる「VMware View Composer」、Windowsアプリケーションを実行環境ごと仮想化する「VMware ThinApp」、VMware Viewの仮想マシンをローカルPC上でオフラインでも稼働できる「オフラインデスクトップ」など、前バージョンでも採用されていた機能も実装されている。

 デスクトップ向けのVMware vSphere 4、VMware vCenter 4、VMware View Manager 4で構成される「Enterprise Edition」と、Enterprise EditionにVMware ThinApp 4、VMware View Composer、オフラインデスクトップ(試験サポート)を追加した「Premier Edition」を用意。市場予想価格は、Enterprise Editionが1同時接続あたり1万8000円、Premier Editionが1同時接続あたり3万1000円。販売は10ライセンス以上から。

アイ・ティ・アール シニア・アナリストの三浦竜樹氏

 発表会には、株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリストの三浦竜樹氏もゲスト参加。デスクトップ仮想化市場の現状について、「リーマンショック以降、IT投資削減傾向か顕著になっている。これまでは運用管理など定常的な費用は削減しきれていなかったが、今後はこの分野の削減が行われるとおもわれる。サーバー統合だけでなく、デスクトップ環境にも削減の目は向けられるだろう」と、運用管理コスト削減をきっかけとして、デスクトップ仮想化に注目が集まっていると指摘。「大企業を中心に導入が進んでおり、導入した企業からはコスト削減以上にセキュリティの向上に効果があったという声があがっている」と、デスクトップ仮想化がコスト以上にセキュリティ向上に有効であると紹介する。

 一方で、デスクトップ仮想化そのものの認知度がまだまだ低い点も指摘。「シンクライアントやアプリケーション仮想化などとデスクトップ仮想化を混同している企業も多く、デスクトップ仮想化そのものの理解を深めることが求められている」(三浦氏)と、デスクトップ仮想化そのものの理解が不十分な現状を改善する必要があると述べた。


デスクトップ仮想化の導入状況デスクトップ仮想化の導入効果
代表取締役社長の三木泰雄氏

 同社代表取締役社長の三木泰雄氏は、「デスクトップ仮想化市場へは、2006年より製品を投入している。仮想化市場において、国内外で90%以上のシェアを獲得しているVMwareの実績あるプラットフォームを利用するVMware Viewは、全世界で7000社・100ユーザー以上が利用している」と、高い実績を紹介。「ハードウェアの運用管理コストは、ハードウェアの3倍以上必要という調査結果が出ている。VMware Viewにより、デスクトップ環境を仮想化することで、TCOを50%削減することが可能」と、デスクトップ仮想化導入によりトータルコストの大幅削減が可能な点を強調した。





(福浦 一広)

2009/11/9 17:42