EMC・シスコ・ヴイエムウェアの3社が仮想化基盤パッケージ「Vblock」を発表

企業のクラウド移行を加速

 EMCジャパン株式会社(以下、EMC)、シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)、ヴイエムウェア株式会社の3社は2月9日、「Virtual Computing Environment(以下、VCE連合)」に関する日本での取り組みを発表。あわせて、3社の製品で構成される仮想化基盤パッケージ「Vblock Infrastructure Package」を、同日よりパートナー経由で提供することも発表した。

シスコ アジアパシフィックアンドジャパン 社長のエザード・オーバービーク氏

 VCE連合は、データセンター仮想化の普及とプライベートクラウド基盤への移行により、より柔軟なIT基盤の提供を実現することを目的としたもの。シスコ アジアパシフィックアンドジャパン 社長のエザード・オーバービーク氏は、「ビジネスの俊敏性、Webの新しいモデル、リアルタイム性、並列処理など、大きな変革が起こっている。また、これらを実現する上で、コスト低減も求められている。VCE連合は、こうしたお客さまの声を聞き、作り上げたもの。3社が密結合することで、瞬時に実装可能なソリューションを実現している」と、3社の強みを組み合わせた仮想化基盤を提供することで、変革に即応できる環境が実現すると紹介した。


VCE連合が目指すもの同日付でVblock Infrastructure Packageや参加パートナーなどが発表された
Vblock Infrastructure Package

 Vblock Infrastructure Packageは、EMC・シスコ・ヴイエムウェアの製品で構築された仮想化基盤パッケージ。利用規模に応じて、3つのパッケージが用意されている。

 大規模環境向けの「Vblock 2」は、3000~6000台の仮想マシン運用に対応するパッケージ。シスコのUnified Computing System(UCS)、Nexus 1000v、マルチレイヤディレクショナルスイッチ(MDS)、EMCのSymmetrix V-Maxストレージ(RSAのセキュリティ機能搭載)、VMware vSphere 4で構成される。

 中規模環境向けの「Vblock 1」は、800~3000台の仮想マシン運用に対応するパッケージ。シスコのUCS、Nexus 1000v、MDS、EMCのCLARiXストレージ(RSAのセキュリティ機能搭載)、VMware vSphere 4で構成される。

 小規模環境向けの「Vblock 0」は、300~800台の仮想マシン運用に対応するパッケージ。シスコのUCSとNexus 1000v、EMCのUnified Storage(RSAのセキュリティ機能搭載)、VMware vSphere 4で構成される。なお、Vblock 0のみ、後日提供される予定。

 なお、規模別に用意されているものの、管理運用面で共通化されており、事業に応じて拡張可能なのも特長となっている。

EMC代表取締役社長の諸星俊男氏
参加パートナー

 EMC代表取締役社長の諸星俊男氏は、「Vblockはプライベートクラウドでもパブリッククラウドでも利用できるパッケージ構成となっている。また、プライベートクラウドとパブリッククラウドの連携環境の構築にも対応している。もちろん、製品だけを出すわけではなく、利用シーンに応じた4つのプロフェッショナルサービスを、パートナーとともに今月より提供する予定」と説明。

 販売パートナーの参加を表明しているのが、アクセンチュア株式会社、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、新日鉄ソリューションズ株式会社、東芝ソリューション株式会社、日本ビジネスシステムズ株式会社、株式会社ネットマークス、ネットワンシステムズ株式会社、ユニアデックス株式会社の8社。

 米国では、米Ciscoと米EMCで合弁会社Acadiaを設立して販売・構築などをサポートしているが、「国内では、パートナー各社が販売・構築・保守を担当するので、合弁会社のビジネスモデルにはしない」(諸星氏)と、パートナー各社経由で販売すると発表。「だからといって、3社がなにもしないというわけではなく、シームレスなサポートを提供していく」と述べた。


Vblock Infrastructure Packageの構成内容4つのプロフェッショナルサービスも用意8社のパートナーを通じて提供される

 具体的な提供価格は発表されていないが、「個別でそろえるよりも価格メリットがあるものになっている。なにより、検証済みの環境であり、導入後すぐに使える点などを考慮すれば、トータルコストの大幅削減効果も得られる」(オーバービーク氏)と、トータルでの運用コストの削減効果を強調した。

ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏

 ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏は、「大規模な仮想環境で重要なのは、ストレージやネットワークといかに連携するかという点にある。昨年、クラウド基盤としてvSphere 4を発表したが、ネットワーク分野ではシスコと仮想スイッチNexus 1000vを共同開発し、ストレージ分野ではSRMなどサイトリカバリを実現する機能をEMCなどのストレージベンダーと共同開発してきている」と、クラウド基盤構築で強みを持つ3社が組むメリットを強調。「規模が拡大すればするほど、検証された環境を提供することの重要性が高まってくる。今回のソリューションは、クラウドの世界を一層加速するものになると考えている」と、今回の取り組みへの期待感を示した。





(福浦 一広)

2010/2/9 15:38