ネットワンが米Brocadeと提携、包括的なデータセンターソリューションの提供目指す

Virtual Cloud Labを共同で構築、仮想化・クラウドの検証も実施

ブロケードの青葉雅和社長(左)、米Brocadeのマイケル・クレイコーCEO(中)、ネットワンの吉野孝行社長(右)
Virtual Cloud Labを利用し、マルチベンダー環境での仮想化検証などを実施する

 米Brocade Communications Systems(以下、Brocade)とネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は9月1日、データセンターおよびサービスプロバイダ市場を中心とする包括的なネットワークソリューションと、国内保守・サポートサービスの提供に向けた戦略的な業務提携を結ぶと発表した。

 ネットワンはネットワークインテグレーション事業を長年提供してきたが、ここ2年はプラットフォーム事業にも力を入れている。この提携に伴い、ネットワンはLANからSANまでの、全Brocade製品の国内での取り扱いを開始。強みを持つネットワークのみならず、SANを含めた、包括的なデータセンターソリューションの提供が可能になるという。

 これについてネットワンの代表取締役社長、吉野孝行氏は、IPトラフィックの伸びと、それを受けたストレージ容量の飛躍的な拡大を指摘した上で、「ストレージ、サーバー、ネットワークの統合サービスがお客さまにおける急務の要求になっている。この提携は、まさしく市場の要求に沿ったものだ。当社では、単なるIPだけでなくSAN市場への展開も可能になる。ネットワンパートナーズからは、新たなチャネルのリクルート活動も開始する」と話した。

 この提携にあたって両社では、ラボを仮想的に接続した「Virtual Cloud Lab」(仮称、以下VCL)を2009年度中に構築する。このラボは、マルチベンダー環境で構築されている点が最大の特徴。ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)の代表取締役社長、青葉雅和氏は、「既存のデータセンターはマルチベンダー環境がふつうであり、マルチベンダー環境のストレージ、サーバー、ネットワークの検証が必要になる」という点を指摘。ネットワークインテグレータとして実績のあるネットワンと、数多くのサーバー、ストレージベンダーへ製品をOEMし、密接な関係を築いているBrocadeの強みを生かして運用するとした。

 「VCLでは、互換性のテストを2009年秋から開始し、その後仮想化の動作確認やパフォーマンスの確認を実施。最終的には、クラウド環境を、お客さまの要望に応じた形で動作確認できるようにする」(ネットワンの吉野社長)。

 また、吉野社長が「単なる再販ではなく、事業として包括的な提案をした」とコメントするように、設計、構築、保守、運用、サポートまでのライフサイクルをカバーしているのも今回の協業の特徴。サポートや教育といった面を視野に入れ、ネットワンのグループ会社とも連携する。

 まずサポートでは、「ネットワークサービスアンドテクノロジーズ(NSAT)が日本全国に持つサポート網をブロケード利用し、日本のお客さまのサポート拡充を図るほか、当社の監視センターであるXOC(エキスパートオペレーションセンター)のメニューを、ブロケードの協力によって拡充する」(吉野社長)とのこと。さらに教育分野では、ネットワークアカデミーがIPからSANまでの技術教育プログラムを提供し、日本のIT技術者育成に貢献するとした。

 ネットワンでは今回の提携により、3年間で300億円から350億円の売り上げを見込む。

 なお、Brocadeがネットワンと提携した背景には、同社が米国外の市場、特に日本市場を重視していることがあるという。同社のマイケル・クレイコーCEOは「当社の世界での成長において、日本市場は非常に重要。さまざまな地域においてフットプリントを拡大したいと思っているが、ネットワンとの日本での提携が、その投資の代表例だ」としたほか、ネットワンについては、「日本におけるプレゼンスは大きく、すべての顧客層に対して影響力を持っている」とコメント。さらに、「VCLでは、2社の最先端のリソースをあわせて、仮想化とクラウドにおけるベストプラクティスを確立する。お客さまへ、最高品質のソリューション提供が可能になる」と述べている。



(石井 一志)

2009/9/1 16:56