NEC、クラウド時代のITプラットフォームビジョン「REAL IT PLATFORM Generation2」
日本電気株式会社は10月8日、クラウドコンピューティングを支えるITプラットフォームビジョン「REAL IT PLATFORM Generation2」を発表した。2006年7月に発表した「REAL IT PLATFORM」をさらに進化させ、クラウドコンピューティングで変化する企業のビジネスニーズに的確に対応することを目的として策定したもの。今後、同ビジョンに基づいた製品を順次提供するとしている。
REAL IT PLATFORM Generation2で強化されるのは、「高効率インフラストラクチャ」「サービス実行基盤」「システムサービス管理」の3つの領域。
OpenFlow技術の概念 |
高効率インフラストラクチャでは、データセンターで集約される大量のサーバーに対して、省電力や省スペース性、運用性などの効率化を徹底追求する。ストレージに関しても効率化を追求するほか、耐障害性を追求するとしている。また、新世代のネットワークプラットフォームとして「OpenFlow」を提供。このOpenFlowは、パケット転送機能と経路制御機能をフロー制御プロトコルによりオープン化して分離することで、フロー単位でプログラマブルに制御できるもの。これを利用することでネットワークを仮想化でき、物理構成の制約を緩和できるとしている。このほか、データセンター全体の省電力化テクノロジーを追求することで、高効率ファシリティを実現するとしている。
Server #1からクライアントに流れているストリーミングの経路をコントローラで制御可能 |
サービス実行基盤では、既存システムの移行性を向上させるために、高隔離性・低コストのマルチテナント基盤を提供。また、マッシュアップ技術を利用することで、柔軟・迅速なサービス統合を実現するとしている。このほか、高信頼性・セキュリティ技術により、サービスの無停止運用やアクセスの安全性を実現するサービス実行基盤を提供するとしている。
インバリアント分析技術の特長 |
システムサービス管理では、クラウド指向サービスの実行状況とそれを支える高効率インフラストラクチャの可視化・制御を実現することで安定したサービスを提供するとしている。このうち、性能情報からシステム全体を自動分析して、サイレント障害の検知・原因特定を行える「WebSAM Invariant Analyzer」を発表。平常時のシステムに成り立つ不変関係(インバリアント)を性能データ間の関係式としてモデル化する「インバリアント分析技術」を採用。これを利用することで性能劣化を発見して、障害要因を特定することができる。また、モデルの関係式から各要素のリソース消費量を予測することも可能。なお、このインバリアント分析技術はNECが独自に開発した先進技術で、これを利用することで性能劣化の原因究明・対策に要する時間を最大90%短縮できるとしている。
WebSAM Invariant Analyzerの画面。上部のグラフにはいつもと異なる要素が表示されている | 異なる部分を選択すると、崩れている関係性がグラフィカルに表示 | 集中している個所に問題が発生していることが理解できる |
執行役員常務の伊藤行雄氏 |
同社執行役員常務の伊藤行雄氏は、「クラウドに対して、多くの企業が基幹システムを含め期待しているのは事実。厳しい経済環境のもと、大企業はプライベートクラウドに、中堅企業は持たざるITとしてのクラウドに期待をかけている」と、クラウドコンピューティングへのニーズが高まっていると指摘。「プラットフォームビジネス自体は、すでに利益の薄いビジネスとなっており、新たな付加価値を提供することで対価が得られるモデルが必要」と、今回のITプラットフォームビジョンが同社にとっての事業拡大の大きな要素になると述べた。
2009/10/8 14:34