米VMware CEOが来日、「仮想化ベースの“ハイブリッドクラウド”を推進」


米VMware、社長兼CEOのポール・マリッツ氏

 ヴイエムウェア株式会社は3月2日、米VMware 社長兼CEOのポール・マリッツ氏の来日記者会見を開催。クラウド分野を中心とした、同社の2010年度の戦略などが語られた。

 マリッツ氏はまず、同社の業績に触れ、「2009年の売上高は20億ドルを突破し、営業利益率は24%と好調に推移している。VMwareのユーザー数も17万社以上あり、Fortune 100の全企業がVMwareを採用していただいている。また、パートナーとの関係もVMwareにとっては重要で、パートナーも1000社以上のテクノロジーパートナーやコンサルティングパートナーのほか、2万1000社以上のチャネルパートナーとエコシステムを構築している」と、多くの企業の仮想化を推進しているのがVMwareであると強調。

 日本市場についても、「キリングループのキリンビジネスシステムさまでプライベートクラウドを構築していただいているほか、NTTコムウェアさまはハイブリッド型のクラウドソリューションでVMwareを採用していただいている。また、仮想デスクトップの分野では、三菱東京UFJ銀行さまがVMware Viewでの展開を予定している」と、日本国内でも幅広いソリューションが採用されていると述べた。

 これらを踏まえ、マリッツ氏は2010年の戦略を紹介。「個々のマシンの仮想化からスタートし、完全な仮想化プラットフォームとしてvSphere 4を2009年に発表した。今年は、これをベースに、プライベートクラウドとパブリッククラウドの推進を図る」と、プライベートクラウドとパブリッククラウドの双方での展開を積極的に行うと発表した。

 「単なる仮想化とプライベートクラウドの違いは、サービスプロバイダのように必要に応じてITリソースを提供できる点にある。vSphere 4を利用することで、プライベートクラウドは実現できる」と説明。「vSphere 4を利用すれば、パブリッククラウド上に展開することも、プライベートクラウドを展開することも可能。企業にとっては、どちらか一方だけを使うのではなく、どちらのリソースも利用する“ハイブリッドクラウド”が中心になるだろう。われわれは、このハイブリッドクラウドにフォーカスしていく」と、相互運用可能な2つ以上のクラウドを併用することで、両者のメリットがえられるようにしていくと述べた。


プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用する“ハイブリッドクラウド”仮想化環境とプライベートクラウドの違い

 このほか、IT部門にとって大きな負担となっているデスクトップ管理に関しては、仮想デスクトップを同じクラウド環境を利用して提供できることを紹介。「VMware Viewを利用することで、デスクトップを管理したいIT部門と、リッチな体験をあきらめたくないユーザーの両方のニーズに対応できる」と、デスクトップにおいても効率性や管理性が提供できると強調した。

 また、アプリケーションに関しては、SpringSourceやZimbraなど買収企業の製品を活用する考えを紹介。「SpringSourceのアプリケーションフレームワークは、300万のJava開発者が利用している。また、オープンソースのフレームワークなので、独自に拡張することも可能だ。メールコラボレーションスイートを提供するZimbraは、SaaSを展開するプロバイダに対して、より多くの選択肢を提供するために用意した」と、それぞれクラウド環境を補完するものとして提供する考えを示した。

 最後にマリッツ氏は、「まずは企業システムを仮想化することからスタートしていただきたい。これにより、効率化と俊敏性を実現することができる。その上で、プライベートクラウド環境を構築し、自動化環境を実現していただきたい。そうすれば、外部クラウドと連携できる環境ができあがるので、企業にとっては幅広い選択肢を提供することが可能だ。これにより、“IT as a Service”が実現できる」と述べ、プライベート/パブリッククラウドの実現を目指す考えを改めて強調した。





(福浦 一広)

2010/3/2 13:41