「SQL Server 2008 R2」の国内発売は5月1日、ライセンス版の価格も発表


 マイクロソフト株式会社は2月18日、次期データベース製品「SQL Server 2008 R2」のボリュームライセンスを5月1日に発売すると発表した。同時に、参考価格も明らかにされており、プロセッサライセンスの参考価格は、Open Businessライセンスの場合、「SQL Server 2008 R2 Datacenter」が1030万円(税別)、「同 Enterprise」が511万円(税別)、「同 Standard」が134万円(税別)。またパッケージ製品は6月の発売になるほか、主にOEM(アプライアンス)向けとなる「同 Parallel Data Warehouse」は、もう少し後に提供開始となる見込み。

 SQL Server 2008 R2は、SQL Server 2008ベースで開発されている最新のデータベースソフトウェア。「信頼性や堅牢性を継承しながら、お客さまに求められる最新機能を追加している」(サーバープラットフォームビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー、斎藤泰行氏)とのことで、クラウドとの連携などの最新機能を追加。商用課金が開始されたばかりのSQL Azureとのシームレスな連携をサポートし、オンプレミス、パブリッククラウドといった違いを気にせずに利用することができる。

ライセンスの価格SQL Sever 2008 R2の特徴サーバープラットフォームビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー、斎藤泰行氏
プロセッサコアあたりのライセンス費用の変遷
物理ソケット単位の課金がもたらす価値

 ライセンス面では、従来同様プロセッサライセンス、サーバーライセンス+クライアントアクセスライセンス(CAL)の両方式を用意した。斎藤氏はこのうち、プロセッサライセンスについて触れ、ソケット単位の課金であることのメリットを強調する。

 ソケット単位のライセンスが強みとなるのは、CPUのマルチコア化が急速に進んでいることが大きく影響している。競合製品のOracle Database(Enterprise Edition)では、x86系CPUの場合、コア数×0.5で必要なプロセッサライセンス数が決まるというライセンスポリシーを採用している。サーバーに搭載するCPUがデュアルコアであれば、SQL ServerもOracle Databaseもプロセッサライセンスは1つで済むのだが、クアッドコアCPUが主流となっている現在では、Oracle DatabaseはSQL Serverの倍、2プロセッサライセンスが必要。さらに、8コア、12コアなど、よりコア数の多いCPUロードマップがCPUベンダーから発表されており、コア数ベースのライセンス課金を採用する製品の場合は、必要なプロセッサライセンスが拡大してしまう。斎藤氏はこういた点を指摘し、「マルチコア時代に、ソケット単位課金のSQL Serverの強みが生きる。12コアの場合、4年前のSQL Server 2005と比べて、コア単価は1/4未満で済む」と、その強みをアピールする。

 また、SQL Server 2008 R2では多くの新機能を含めてさまざまな機能を提供するが、これらが標準機能であり、追加費用がかからないという点も特筆すべき点だという。

 「大規模なデータを取り扱う必要がある場合、データ圧縮やパーティショニングの機能を、標準機能で提供している。しかし、Oracle Databaseでは基本ライセンス費用のそれぞれ22%が必要になる。つまり、ライセンス費用が高くなるマルチコアでは、より多くの費用が必要になる。これは保守料金についても同じことがいえ、総所有コストでは大きな差が出るだろう」(斎藤氏)。
【お詫びと訂正】初出時、ライセンス費用の割合を間違って記載しておりました。お詫びして訂正します。


保守料金は、ライセンス費用の総額に対して発生するため、総所有コストでも大きな差が出るという仮に100%、ライセンス価格をディスカウントされたとしても、結果的には大きな差になる
キャンペーンの概要

 マイクロソフトでは、2月18日から4月末まで、「SQL Server 2008トリプルキャンペーン」を実施する。対象は、マイクロソフトのボリュームライセンスプログラムにおいて、製品ライセンスと保守契約「ソフトウェアアシュアランス(SA)」のセット(以下、L&SA)を購入するユーザー。購入するライセンスに応じて最大57万円(SQL Server 2008 Enterprise プロセッサライセンスの場合)をキャッシュバックするほか、L&SAの価格を15%割り引く。SAを購入する分、割高になる金額を、キャッシュバックと割引によって相殺する形で、SAの特典を使えば、SQL Server 2008 R2へのアップグレードも追加費用なしで行えるメリットがある。

 なお、既存のボリュームライセンスプログラムを利用したキャンペーンのため、SQL Server 2008 Enterpriseの上位になる新エディション、SQL Server 2008 Datacenterを直接購入することはできない。ただし、「Enterpriseで対応できない、8CPUを超える大規模要件でSQL Serverを導入したい、というお客さまの要望に応えるため、8プロセッサライセンスを超えるライセンスを購入していただいた場合は、Datacenterへの無償アップグレードを提供する」(斎藤氏)としている。




(石井 一志)

2010/2/18 18:13