ブルーコート、ソフトウェアやクラウドでも製品・サービスを提供へ


米Blue Coat Systems アジア太平洋地域担当副社長のマット・ヤング氏
現在はアプライアンスサーバーで提供してきた機能を、ソフトウェアやクラウドサービスとして提供する計画だ

 「当社の強みはソフトウェア技術。これまではアプライアンスサーバーで提供してきたが、形態がソフトウェアになっても、クラウドになってもそれは変わらない。今後はよりソフトウェア的なソリューションになるのではないか」―。米Blue Coat Systems アジア太平洋地域担当副社長のマット・ヤング氏は、12月16日に行われた記者説明会でそう述べ、現在はアプライアンスサーバーで提供しているADN(アプリケーションデリバリネットワーク)製品を、将来的にソフトウェアやクラウドサービスとして提供する考えを示した。

 かつては「ネットワーク高速化」を中心に語られてきたADN市場だが、現在ではそれに「アプリケーション管理」「Webセキュリティ」といった要素が追加されるようになり、市場はかなり拡大している。ヤング氏が引用したIDCのレポートによれば、2009年の48億ドルから、2012年には70億ドルへの拡大が想定されており、この3つの要素をすべて手掛けるBlue Coatは、「景気低迷の中でも引き続き成長を遂げている」(ヤング氏)のが現状だ。

 アナリストのレポートを見ても、2009年第1四半期と第二四半期を比べて、WAN最適化、コンテンツセキュリティアプライアンスといった分野でシェアを伸ばし、順調に展開しているのが見てとれるが、Blue Coatではさらなるビジネスの拡張を図るため、提供形態の拡張を視野に入れているのだという。

 Blue Coatでは、「どこからでも、誰でも高速なアクセスを、セキュリティを保った形で利用できるようにする」というビジョンを掲げており、これを実現するために、「アプライアンス、VMware上のソフトウェア、クラウドといったどれか1つではなく、組み合わせて使えるようにする。ユーザーが選べることが重要だ」(ヤング氏)との観点から、提供形態の拡張を決断したと説明する。

 特にクラウドについては、「さまざまなセキュリティメニューを用意できるメリットがある」(ヤング氏)ため、企業の規模やロケーションなどを考慮し、最適なものを選びやすくなるというメリットもある。もちろんクラウドサービスになるとはいっても、WAN高速化などの機能を提供するために、何らかの装置が拠点に必要になるケースはあるが、この点について日本法人のマネージングディレクター、マット・ベネット氏は「さまざまなケースを想定しているが、少なくとも管理面ではクラウドのメリットを提供できるだろう」とした。

 なお、提供形態の拡張時期についてはまだ未定だが、ソフトウェア(仮想)アプライアンスでの提供については、現在ベータ版を提供している段階で、2010年初頭にも、何らかの進展が発表できるだろうとしている。




(石井 一志)

2009/12/16 16:10