「FC SAN領域を強化、NAS市場ではナンバーワンを維持する」、ネットアップ


ネットアップの代表取締役社長、タイ・マッコーニー氏
「Go-Go-Go」ビジネス戦略
2010年度の重点項目

 ネットアップ株式会社は6月12日、5月より同社の2010年度(2010年4月期)がスタートしたことを受け、事業戦略説明会を開催。2009年より代表取締役社長に就任しているタイ・マッコーニー氏が、「NAS市場でのトップシェアを堅持するとともに、FC SANの市場シェアを拡大し、2012年には国内オープン向けストレージ市場でトップ5に入る」などと意気込みを語った。

 ネットアップは、2008年第4四半期における国内のオープン向けストレージ市場では、5.31%で7位につけている(IDC調べ)が、これを拡大すべく、「Go-Go-Go」ビジネス戦略を打ち出している。1つの目の「Go Deeper」では、製造・金融・通信/メディアといった既存の顧客ベースに対するビジネスの拡大を図る。同社はNAS市場において、単独で31%、OEMを含めると実に58%ものシェアを獲得しており、この領域でのビジネスを拡大することで、より売り上げを伸ばしたい考え。マッコーニー社長は特に「古いシステムの刷新」を挙げ、旧型のリプレース案件を獲得していくとした。

 2つ目の「Go Wider」では、同じ領域に対して、新テクノロジーの訴求を積極的に行うとする。Onaroの買収によって獲得したストレージ管理ソフト「SANscreen」を国内でも展開するほか、2008年より提供を開始したストレージ仮想化を実現するNASゲートウェイ「NetApp Vシリーズ」、SAN用途での「NetApp FASシリーズ」の展開なども実施したい意向。これらは「日本以外では長く販売しており実績がある製品」(マッコーニー社長)であるものの、国内ではまだビジネスになっているとは言いがたい。その中でもFC SANは国内シェア0.35%(同)に過ぎず、ここを獲得していくことでビジネスの拡大を図るという。

 また最後の「Just Go!」では、新たな顧客業種の開拓を目指す。この3つのビジネスの比重について、Go Deeperが66%、ほかの2つが17%ずつとしたマッコーニー社長は、注力するソリューションとして既存顧客向けでは仮想化、新規開拓では特にOracle Databaseを挙げている。

 なお2010年度ではこうした戦略に沿って、サポートの強化、ハイタッチ営業の強化、各種アライアンスの強化などを実施していく考え。その中でもアライアンス面では、NASにおいては重要なOEMパートナーである富士通や日本IBMとの協業強化を強調。FAS6000シリーズを10台納入するような大規模なFC SAN案件をパートナーとともに国内で獲得したことを示した上で、両社が自社製品を持つFC SANストレージの領域でも、ネットアップとのビジネスが拡大するだろうとの自信を示した。もちろん、既存のチャネルパートナーとの関係も継続して強化を図るとともに、VAR(付加価値再販業者)ともパートナーシップを強めたいとしている。





(石井 一志)

2009/6/12 14:20