エンバカデロ、データモデリングツールの最新版「ER/Studio 8.5」

データの一貫性やメタデータの再利用を促進

日本法人代表の藤井等氏
ラインアップと機能一覧
ER/Studio Data Architect画面例

 エンバカデロ・テクノロジーズ合同会社(エンバカデロ)は11月26日、データモデリングツールの新版「ER/Studio 8.5日本語版」を販売開始した。出荷は12月中旬から。

 ER/Studio 8.5は、企業のビジネスプロセス、データ、ソフトウェアのモデリングを行う製品。ラインアップとして、ビジネスモデリングを行う「ER/Studio Business Architect」、データモデリングを行う「ER/Studio Data Architect」、それらに加えてソフトウェアモデリングも可能なフルスイート製品「ER/Studio Enterprise」の3種類を用意した。

 日本法人代表の藤井等氏は、「昨今のシステム開発は従来の独立型から、SOA、SaaS、クラウドなど、データ連携を前提とした“つなぐソフトウェア開発”が主流になっている。例えば、部門の統廃合でシステム統合が必要になったとき、これまでのような完全な新規開発は減っており、既存システムの移行や統合がメインとなる。その上で重要なのが、設計・実装・概念のあらゆるレベルでシステムのすりあわせを行うこと。新製品では、こうした開発の需要に応えるため、ビジネスプロセス、データ、ソフトウェアのモデリングを包含し、かつ企業内で横ぐしのモデル管理を実現している」と、ただ生産性を向上するだけの単一開発向け設計ツールではない、ER/Studio 8.5ならではのメリットを説明した。

 具体的にER/Studio Business Architectでは、BPMN標準をベースにビジネスプロセスをグラフィカルにモデリング可能。そのモデルは簡単にER/Studio Data Architectに引き渡すことができ、リバースエンジニアリング/フォワードエンジニアリング機能により、データベースの定義をビジュアル化し、構造を把握できる。ここで編集された内容は容易にデータベースに反映することが可能。また、既存のデータベースからモデルだけを抜き出して、ER/Studio Business Architectのステップへリバースし、概念モデリングに再利用することも可能という。

 フルスイートのER/Studio Enterpriseでは、これら概念・データモデリングのほかに、UMLによるアプリケーションモデリングを行う「ER/Studio Software Architect」を同梱。より柔軟性の高いビジネス環境を効果的にモデリングできるほか、サーバーサイドでモデルを管理する「ER/Studio Repository」や、ER/Studio Repositoryへのアクセス・検索を実現するWebベースのクエリ・レポートツール「ER/Studio Portal」なども含まれている。

 ER/Studio Repositoryにより、複数ユーザーによるデータモデルやビジネスプロセスモデルへの同時アクセスを実現。プロジェクト横断的にモデルやメタデータといった資産の再利用を促進し、企業標準の強制準拠を促すことも可能となる。

ER/Studio Business Architectの概要。ビジネスプロセスをグラフィカルに表示ER/Studio Data Architectの概要。確実なデータベース設計をサポートER/Studio RepositoryおよびER/Studio Portalの概要。モデル・メタデータの共有を促進

 価格は、ER/Studio Business Architectが14万7000円から、ER/Studio Data Architectが18万9000円、ER/Studio Enterpriseが26万2500円から。

 新製品リリースと併せて、これまでER/Studioの日本語化・販売・サポートを行ってきた日揮情報システムとのビジネスアライアンス強化も発表された。両社はマーケティング、製品技術サポートなどの分野でさらなる協業を行う方針。日揮情報システムはER/Studio 8.5などの販売のほか、同製品を中核としたビジネスプロセス、データ、ソフトウェアへのモデリング技術適用についてのコンサルティング・教育・構築サービスの拡充を行っていく。




(川島 弘之)

2009/11/26 15:55