「ItaniumもUNIXもなくなりません!」、日本HPが強調するIntegrityのメリット


エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部の上原宏本部長
適材適所での導入が肝要という

 「Itaniumはなくなってしまうの? もうUNIXの時代じゃないよね? という質問をよくされるが、決してそんなことはない。ユーザー数は増えているし、UNIXも適用できる分野はたくさんある。適材適所のアプローチが重要だ」――。日本ヒューレット・パッカード株式会社は3月18日、IA64サーバー「HP Integrity」に関する説明会を開催。同社のエンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部の上原宏本部長らが、Integrityと、そこに搭載されるItaniumプロセッサの現状を説明した。

 上原本部長が引用した調査会社のデータによれば、Integrityサーバーを中心にUNIXサーバーを展開する日本HPは、日本のUNIX市場において1/3強のシェアを持つ。その市場も、昨今の経済不況によるIT投資の抑制と、x86サーバーの高性能化が進む中で、より安価なWindows/Linuxベースのサーバーへの移行検討が加速するなど、常に縮小圧力にさらされてきた。ところが、上原本部長は、x86サーバーの採用で初期コストが抑えられたとしても、導入以後の管理・維持コストを加味すると初期コストを上回ってしまうケースがあるという点を指摘。「ROIの最大化を目指すためには、適材適所、用途に合ったサーバー選びが重要だ」と話す。

 その、UNIXサーバーが適した場所とは、「ミッションクリティカル領域」のことで、現実に、フロントエンド領域ではx86サーバーを、ミッションクリティカル領域ではIntegrityを採用しているユーザーは数多く存在するという。Integrityは、製品自体、またItaniumのライフサイクルがx86サーバーやXeonより長いこともあってニュースが少なく、世間的には、x86サーバーの話題に埋もれてしまいがちだ。しかし、エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部の栄谷政己部長は、Itanium搭載サーバー全体を見ても、売り上げを伸ばしていること、また、関連したストレージ、ネットワーク、サービスなどなど、日本HP全体の関連ビジネスにいい影響を与えることなどを強調。「ミッションクリティカルだが、柔軟性のある製品を目指して開発が続けられている。インテルも当社も、ロードマップを示して投資を継続する意志を示しており、この領域への注力は継続する」とした。

エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部 担当マネージャの山中伸吾氏
CPUのクロックよりも、I/Oを含めたトータルの性能がより重要
ベンチマークの結果も、それを証明しているという

 そうした中で、Integrityを支えるCPU、Itaniumにおいては、2月9日に最新の9300番台(開発コード名:Tukwila)が発表された。くしくも同日に発表されたIBMのPOWER7プロセッサでは、最大周波数が4.1GHzに達しているのに対し、Itanium側は最上位の「Itanium 9350」でも1.73GHz。同じインテルのXeonと比べてもクロック周波数が低くなっていることから、「低い低いと皆さんから言われる」(エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部 担当マネージャの山中伸吾氏)という。

 しかし山中氏は、「Itaniumは、クロックを上げずにパフォーマンスを上げることを考えたCPU。一般的なCPUでは、何も考えずに上から仕事を回そうとするので、クロックを早くしても、仕事の量が早くなるとは限らない。対してItaniumでは、同時にできることを考えて仕事をするので、クロックが低くても効率的に仕事ができる」と述べ、クロックが低いことが、ただちに不利になるという見方を否定した。

 さらに、新幹線と飛行機の例を引き合いにだし、「単純なスピードだけなら、誰だって飛行機が速いと思うだろうが、飛行機は空港までの移動距離が長い。システムでもこれは同じで、ディスクやメモリを含めた一連の処理速度が重要。HPCであれば高速なCPUの方が効果的だが、ビジネス用途ではI/Oを含めたトータルの性能が影響する。当社では、I/Oチップセットを独自開発し、ビジネス用途を意識した製品を開発している」(山中氏)という点を強調。「時間がかかることもあって、日本では、実アプリケーションでのベンチマークをせず、(クロックの高い)早そうなCPUに飛びついてしまいがちだが、ベンチマークをやればIntegrityの価値がわかってもらえる。また、クロックが違えば消費電力も違い、省電力な点もメリット。ItaniumはバランスのとれたCPUだ」と述べ、ぜひ一度Integrityを試してほしいとする。

 Xeonとの比較についても、山中氏は、「Xeonの大型サーバーも評判になっているが、普及しないのは、決定的にモノの作りの方向性が違うから」と、x86サーバーにかかわっていた自らの経験を踏まえてコメント。適材適所を見極め、Xeonとの使い分けを行うべきだとした。

 なお、UNIX分野での大きな競合であるSunをOracleが買収したことから、Oracleとの関係悪化を心配する声も上がっているというが、栄谷部長はこれを否定。「OracleにとってHP-UXは最重要プラットフォームの1つで、お互いが不可欠なパートナー。20年以上にわたり、14万社以上のお客さまに提供を続けており、今までと同じような強固な関係を続けていく」と話している。




(石井 一志)

2010/3/19 16:48