日本オラクル、営業担当の生産性向上やBI機能強化を図ったSaaS型CRM新版
強化ポイント |
執行役員 CRM On Demand統括本部長 藤本寛氏 |
Sales on the Goの活用イメージ |
日本オラクル株式会社は4月21日、SaaS型CRMアプリケーションの新版「Oracle CRM On Demand R17」を発表した。同日より提供を開始する。価格は、1ユーザーあたり月額7989円から。
Oracle CRM On Demandは、SaaS形式で提供されるCRMアプリケーション。SFA(営業支援システム)を中心に、コンタクトセンター、マーケティング、フィールドサービスなど、顧客との接点にかかわる業務機能を包括的に備えるほか、SaaSならではの特長を生かし、短期導入や小規模からの導入が可能で、運用コストも抑えられるといった特徴を持つ。
もともとは米Siebelの買収に伴い、Oracleのポートフォリオに追加されたものだが、買収後も堅調に推移しているとのことで、「日本でも、SaaSビジネスの拡大の可能性を感じて専任組織を作り、2年ちょっとが経過した。リーマンショックの後、当初想定していたよりもビジネスの伸びは落ちたが、それでも倍々ペースでは伸びてきている」(執行役員 CRM On Demand統括本部長 藤本寛氏)という。
今回の新版では、「スマートクライアント」「BI」「コラボレーション」の3つの領域を中心に機能強化が行われた。「スマートクライアント」では、Flash+Adobe Airベースのインターフェイスが利用可能になったほか、ヘッドアップディスプレイ機能、レコードのコピー機能などによって、ユーザーの使い勝手の向上が図られている。
また今後は、無償オプション「Sales on the Go」の提供も予定されている。この機能は、営業担当者が訪問した顧客先でプレゼンテーションを行った場合に、「どのスライドを使って、どのくらいの時間説明したかといった、リアルなデータを蓄積できるようにする」(CRM On Demand統括本部 CRM SC本部 シニアセールスコンサルタントの山瀬浩明氏)ためのもの。そのために、訪問先の顧客情報、訪問計画、プレゼンテーション資料をダウンロードして営業現場で活用できるほか、記録したデータは、帰社時に自動的にOracle CRM On Demandへアップロードされる。
山瀬氏はこうした機能のメリットを、「現場にとっては、営業活動と報告を同時に行えるので、生産性が高まるし、管理側にとっては、より正確な情報を得られる。またマーケティング側では、どの資料が効果的だったかがわかる」と、具体的に説明。営業担当者の活動の可視化と、適切なサポートに役立つとした。
「BI」では、分析(売り上げ予測)機能を強化。会計年度や基幹の柔軟な設定、売上金額や製品量など多角的な軸による売り上げ予測、現在と過去の売り上げ予測の比較などが可能になっている。また、業務フロー内で各自が設定した時間に、自動で活動内容や情報入力不足事項をアラートする機能も搭載した。
「コラボレーション」では、代理店企業の案件情報を管理する機能が強化されている。代理店の審査、代理店向けプログラムの提供といった代理店開発から、代理店とのコラボレーション、また代理店ごとの価格設定、案件ごとの特別値引きのプロセス設定といった機能によって、パートナービジネスに関する支援機能がより拡充されている。
藤本氏は、CRMを取り巻く環境について、「本来は売り上げ増が期待される分野だが、現状では、“証明されていない”売り上げ増に対する投資はなかなかゴーサインが出ない。結果、オペレーションコストの削減が案件の6割くらいを占めている」と説明。「スマートクライアント」の強化によってここへの対応を進めたとしたほか、データ活用が進む顧客については、単なる営業の業務支援だけでなく、ためたデータの活用を進められるように、「BI」の強化も行っていると話している。
2010/4/21 17:15