日立電線、10GbEを最大64ポート搭載可能な高密度スイッチ-40GbEも標準搭載

将来的にはFCoEにも対応予定

 日立電線株式会社は6月1日、40Gigabit Ethernet(GbE)ポートを搭載したボックス型レイヤ2/3スイッチ「Apresia15000シリーズ」を発表した。ボックス型スイッチで40GbEを搭載したのは同製品が世界初という。また、最大64ポートの10GbEを2Uサイズに搭載できる高密度実装も特徴で、販売は2011年2月末より開始する予定。

Apresia15000-64XL-PSRApresia15000-32XL-PSR

 Apresia15000シリーズは、40GbEに対応可能なネットワークコア向けのボックス型スイッチ。SFP/SFP+モジュールが利用可能なスロットを最大64基搭載しており、スロット単位で10GbE/GbEを選択して利用可能な柔軟性を備えるほか、全ポートでワイヤレートの通信をサポートする。

執行役 情報システム事業本部長の辻正明氏

 この製品を提供する背景について、執行役 情報システム事業本部長の辻正明氏は、「10GbE対応スイッチのApresia13000シリーズは、データセンター、大学などでの採用事例が増えたほか、一般企業でもコアスイッチとしての実績が増え、前年度の約5倍の売り上げを記録した。しかし、データセンターでは、さらなる広帯域、10GbE多ポートの需要が増え、既存製品だけでは賄えなくなった」と説明。こうしたニーズに応えるために、新製品を投入するとした。

 具体的なラインアップは、2Uサイズで10GbE/GbE×64基の「Apresia15000-64XL-PSR」と、1Uサイズで10GbE/GbE×32基の「Apresia15000-32XL-PSR」を用意。高密度な10GbEスイッチの提供により、ボックス型スイッチをネットワークコアに適用するという、同社の「BoxCore」ビジョンをさらに推進したい考え。情報システム事業本部 ネットワークエンジニアリングセンタ副センタ長の末永正彦氏は、既存の他社のシャーシ型スイッチを引き合いに出し、カタログ値や標準価格ベースの比較では、「一般的な10GbEスイッチとApresia15000シリーズを比べた場合、電力、省スペース、コストが1/10程度で済む」と、新製品の魅力をアピールした。

 さらに両モデルとも、6月に規格が策定される予定の40GbEスロット(10GbE×4スロットとの排他利用)を2基搭載。スイッチ間接続などに利用し、さらに高速なバックボーン通信を行えるようにしている。

 また、標準機能ではレイヤ2スイッチとして、レイヤ3ライセンスを購入するとレイヤ3スイッチとして利用可能な点も特徴。末永氏はこれについて「レイヤ2/3スイッチを共通化して提供することで、保守部品を一元化し、コストを削減できる」と述べ、メリットを強調した。今後は、「データセンターライセンス」の追加によって、データセンターブリッジとFibre Channel over Ethernet(FCoE)にも対応する予定で、データセンター内でのストレージ/ネットワーク統合も視野に入れているとのこと。このライセンスの提供時期は未定だが、FCoE製品ベンダー間での相互評価などを進め、ユーザーニーズに対応していく方針だ。

シャーシ型と比べて、1/10の電力、省スペース、コストを実現したという同一モデルで、さまざまな使い方に対応する点が特徴。データセンターライセンスの追加によって、FCoEにも対応する予定

 価格は、Apresia15000-64XL-PSRの本体(冗長電源含む)が448万円(税別)、レイヤ3ライセンスが100万円(税別)。Apresia15000-32XL-PSRの本体(同)が200万円(税別)、レイヤ3ライセンスが50万円(税別)。インターフェイスは、40GbEのQSFP+モジュールが42万円(税別)、10GBASE-SRモジュールが15万円(税別)、10GBASE-LRモジュールが30万円などとなっている。

 なお日立電線では、10GbEスイッチのApresia13000シリーズ、耐熱・耐環境スイッチのApresia5000シリーズ、低価格スイッチのApresiaLight GMシリーズなどでも新製品の提供を予定しており、トータルでラインアップを拡充するとしている。




(石井 一志)

2010/6/1 15:07