富士通、第3四半期連結決算は6四半期ぶりの増収に

通期業績見通しは下方修正

 富士通株式会社は1月29日、2009年度第3四半期連結決算を発表した。2009年4月~12月までの9カ月間の売上高は、前年同期比5.0%減の3兆3334億円、営業利益は15.2%増の153億円、税引前利益は前年同期の145億円の赤字から、11億円の黒字。当期純利益は前年同期の361億円の赤字から、473億円の黒字となった。

 第3四半期(2009年10月~12月)の実績は、売上高が8.8%増の1兆1467億円、営業利益が前年同期の251億円の赤字から黒字転換し336億円、経常利益が前年同期の459億円の赤字から308億円の黒字。当期純利益は407億円の赤字から41億円に黒字転換した。

執行役員上席常務の加藤和彦氏

 執行役員上席常務の加藤和彦氏は、「第1四半期、第2四半期と2ケタの減収だったものが大幅に改善し、6四半期ぶりの増収となった。すべてのセグメントで黒字となった。利益に関しては、価格変動対応、物流コストの見直し、年金資産およびのれん代の償却が影響している」などとした。

 第3四半期(2009年10~12月)におけるセグメント別業績では、テクノロジーソリューションが、売上高が8.9%増の7459億円、営業利益は39.8%増の282億円。

 そのうちサービス事業は売上高が8.9%増の5932億円、営業利益が12.2%減の212億円。システムプラットフォーム事業の売上高は8.9%増の1527億円、営業利益は前年同期の40億円の赤字から、69億円の黒字となった。

 「ソリューション/SI事業は、金融分野などが回復しなかったが、公共、キャリア、医療が堅調に推移した。インフラサービスでは、国内のアウトソーシング事業が堅調だが、欧州の市場環境が想定以上に厳しい。また、IT投資意欲の回復が遅れており、現場では導入したいと思っていても、その判断が遅れている。ITインフラ支援サービスが計画を下回っている」などとした。

 2009年度のサーバー事業に関しては、「国内は前年同期実績でも堅調に伸びている。だが、欧州は景気減速の影響もあり、計画の台数には達していない。国内は計画達成に向かっているが、グローバルでは台数の達成に若干届かない」として、来年度の全世界50万台の出荷計画の実現に向けて、黄色信号がともったともいえそうだ。

 一方で、「サン・マイクロシステムズ向けのUNIXサーバーが回復し、10月以降に投入した新機種の需要が増えている。アゲンストの風は止まり、むしろ動き始めたと認識している」と語った。

 ユビキタスプロダクトソリューションは、売上高が6.3%増の2189億円、営業利益が前年同期の115億円の赤字から、116億円の黒字に転換した。

 富士通テクノロジーソリューションズの連結子会社化と、HDD事業の譲渡による事業再編の影響、為替の影響を除いた実質ベースでは、11%増の増収になっているという。

 第3四半期におけるPCの出荷台数は、前年同期比28%減の149万台となっている。

 デバイスソリューションでは、売上高が1.2%増の1411億円、営業利益が前年同期の211億円の赤字から29億円へと黒字転換した。ロジックLSIがデジタル家電や自動車向けに所要が回復。事業構造改革による減価償却費の負担減や開発の効率化が、利益の回復に影響した。


 また、同社では、2009年度の通期見通しを下方修正した。

 売上高予想を10月公表値に対して500億円減の4兆7500億円(前年比1.2%増)とした。

 営業利益、税引前利益、当期純利益については修正はないが、セグメント間での修正を行っている。

 営業利益では、テクノロジーソリューションで200億円減の1550億円とし、その減額分はすべてサービス事業によるもの。また、ユビキタスプロダクトソリューション事業で100億円増とし、そのすべてが携帯電話事業によるものとした。さらに、その他分野で150億円増、消去および全社で50億円減とした。

 理由として、オーディオ・カーナビゲーション機器などで増額するが、国内外においてIT投資の抑制傾向が継続するなど、サービスビジネスでの市況回復が遅れていること、パソコンの価格競争が一層激化するとともに、欧州を中心に市況が低迷していることの影響を受けるためとしている。

 なお、同社では、PCの年間出荷計画を下方修正し、10月公表値から50万台減の560万台とした。期初計画では、650万台としており、今回が2回目の下方修正となる。

 「海外のPC事業が厳しい状況。海外向けコンシューマPC事業の絞り込みを行ってきた。採算性が悪い領域には入っていないということは考えている」などとした。





(大河原 克行)

2010/1/29 18:30