「固形廃棄物の80%をリサイクル」-米Intelが環境活動の成果を語る


米Intel 法務・渉外部門バイスプレジデント兼国際政策担当ディレクターのドナルド・ホワイトサイド氏

 インテル株式会社は10月8日、グリーンIT活動に関する記者説明会を開催。米Intel 法務・渉外部門バイスプレジデント兼国際政策担当ディレクターのドナルド・ホワイトサイド氏、およびエコ・テクノロジー本部長のローリー・ワイグル氏が登壇し、自社の取り組みを説明した。

 Intelでは「持続可能な製造体制」「電力効率に優れた性能」「環境に配慮した設計」「ポリシーと業界各社との連携」の4本柱で環境戦略を推進している。このうち持続可能な製造体制のために、「大気汚染」「温室効果ガス」「エネルギー」「水」「化学物質」「廃棄物」など、さまざまな環境負荷に対して全体最適を行なってきた。エネルギー・水・化学薬品の使用を抑え、生産による環境負荷低減にも注力した結果、「いくつかの成果が現れ始めた」とホワイトサイド氏は語る。

 「例えば、省エネプロジェクトへ2300万ドルの投資を行った成果として、設備のエネルギー消費量を生産単位あたり4%削減、これを2002年から毎年達成している。グリーンエネルギーにも着目しており、Intelは米国では最大クラスのグリーン電力購入企業だ。同時に製造プロセスでの廃棄物、これは固形・化学物質さまざまあるが、その削減に成功している。具体的には、2007年に固形廃棄物の80%をリサイクル、リユースすることができた。また、シリコン製造には洗浄のための『超純水』が必要となるが、過去10年間、各施設で省水活動を行ったことで、毎年30億ガロン(1ガロンはおよそ3.5~4.5リットル)もの水を再生利用できた」(ホワイトサイド氏)。

 また、次世代の32nmプロセスでも環境改善が促進され、「超純粋の利用を10%、化学廃棄物を20%、温室効果ガスを15%削減できるようになっている」(同氏)という。こうした環境に配慮した設計に加え、Intelでは環境戦略のためのポリシーとして、「産業界、行政、教育・研究機関、NGO、標準化団体とも責任の共有を行っている」。

Intelの持続可能な環境戦略環境負荷低減の実績32nmプロセスでの環境改善
エコ・テクノロジー本部長のローリー・ワイグル氏

 続いて登壇したワイグル氏は、プロセッサの電力効率に優れた性能についての取り組みを紹介。「ムーアの法則にて、コアの整数演算性能が向上したのはよく知られた通りだが、同様に消費電力の削減も進んでおり、トランジスタごとの消費電力を過去30年間で約100万分の1に低減した実績がある。またアーキテクチャの革新としてIntelでは『Tick-Tock開発モデル』を採用しているわけだが、2006年の大きなパラダイムシフト――Intel Coreマイクロアーキテクチャの登場により、今日までに20テラW時のエネルギー削減、および20億ドル以上のエネルギーコスト削減に成功している」とした。

 一方、サーバー分野でもXeon 5500番台によりエネルギー効率は飛躍的に向上し、2005年ごろのシングルコアサーバーとは比較にならない性能、省エネ性を実現していると紹介。「シングルコアサーバー×184台をXeon 5500番台搭載サーバー×1台に置き換えて、ワークロードを一定にした場合、92%の年間エネルギーコスト削減が予測される」(同氏)とした。

ムーアの法則でトランジスタごとの消費電力を過去30年間で約100万分の1にTick-Tock開発モデル。Intel Coreマイクロアーキテクチャで省エネで革新を起こしたサーバー分野でXeon 5500番台によりエネルギー効率は飛躍的に向上
CSCIの最新情報

 PCやサーバーといった機器レベルで省電力化を推進するクライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブ(CSCI)の代表も務めるワイグル氏は、CSCIの最新情報も紹介。「最近では、活動地域をインドにまで拡大したほか、電源管理ワークグループを新設。電源管理を容易に実現できるプラットフォーム構築のためのリファレンスガイドの作成を進めている」とした。

 このほかIntelでは、3月に「オープン・エネルギー・イニシアチブ」を発足。「高度な再生可能エネルギー」「スマート・グリッド」「インテリジェント・ビルディング」などについて、統合および相互の協働を促すためのオープンスタンダード推進を目的にした団体で、Intelはここで「スマート・エネルギーに関する政策への提言」「スマート・グリッド標準化に関する団体でのリーダーシップ」「インテルキャピタルによる戦略的投資」などに貢献しているという。

 ワイグル氏は「Intelは今後もさまざまな企業と協力し、環境やエネルギー問題に対して、同社のエコテクノロジを通じた取り組みを強化していく方針」とした。




(川島 弘之)

2009/10/9 12:49