MetaMojiの第2弾製品、XBRL活用ソフト「MashIQ XBRL Report」

評価版を提供、2011年に有償サービス化

 株式会社MetaMojiは4月20日、XBRL(eXtensible Business Reporting Lanuage)データを活用したレポート作成・活用ソフト「MashIQ XBRL Report」を発表した。英語評価版の無償提供を同日より開始し、2010年内にも日本語評価版を提供。評価版の提供を通じて、2011年より有償サービスを開始する予定とする。


代表取締役社長の浮川和宣氏代表取締役専務の浮川初子氏
XBRLは「タクソノミ」と「インスタンス文書」で構成される

 XBRLは、財務情報が作成・流通・再利用できるように標準化されたXMLベースの言語。国際会計基準「IFRS」により、世界中の企業の経営状況を、業界の垣根を越えて1つのものさしで計れるようになる。そのIFRSを支える基盤技術がXBRLで、勘定科目やその関係性(項目インデックスのようなもの)を定義した「タクソノミ」と、それを参照して作成した「インスタンス文書」で構成されている。日本では金融庁EDINET、東証TDNet、国税庁e- Taxの報告用データ形式で採用され、海外でも米国SEC、欧州中央銀行をはじめ多くの機関で採用されている。

 代表取締役社長の浮川和宣氏によれば、「今後、報告用データ形式以外にも、証券アナリストレポートへの適用や、企業のグループ連結経営レポートなどへ利用シーンが広がっていくと考えられるが、これまでのXBRLは、システム間のデータ処理フォーマットに使われるのにとどまり、広くアナリストや個人投資家が活用するまでには至っていない」という。

 MashIQ XBRL Reportは、「XBRL処理プロセッサ・エンジン」に加え、XBRLデータを柔軟に活用するための「ユーザー処理環境」を併せ持つのが特長で、企業が開示したXBRLの報告書を柔軟に表示できる。

 企業が開示した通りのXBRLをそのままネイティブに扱えるほか、決算時期や勘定科目を自由に絞り込んで表示できる。また、タクソノミが異なる複数のXBRLデータを比較・分析可能で、「例えば同じ製造業でも業界が異なると勘定科目も微妙に異なるものだが、MashIQ XBRL Reportではタクソノミの揺れを吸収して、国や業界が異なる複数の企業でも横並びで比較表示できるようになる」(代表取締役専務の浮川初子氏)という。


XBRLデータを表示期間や勘定科目を任意に絞り込める。これはEDINETで提供されているビューワでは不可能という四半期ごとの比較が容易

タクソノミの揺れを吸収してくれるため、国や業界が異なる企業同士でも比較が可能日立、パナソニック、東芝、任天堂のデータを実際に比較

 また、IFRSで2010年4月より義務化されているセグメント情報開示にも対応。例えば、売り上げの表示を商品別、地域別などにセグメント化して、より詳細に財務情報を開示しなければならないのだが、このセグメント情報を記述できるようにXBRL仕様を拡張した「Interactive Dimensionsマルチビュー」を提供。複数企業のセグメント情報を横並びに表示できるようになっている。

 レポート作成にあたっては、PDF出力と「Inline XBRL」によるWeb公開が可能。Inline XBRLはHTML文書内にXBRLのタグを付与した財務情報を埋め込む技術で、XBRLデータ部分だけを容易に抽出して再利用できるのが特長。英国HMRC(国税庁)や米国SECでは、このInline XBRL形式での開示が採用されている。


セグメント情報に対応する「Interactive Dimensionsマルチビュー」を搭載期間ごとに部署で集計したり、部署ごとに期間で集計したり、思いのままに切り替えられるレポートはPDFやInline XBRL形式に対応

 MetaMojiは、アナリストや投資家、および財務諸表作成担当者や監査法人に訴求する考え。4月20日より英語評価版の無償ダウンロードを開始し、2010年内に日本語評価版も提供する。2011年には有償サービス化を予定し、当面はクライアントアプリケーションの提供と技術支援コミュニティサイトの運営などを検討するほか、順次サーバー機能などの価値を提供していく予定としている。





(川島 弘之)

2010/4/20 17:00