「Cat6」新版、“完全イメージ方式”のアプリ配布・インストールが可能に


LanScope Cat6

 エムオーテックス株式会社(以下、MOTEX)は12月18日、ネットワークセキュリティツールの新版「LanScope Cat6(以下、Cat6) Ver 6.4.0.0」を発表した。2010年1月26日より販売開始する。

 Cat6は、ネットワークやセキュリティを管理・監視するためのツール。「資産管理」「操作プロセス管理」「アプリケーション稼働管理」「プリントログ」「ファイル配布」「不正PC検知」「Webアクセス監視」「デバイス制御」「サーバー監視」といった機能が利用できる。

 新版では、合計23個の新機能追加・機能強化を行った。新機能の中でも代表的なのが、「アプリケーションの自動配布・インストール」「デバイスシリアル管理」「全資産管理・アプリケーションライセンス管理」。

 アプリケーションの自動配布・インストールは、VTRを録画するように実際のインストール手順をファイル化し、クライアントPC上で再生するだけでインストールが完了する機能。従来のインストール方式は「スクリプト方式」と「イメージ・スクリプト方式」が主流。いずれもスクリプトが必要で、時にベンダーに有償依頼して作成してもらう必要が生じる。それだけでなく、「ファイル転送が不安定」「インストールの成功率が低い」「わずかなバージョンアップでスクリプトを作り直す必要がある」といった課題があった。

 MOTEXが採用したのは、業界初というスクリプト不要の「完全イメージ方式」。管理者が実際にアプリケーションのインストールを行うと、その操作手順を録画したインストールファイルが作成される。クライアントPC側では、そのファイルを再生するだけでインストールが行えるというものだ。

 配布技術には、独自の「帯域制御機能」とWindows Updateでも使われる「BITS(Background Intelligent Transfer Service)」を採用することで、ネットワークとクライアントの負荷を大幅に削減した。また「サイレントインストール機能」で無人PCにも自動インストールが可能。PCがログオフ状態の業務時間外に効率的にインストールを済ませられる。「他社製品では未対応」(MOTEX)という「レジューム機能」にも対応した。

管理者が実際にインストールを実施。その操作手順を録画して、インストールファイルを作成してくれる。クライアントPCではファイルを再生すればインストールが可能操作手順マニュアルのような画面も自動で作成される

 デバイスシリアル管理では、USBメモリをシリアル単位で管理し、使用を制限・禁止できるようになった。USBメモリごとに責任者を設定し管理の負荷を分散することも可能。Active Directory(AD)との連携により、「誰の責任で」「どのUSBメモリを」「どのユーザーが使用したのか」、Cat6上で一元管理できるようになった。

 「従来は、各クライアントPCでUSBメモリを使用許可するか、禁止するか、といった単純な制御しかできなかった。今回から、USBメモリごと、あるいはユーザーごとにこれは許可、これは禁止といったきめ細かな制御ができる」(MOTEX)。

 USB資産一覧レポートでは、Cat6のクライアントPCに挿入されたUSBメモリを自動集計することが可能。実際に会社で何本のUSBメモリが使用されているか、手間をかけずに把握できる。特定のUSBメモリに対して、「どのユーザーが」「どのPCで」「いつ」「何を書き込んだか」が分かるほか、台帳化されたUSBメモリの「未使用期間(クライアントPCに未挿入の期間)」も表示してくれるため、「もしかしたら紛失したかも」といった判断も行える。各USBメモリごとに、最後にクライアントPCに挿入した時点で格納されていたファイル名も表示できるため、「リスクに対して先手の対策が取れる」(MOTEX)としている。

USB資産情報一覧USBデバイスへのファイル書き込み一覧

 全資産管理・アプリケーションライセンス管理では、会社のすべての資産を一元管理することが可能になった。これまでCat6では、エージェントが導入されたクライアントのみを管理対象としており、ルーターやプリンタなどのオフィス機器を管理画面上で一元管理することは不可能だった。今回は「PC端末」「ルータ」「プリンタ」「PC周辺機器」「その他」という5種類のカテゴリで任意にCat6に資産登録が行えるようになり、ソフトウェア情報も含めた全資産管理が実現している。

 一方、アプリケーションライセンス管理では、ソフトベンダー各社の複雑なライセンス体系に対応。従来は各OSとMicrosoft Officeしか管理できず、任意にアプリケーション名を登録することもできなかった。今回からは、Adobe Acrobatなど任意に登録して、ライセンス数を自動集計できるとともに、「バージョンの違いも自動で認識して集計するようになっている」(MOTEX)。

 このほか新機能としては、ADの情報を自動収集してユーザー管理台帳を作成する「ドメイン情報管理」が追加された。2010年にはCat7のリリースも予定されている。「資産管理」「情報管理」「セキュリティ管理」「コンプライアンス管理」と成長してきたLanscope Catシリーズは、今後「Human管理」として更なる発展を遂げる見込みだ。




(川島 弘之)

2009/12/18 13:00