シトリックス、Windows Server 2008 R2に特化した最新版「XenApp 6」

App-Vとの統合も可能、セルフサービス対応の新UIも

XenApp 6の特徴
App-Vとの統合が可能に

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は4月8日、アプリケーション配信基盤ソフトウェアの新版「Citrix XenApp 6」を発表した。マイクロソフトの最新サーバーOSであるWindows Server 2008 R2上での動作に特化しているのが特徴で、スケーラビリティなどが強化されているという。提供は4月9日より開始される。

 XenAppは、かつてMetaFrameやPresentation Serverと呼ばれていた同社の基幹製品で、サーバー上でアプリケーションを実行し、それをクライアント環境に配信する機能を一貫して提供してきた。また近年では、アプリケーションをパッケージしてローカル端末へ配信する「Stream Apps」、仮想マシンやブレードPC上に展開されたアプリケーションを配信する「VM Hosted Apps」といった機能も提供するようになっている。

 今回の新版では、こうした特徴はそのままに、最新環境のWindows Server 2008 R2専用とすることで、サーバーあたりのユーザー収容率を15%以上向上。また、Active Directory(AD)連携機能が強化され、グループポリシーを利用してポリシーベースでXenAppを管理したり、PowerShell 2.0コマンドを使って管理ワークフローを自動化したりできるようになったという。

 このほか、XenApp 4.5以降で、マイクロソフトの提供するアプリケーション配信機能「App-V」との統合が可能になったのも、XenAppの大きな強化点。XenApp AppCenterで直接App-Vパッケージを配信したり、App-Vクライアントプラグインをクライアントアプリケーション「Citrix Receiver」で管理したり、App-VとXenAppでデリバリーされたアプリケーション間で同じデータを共有したり、といったことが可能になる。また、シトリックスのWAN最適化を活用したApp-Vの高速化も可能になるという。

 基本的には、XenAppのStream AppsでApp-Vとほぼ同様の機能を備えているため、機能面ではあえてApp-Vをもちいるメリットはあまりなさそうだが、統合管理に対応することで、ユーザー企業に対して選択肢を提供するのが主な目的という。また、管理面を統合したとしても、XenAppを利用しないクライアントでは、特にXenAppのライセンスを必要としないことから、ライセンス面費用でのメリットは提供できる。今後は、マイクロソフト側の管理ツール「System Center」との統合も進める計画で、管理面でのメリットをさらに高めるとしている。

 加えてXenApp 6では、米国で5月5日に発表されたセルフサービス型の新ユーザーインターフェイス(UI)「Dazzle」もサポートしている。DazzleはAppleのiTunesのような外見を持つUIで、ユーザーが自ら、アクセスを許可されたアプリケーション、デスクトップ、コンテンツに接続し、設定できる点が強みだ。

 シトリックス マーケティング本部プロダクトマーケティング 担当部長の竹内裕治氏は、こうした“セルフサービス”の価値について「必要なアプリケーションを、ユーザーが24時間いつでも選択して実行できる点が特徴で、新しい可能性、方向性を秘めているもの。管理者にとっても、個別の設定をユーザーごと、グループごとにしなくてもよくなるので、管理効率の向上が期待できる。アプリケーションの数が数百におよぶような大規模、複雑な環境であればあるほど、メリットを実感できるだろう」と述べた。

Dazzleの画面イメージ。エンドユーザー自身が自ら配信するアプリケーションなどを、可能な範囲で設定できるシトリックス マーケティング本部プロダクトマーケティング 担当部長の竹内裕治氏

 なお、シトリックス 副社長の木村裕之氏は、XenApp 6について「デスクトップイノベーションを推進するという戦略を受け、管理性とスケーラビリティを大幅に向上した製品。すでに、日本においても150万以上のユーザーがXenAppを利用しているが、この製品によってますますデスクトップ仮想化が進むだろう」とコメント。また、「マイクロソフト製品との融合性についても、歴代のバージョン中もっとも優れているもの。共同活動として、デモ環境を大手町の検証センターに設置するほか、販売、プロモーションも共同で始めようと思っている」と述べ、マイクロソフトとの協業を進める考えを示す。

 一方、製品発表の場に同席した、マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏も、「Windows Server 2008 R2は仮想化推進の本命OSとしてプロモーションしており、お客さまからも高い評価をいただいている。その最新OSに適用できるということで、両社の最新版を(お客さまへ)トータルに勧められるのは大きい」と、製品発表を歓迎。両社の協業を今後も進めていくことを、マイクロソフト側からも表明した。

シトリックス 副社長の木村裕之氏マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏





(石井 一志)

2010/4/8 17:44