キャリア/ISP向けにメール大量配信を行う「HDE Mobile MTA 3」
各キャリアが公開する送信の注意事項 |
配信制限を回避してメールの大量配信を実現するHDE Mobile MTA 3 |
株式会社HDEは6月10日、ケータイキャリアやISP向けに特化されたメール配信ソフト「HDE Mobile MTA 3」を発表した。6月17日から販売開始する。
HDE Mobile MTA 3は、キャリアなどへのメール大量配信を行うメールアクセラレーター。携帯電話などへメールを大量配信する際に、その配信スピードや接続先を調整してくれるほか、エラーメールの解析なども行ってくれる。
特徴は、キャリア/ISPに特化している点だ。実は、携帯電話などへメールを大量に配信するのは難しい。「各キャリアの迷惑メール対策により、単にメール配信しても遮断されてしまう可能性が高いためだ。例えば、時間あたりに一定数以上メールする送信者や、特定のメールサーバーに対して大量のSMTPアクセスを行う送信者などは拒否されてしまう」(同社)。
こうした配信制限はキャリアごとに異なり、年々強固になっている。またセキュリティにかかわるところなので、突然告知なしに変更されることもある。そのため、「確実に配信するには各キャリアの制限基準を把握する必要があるのだが、その内容は大まかにしか公開されておらず、実際には日々の配信経験が物をいう」(同社)のである。
HDE Mobile MTA 3には、こうした配信制限を回避するためのノウハウを凝縮。あらかじめ配信基準が適用されており、各キャリアに最適な配信を行ってくれる。突然、配信基準が変更されてもHDEが随時対応するため、ユーザーが独自に調査を行う必要が一切ない。
機能としては、キャリア別にメール配信スピード/セッション数などを調整する機能を備える。新版ではブラックリスト機能も強化されており、何らかの理由で接続できない配信先MTAを一時的に除外して、配信パフォーマンスの劣化を抑えることも可能だ。
また、1台のサーバーに複数のIPアドレスを割り振ることで、複数のサーバーから送信しているかのように見せかける「IPリボルビング」も搭載。こうした機能により、配信制限に引っかかることなく、適切にメール対象配信が行えるというわけだ。
IPリボルビングなどの高速配信機能 | メール配信スピード/セッション数などの調整機能 | ブラックリストなどの配信遅延防止機能 |
このほか、ヘッダ情報を基にメールの配信経路を変えることも可能。特定の経路を通る場合のみ電子署名を付けたり、あるいは配信と同時にアーカイブしたりすることができる。
導入方法は、既存のMTAの前にHDE Mobile MTA 3を置くだけ。同社には同様の製品として「HDE Mail Application Server #Delivery」も存在するのだが、こちらは社内システムと連動したメール自動作成なども行える分、導入前に開発が必要となる。メールのリレーだけに限定したHDE Mobile MTA 3では、迅速に導入できるのも特徴だ。
新版では、動作環境としてWindows Server 2008 R2に対応した。これは一見、大したことではないように見えるが、実はHDEにとっては大きな変化で、「当社はLinux向けの会社。そこにこだわりがあった。しかし、ユーザーのニーズを考慮して、HDEとして初めてWindowsを扱った」とのこと。
価格は210万円/サーバー。
2009/6/10 12:00