ヴイエムウェア三木社長「今年のキーワードは“100%バーチャライゼーション”」

全社規模での仮想化導入を推進

代表取締役社長の三木泰雄氏

 ヴイエムウェア株式会社は1月28日、記者向けの説明会を開催。同社代表取締役社長の三木泰雄氏より、2009年度の業績報告と2010年度の方針に関する説明が行われた。

 三木氏はまず、米VMwareが1月25日(米国時間)に発表した2009年度通期の決算を紹介。「売上高は20億ドル。そのうち、第4四半期(10~12月)に関しては、6億800万ドルといい結果を出せた。2009年度の成長を見ると、米国が5%増だったのに対して、米国以外の地域は10%増となった。具体的な数値は発表できないが、日本はこれ以上の成長を実現している」と述べた。

 欧米諸国と比べ、日本の仮想化市場の立ち上がりは遅れていたが、2009年は急速に伸びていると三木氏は指摘する。「昨年、18都市でイベントを行ったが、各会場で2000人以上を集客した。東京で開催したVirtualization Forumも参加者が5000名を超えるなど、非常に関心が高まっている。印象的だったのが、仮想化技術を不安視する意見がまったくなくなったという点。仮想化技術はもはやデファクトスタンダードになっていると実感した」と、評価や限定利用の段階から、全社導入の段階に進みはじめたのが2009年だったと振り返った。

 売上の内容を見てみると、2009年後半からライセンス売上だけで何千万円規模の大型案件が増えていると三木氏は紹介。「仮想化を前提としたシステム運用体制に移行しているようだ。実際、大手企業で全社展開をはじめており、すべてのサーバーを仮想化環境で稼働させるよう移行をすすめている」と、大規模案件が増えていると紹介。

 また、数本レベルでの導入など、小規模案件も確実に増えているなど、企業規模にかかわらず仮想化が普及していると述べた。「経済環境が厳しい中、仮想化の領域は伸びていることから、パートナーも仮想化に対して、非常にポジティブな反応を示している。また、中堅・中小に強いパートナーも同様で、売上が伸びている」と述べた。

 このほか、デスクトップ仮想化の領域も、2009年後半から金融系を中心に動き始めていると紹介。クラウド関連では、企業内でのプライベートクラウドの流れのほか、サービスプロバイダ側の基盤整備も進んでいるとした。

 2010年については、ワールドワイドで21~26%の成長を予測。そのうち日本市場に関しては、「ワールドワイドの成長よりも高い目標が設定されている」(三木氏)と説明した。

 「2009年の仮想化市場の成長をベースに、2010年は“100%バーチャライゼーション”をキーワードに展開していく。感覚値ではあるが、企業の仮想化率は3~4割程度。これを100%にし、仮想化を企業のITインフラのデファクトスタンダードにしたい」と、意欲を見せた。

 またデスクトップ仮想化分野に関しても、「発表できる段階にはないが、大型プロジェクトが動いており、確実に実績を作っていく」と、この分野でも積極的に取り組み考えを示した。

 クラウドビジネスに関しては、パブリッククラウド・プライベートクラウドの両分野に引き続き取り組むと説明。

 このほか、中堅・中小企業のさらなる開拓のために、パートナーの拡大と地域の拡大を進めていく。「2009年は主要パートナーにフォーカスした支援を行ってきたが、地域を拡大する上で、パートナーの数も拡大する必要がある。そのためにも情報提供を積極的に行っていきたい。また、日本市場に対する投資も積極的に行っており、専用トレーニングルールなど、いつでも技術提供できる環境を整備したり、ローカライゼーションへの投資を行ったりしていく」とした。

 なお、1月に発表した米Zimbraの買収効果については、サービスプロバイダに対するサービスカタログの充実が目的であったと紹介。Exchange Serverなど、ライセンスの関係上ホストできないという状態を解決するために行ったと説明した。今後も同様の買収を行うかという質問に対してはノーコメントとしたが、Oracleなどを例にサーバー単位のライセンスなど課題を抱えたアプリケーションはまだまだあるとした。





(福浦 一広)

2010/1/28 14:33