インテルがvProの広まりと価値を説明、「自社内では数年以内に100%導入を目指す」
米Intel インテルアーキテクチャー事業本部 副社長兼ビジネス・クライアント・プラットフォーム事業部長のリック・エチャベリア氏 |
導入が進むvPro |
2010年に提供されるvProの最新機能 |
インテル株式会社は11月12日、企業向けPCプラットフォーム「vPro」に関する説明会を開催。米Intel インテルアーキテクチャー事業本部 副社長兼ビジネス・クライアント・プラットフォーム事業部長のリック・エチャベリア氏と、インテルIT本部 CTO兼チーフ・アーキテクトのグレッグ・ワイアント氏が、vProの価値や将来の機能について説明を行った。
エチャベリア氏がまず取り上げたのは、vProの現状について。vProでは、運用管理やセキュリティといったIT業界での課題に対応していることから、年々導入が進んでいるとのことで、Fortune 100企業の71%、Global 100企業でも54%がすでに導入しているという。また、vProは単体ではなく、PC管理ソフトウェアなどとの組み合わせで威力を発揮するソリューションであるが、ソフトウェアを提供するベンダーとのエコシステムも拡充されているという。
国内でも、クオリティやエムオーテックスの製品との連携で、100~300台規模の環境で利用されていたり、サイトロックが提供するサービスを利用した事例が増えていたり、といった状況をエチャベリア氏は説明。「さまざまな業界において、vProの異なる機能の活用が進んでいる。景気後退期のチャレンジしにくい時期にこうした投資をしている企業は、景気が戻ったときに、リーダーシップを発揮できるだろう」とした。
また、こうした導入が進む背景には、多少なりとも景気が回復している点が大きいということも指摘する。多くの企業が、景気の影響もあってPC導入を凍結していたが、それが再び動き出し、そしてその際に、セキュリティや管理性を重視する企業が、vProを選択する流れがある、というわけだ。エチャベリア氏は、「導入後3年以上経過したPCでは、約58%も、セキュリティのインシデント発生率が高まっている」というデータを紹介。「古いシステムやOSでは、パッチ適用などが適正に行われないリスクがある。コストの面だけではなく、リスクの面でもリフレッシュがずれた感がある」として、古いPCの入れ替えの必要性を強調。「vProであれば、適正な管理も可能だ」として、入れ替え時のvPro採用を訴えた。
エチャベリア氏は次に、2010年の新機能を紹介する。2010年のvProは、32nmプロセスの新しいWestmere(開発コードネーム)プロセッサを中心に提供されることになるが、この新vProでも、インテルがvProのメリットとして訴求してきた「電力効率」「運用管理性」「セキュリティ」の各機能が継続して提供される。
「電力効率」では、32nmへのシュリンクによって、さらなる低消費電力を実現。次の「運用管理性」では、ネットワークを通じてキーボード、マウスを操作したり、画面を見たりできるリモートKVM機能が、LANの外からも行えるようになる。ワイアント氏は、「すべてに対して、リモートから診断し修復することが可能になる。(サポート作業のために)誰かが出向かなくてはならなくなると、コストがふくれあがるが、リモート管理によってコスト削減が期待できる」とメリットを強調した。なお、この機能はOSに依存しないため、ブルースクリーンの画面やBIOSの画面も確認できるほか、リブートをかけたとしてもセッションが維持されるなど、利便性が確保されているという。
最後の「セキュリティ」では、Westmereに搭載される暗号化支援の機能によって、暗号化アプリケーションのパフォーマンスを向上。また、リモートでの暗号化管理、盗難防止の「Anti Theft」技術によるPCの保護支援といった機能を紹介した。
米Intel インテルIT本部 CTO兼チーフ・アーキテクトのグレッグ・ワイアント氏 |
こうしたメリットの期待できるvProについては、Intel自身が積極的に導入を進めており、そのメリットを享受していることが、これまでも再三語られてきた。ワイアント氏が説明した最新の状況によれば、9万4000台のPCのうち、すでに4万5000台でvProがプロビジョニングされ、数年以内に導入率を100%にするとのこと。また、最新の機能を含めて、さまざまな機能を実際に社内で活用しているという。具体的には、リモートKVM、リモート診断・リモート修理、SSDファームウェアのアップグレード、リモートビルドなどの機能を利用し、効果を上げているとした。
なお、同社ではPC更新のライフサイクルに適合したことから、2010年にWindows 7の導入・展開を予定している。社内で進めたPoCでは、社員からもかなり良いフィードバックがあったとのことで、導入しやすさ、セキュリティ機能の改善、TCO削減効果などを確認。「Windows 7の最新機能とvProをあわせて利用することで、3年間に、1100万ドル規模の正味現在価値を予測している。IT部門ではこれからも製品事業部門と協力し、製品の改善に向けて協力していく」(ワイアント氏)。
Intel自身のvPro導入状況 | Intelでは、2010年にWindows 7の導入・展開を開始するという |
2009/11/12 14:00