レッドハット、KVMによる仮想化/クラウド基盤を実現するソフトウェア製品群
代表取締役社長の廣川裕司氏 |
Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Serversの特徴 |
レッドハット株式会社は11月17日、Linuxの標準仮想化技術KVMによる仮想化基盤ソフトウェア製品群「Red Hat Enterprise Virtualization for Servers」を発表した。同日より提供開始する。同製品は、管理ソフトウェア「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers 2.1」とハイパーバイザー「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor 5.4」から構成され、低コストで高機能な仮想化/クラウド基盤を実現する。また、あわせて、有償の導入支援サービス「RHEV クイックスタート サービス」を提供開始する。
新製品の発表にあたり、代表取締役社長の廣川裕司氏は、「レッドハットにとって2009年は変革の年となった。日本に上陸して10周年を迎え、Linuxの市場規模はUNIXをしのぐするまでに拡大し、来年はメインフレームを追い越す勢いで成長している。そのなかで当社は、この2年間で人員を倍増させ、来月には大阪営業所を開設する。また、オープンソースの企業としては初めてユーザー会を発足し、現在大手企業40社の参加を得ている。業績についても、本年度は前年同期比15%以上の伸びを見込んでおり、特にミドルウェアのJBossは前年から2倍以上と大幅に伸長している」と2009年の事業概況を説明。「そして今回、Linux OSのマーケットリーダーとなっているRed Hat Enterprise Linux(RHEL)、ミドルウェア市場で基盤を築いたJBossに続く第3の柱として、新たな仮想化製品群を提供し、仮想化/クラウド市場に本格参入する」と述べた。
Red Hat Enterprise Virtualization for Serversは、Linuxカーネルに組み込まれた、オープンソースの標準仮想化技術であるKVMをベースに、CPUやメモリの管理などOSの中核機能はLinuxの機能をそのまま使うため、最新ハードウェアの性能を活用し、仮想化環境における性能低下をより低く抑えるとともに、ハードウェアやソフトウェアもRHELとの高い互換性を実現している。
GUIベースの管理ソフトウェアであるRed Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers 2.1は、大規模な仮想化/クラウド環境を構成する複数の物理サーバーと仮想サーバーを統合的に管理し、その運用を支援する。RHELとRed Hat Enterprise Virtualization Hypervisorで稼働する仮想マシンの稼働状況やリソースの使用率をグラフィカルに表示するとともに、仮想マシンの作成や起動・終了、ストレージやネットワークの設定や構成を簡単に行うことができる。
高可用機能とライブマイグレーション |
マーケティング本部 部長の中井雅也氏 |
また、高度な運用機能として、仮想マシンを稼働したまま動的に新しい物理ホストに移動できる「ライブマイグレーション」、万が一の物理ホストの障害を検知し、稼働中の全仮想マシンを自動的に別ホストに移動して再起動する「高可用機能」、あらかじめ設定したCPU使用率のしきい値を超えた場合に自動的に別ホストに仮想マシンを移動して負荷分散を行う「システムスケジューラ」、ピーク時間以外の時間帯などに仮想マシンを自動的に別ホストに移動させるとともに不要なホストの電源を切って電源を節約する「パワーセーバー」などを提供する。
独立型のハイパーバイザーのRed Hat Enterprise Virtualization Hypervisor 5.4は、ゲストOSとしてRHELとWindows Server 2003/2008をサポートし、IAサーバーにインストールして利用できる。RHELのカーネルとKVMを利用しているため、RHELのハードウェア、ソフトウェアとの高い互換性を提供するとともに、RHELの高いスケーラビリティや信頼性、セキュリティの機能を継承している。ホストとして、最大64CPUと1TBのメモリをサポートし、ゲストOSあたり最大16の仮想CPUと64GBのメモリをサポートする。
マーケティング本部 部長の中井雅也氏は、「仮想マシンではパフォーマンスの劣化が課題になるが、当社仮想化製品を使用したテスト結果では、ほとんどのケースで、実マシンに対して仮想マシンの性能劣化を10%以下に抑えることができた。さらに、コスト面についても、当社製品で仮想化インフラを3年間運用した場合、他社製品と比較して大幅なコスト削減を実現できる」と導入メリットを訴えた。
サブスクリプション価格は、管理対象サーバーのソケット単位で、スタンダードサポートが1ソケットあたり年間6万8000円(税別)、プレミアムサポートが1ソケットあたり年間9万8000円(同)。なお、導入支援サービスのRHEV クイックスタート サービスは、80万円(同)からで、同社が直接提供する。
他社製品との機能比較 | 他社製品との3年間コスト比較 |
2009/11/17 16:00