日本オラクル、人事管理やSCM機能を強化したERPパッケージ新版「Oracle EBS R12.1」
Oracle EBS R12.1の強化点 |
アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 シニアディレクターの岡田行秀氏 |
スタンドアロン・ソリューションによって、新機能が従来版でも利用できるようになる |
日本オラクル株式会社は7月15日、ERPパッケージの新版「Oracle E-Business Suite(EBS) R12.1」を発表した。人事管理やサプライチェーン管理(SCM)などの分野で機能を強化しているほか、従来版でも導入が可能な、スタンドアロン型のアプリケーションを初めて用意した。提供は同日より開始する。
Oracle EBSは、ERPを中核に、包括的な機能をそろえたビジネスアプリケーションパッケージ。前版の「Oracle EBS R12」ではグローバル対応を特に強化していたが、新版でもそれを継承しつつ、さらなる機能強化を実施している。
具体的な要素としては、人事管理業務における、人材管理機能の大幅な強化がなされたほか、顧客マスター管理機能、SCMと調達の機能なども拡充された。このうち人材管理については、従業員のタレント情報を有効に活用するためのタレント管理機能が強化されており、人材の採用、配置、育成、評価、処遇といった一連のサイクルをより潤滑に運営するための支援機能を提供する。
またSCMでは、グローバルな需要情報を一元管理する「Oracle Demand Signal Repository」をはじめ、生産プロセスのパフォーマンス最適化を支援するアプリケーションなどを追加。調達関連では、「直材(直接材)、サービス購買といった複雑な購買プロセスに標準で対応した」(アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 シニアディレクターの岡田行秀氏)という。
詳細なビジネス機能以外の部分では、単体で導入可能な「スタンドアロン・ソリューション」と呼ぶコンポーネントでの提供を開始したのが、もっとも大きな強化点。バージョンアップを行わなくても、一部の新機能をOracle EBS R12/R11i.10で利用できるようになるので、「ユーザーは使いたい機能のみの導入が可能になり、ポイントソリューションとして早期導入もできるようになる」(岡田氏)。
なお、スタンドアロン・ソリューションの代表的なものとしては、保守部品計画を支援する「Oracle Service Parts Planning」、サプライチェーン情報の統合と可視化を支援する「Oracle Advanced Planning Command Center」、報酬管理アプリケーション「Oracle Incentive Compensation」などが用意されている。
このほか、新機能「SOA Gateway」を搭載し、Oracle EBS R12の機能をサービス化して、外部のアプリケーションから呼び出せるようになったとのこと。
価格は、会計機能の最小構成で262万1850円(5ユーザー)から。
常務執行役員 アプリケーション事業統括本部長の保々雅世氏 |
なお日本オラクルでは、ビジネスアプリケーションの分野において、「製品を組み合わせて、お客さまの業種業態により特化したソリューションを提供する」(常務執行役員 アプリケーション事業統括本部長の保々雅世氏)との方針を掲げており、これまで買収した特定業種向けのアプリケーションなどとあわせて、その価値をより訴求したい考えを示す。また、「Oracle Insight Program」コンサルティングサービスの活用により、「ビジネスの価値の向上に、同社がどう役に立てるか」(保々氏)といった観点でも顧客に働きかけていくとしている。
2009/7/15 16:23