「2010年はデスクトップ革新元年に」、シトリックスが新戦略を発表


2010年の新戦略「デスクトップイノベーション」
代表取締役社長のマイケル・キング氏

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は2月24日、2010年戦略発表会を開催。デスクトップ仮想化を軸にした「デスクトップイノベーション」戦略を発表した。

 2009年の業績は、ワールドワイドの売上高が2%増だったのに対して、日本は3%増と上回る結果となった。同社代表取締役社長のマイケル・キング氏は、「第4四半期をみると、デスクトップ仮想化が大幅に増加している」と、デスクトップ仮想化分野が成長しはじめていると説明。

 これを踏まえ、キング氏は2010年をデスクトップ革新元年にすると宣言。「デスクトップ仮想化は、日本においてもメインストリームの技術となってきた。これを推進する上で、日本におけるブランド認知度の向上、セールスとサービスの強化、パートナーとのデスクトップ仮想化ビジネスの強化などを行っていく」とした。

 エンタープライズビジネスを強化するにあたり、1月付けでセールスフォース・ドットコム副社長だった木村裕之氏を副社長として採用したと発表。木村氏を、営業およびサービス部門の統括とすることで、日本国内でのセールスとサービス基盤を強化していくとした。

 木村氏は、「デスクトップ仮想化において、サーバー仮想化製品を選ばない唯一のソリューションを提供しているのがシトリックス。シトリックスの売上に占めるデスクトップ仮想化の割合も、米国では2008年の2%から2009年は23%と大きく成長している。日本の場合、2009年が4%だったので、これから大きく伸びると感じている」と、デスクトップ仮想化分野で大きく成長する企業であると述べた。


副社長の木村裕之氏デスクトップ仮想化ソリューションが占める割合。米穀では2009年に大幅に拡大している
デスクトップイノベーション戦略の柱となる4つの施策

 今回発表されたデスクトップイノベーション戦略について、木村氏は、「“エンタープライズ営業の強化”、“アップセリング・クロスセリングの展開”、“DaaS/クラウドビジネスの推進”、“サービス基盤の強化”、の4つの施策を柱に展開する」と紹介。

 エンタープライズ営業の強化では、大企業の新規顧客を中心としたハイタッチ営業を、2009年と比べて約3倍に増強する。「昨年はトップ25社にフォーカスしたが、今年は200社にフォーカスする」(木村氏)と、アカウントごとに最適なリソースを配分して対応すると発表。また、SIerを通じたビジネスでは、認定SIerの開拓、技術情報の共有などを通じて連携強化を行っていく。「アプリケーション仮想化では部門最適がはかられたが、デスクトップ仮想化では全社最適が可能。しかし、より複雑化していくので、SIパートナーの力が非常に重要になっていく」(木村氏)と、SIパートナーに対しても積極的に支援する考えを示した。

 アップセリング・クロスセリングの展開では、既存のXenAppユーザーに対して、XenDesktop 4への拡張をすすめるトレードアッププログラムを実施する。「XenAppを利用する企業は1万8000社。これは大きな財産であり、このユーザーを大切にしていく」(木村氏)と、ユーザー資産を最大限に活用すると説明。そのほか、ネットワークアプライアンスを含めたソリューション群のクロスセリング強化も行っていく。「サーバーからネットワークまで、すべての仮想化ソリューションを持つのはシトリックスだけ。部門最適から全社最適に進める際、ネットワーク仮想化などを一緒に提供していく」(木村氏)と述べた。

 DaaS/クラウドビジネスの推進では、パートナー各社に対して、シトリックス製品を提供することで、同社の仮想化ソリューションの利用機会の拡大を図る。「シトリックスの強みは、HDXという高速のプロトコルを持っているところ。これを生かして、パートナーとともにビジネスを推進していく」(木村氏)。

 サービス基盤の強化では、コンサルティング・教育・保守サポート、の3つの分野において、サービスプログラムの拡充を行う。「提案から構築、保守・運用まで、SIパートナーのビジネスは幅広い。3つの分野で専任の担当者を用意して対応する」(木村氏)と、新しいソリューションであるデスクトップ仮想化ビジネスをスムーズに進めるための支援を行う考えを示した。


SIパートナーに対して、3つの分野でサービスプログラムを拡充サービスプログラムの詳細アライアンスパートナーエコシステムには150社が参加
マイクロソフト、エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 兼 パートナーソリューション本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏

 戦略発表会には、アライアンスパートナーであるマイクロソフト株式会社 エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 兼 パートナーソリューション本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏が出席。両社の協業関係が強固であるとアピールした。

 「両社は20年以上にわたる協業関係にある。特に変化するIT基盤に対するビジョンである“Optimized Desktop”を両社が共有しているのは重要な点。マイクロソフトのプラットフォームにシトリックス製品で機能拡張することで、効率的なリモート接続、統合管理、高い費用対効果といったメリットが出ている。マイクロソフトにとっては、自社でカバーしていない製品分野をシトリックスとの協業でサポートできるのは大きなメリット。製品がバッティングしているのではないかという指摘もあるが、全社規模でのVDIを実現する場合にはシトリックス製品を組み合わせるのが最適」(杉山氏)と、両社製品が補完関係にある点を強調した。





(福浦 一広)

2010/2/24 16:23