アドビ、ユニークなサンプルアプリでAIR 2.0の機能を紹介


 アドビシステムズ株式会社は11月26日、11月17日(米国時間)にベータ版が公開された「Adobe AIR 2.0」「Adobe Flash Player 10.1」に関する記者説明会を開催。AIR 2.0の新機能、およびAIR 2.0を使って作成されたアプリケーションなどをデモを交えて紹介した。

マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏

 2010年上半期に正式リリースが予定されているAIR 2.0/Flash Player 10.1は、現在パブリックベータの段階にある。同社マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏は、「AIRとFlash Playerはソースコードを共有しており、Flash Playerで強化された機能などがAIRでも使われている」と説明。

 Flash Playerの最新版ではモバイル対応を強化。「モバイル系のOSへの対応を拡大したほか、モバイル環境のハードウェアリソースをうまく活用することでパフォーマンスを向上している。また、マルチタッチスクリーンやジェスチャー、加速度センサーといったデバイス面でのサポートが行われている」(轟氏)と説明。AIR 2.0はモバイルOSそのものをサポートしてはいないものの、こうしたパフォーマンス向上機能などが反映されているという。

 AIR 2.0の機能強化については、「ローカル環境へのアクセス機能を大幅に強化しているのが特長。USBストレージなどにアクセスできるほか、OS上のアプリケーションに関連づけてファイルを開いたり、アプリケーションの起動といったOSネイティブアプリケーションのように動作させることができる。また、ピアツーピアでのコミュニケーションが可能なソケットサーバー機能や、リアルタイム通信に適したUDP送受信をサポートするなど、ネットワーク機能も強化されている」(轟氏)と紹介。そのほか、HTML5対応のWebkit採用、マイクサポート、IPv6サポート、コンテンツ保護といった機能が強化されている。


ローカルOSとの連携機能を強化ソケットサーバーなど、ネットワーク機能も強化マイクサポートやIPv6サポートなども行われている

 「開発者にとっては、OSとの連携機能を強化したことで、これまでの制約が取り除かれているのが大きなメリットになる。ユーザーにとっては、ネットワーク機能強化による新しいコミュニケーションツールや、タッチスクリーンなど新しいユーザー体験を期待できる。また、AIR 1.x世代のアプリケーションにとっては、パフォーマンス向上といった恩恵をうけられるのも利点」(轟氏)と、AIR 2.0の登場により新しいアプリケーションの可能性が広がると述べた。


AIR 2.0の新機能を使ったサンプルアプリケーションを公開

 説明会では、AIR 2.0で開発されたアプリケーションをデモを交えて紹介した。

 Webシステム開発株式会社の宮田亮氏は、開発中のリアルタイムコミュニケーションツール「airPort」を紹介。airPortは、グループ間コミュニケーションやファイルの送受信、インターネットへのアクセスといったAIR 2.0で実現している機能を活用したアプリケーション。開発手法もCatalystとFlashBuilderを使うなど、アドビが提唱する新しい開発手法にあわせて行ったと説明する。

 genephics design, Inc.の山本博士氏は、音声認識型のアプリケーションランチャー「Voice Launcher」を紹介。AIR 2.0のボイスサポートを活用したもので、あらかじめ登録した読み方に応じて音声を認識し、関連づけられたアプリケーションを起動することができる。


開発中の「airPort」のイメージ画面Voice Launcherの紹介ページ

 AKABANAの有川栄一氏は、P2Pセッション確立用サーバーであるStratusを活用したコミュニケーションツール「Comm On AIR 2.0」を紹介。Stratusを利用することで、動画や音声、画像、テキストの共有が可能になる。

 北陸で活動している、株式会社チェンジビジョンの伊藤祥氏、株式会社日本オープンシステムズの盛川泰弘氏、株式会社ドーガの西村誠氏の3氏は、タイマー機能を中心にリアルタイムコミュケーション機能などが用意された「SORAAI」を紹介。タイマーを設定すると画面下部にタイムバーが表示され、参加者の反応により持ち時間が調整されるユニークなツール。Twitterからもメッセージを送信することができる。


Comm On AIR 2.0のデモ画面SORAAIのデモ画面。画面右下にあるのが高評価を表す緑の吹き出し。下部に残り時間が緑のバーで表示されており、高評価が増えると時間が延び、評価が低いと逆に持ち時間が減るという仕組み

Adobe AIR Contest 2009グランプリ作品も紹介

ブログパーツデスクトップ

 説明会には、Adobe AIR Contest 2009のグランプリ受賞者である飯田建一氏も出席し、ブログパーツ対応のデスクトップツール「ブログパーツデスクトップ」を紹介した。ブログパーツデスクトップは、ブログ向けに作られたさまざまなブログパーツをデスクトップ上で使えるようにするツール。ブログパーツコードをコピーアンドペーストして登録するだけとシンプルな操作が特長。登録されたブログパーツはデスクトップ上に自由に配置できる。

 Adobe AIR Contest 2009の審査委員でもある山本氏は、「今回、160点が審査対象となったが、どれもAIRならではの表現力豊かなアプリケーションだった。その中でもブログパーツデスクトップは、有用性、アイディア、表現力、そして細かな作り込みという面でずばぬけてよかった。特に使っていて楽しいというのが高く評価された」と紹介した。

 なお、同コンテストは来年も実施する予定とのこと。





(福浦 一広)

2009/11/27 00:00