「CA ARCserve r15」が発売、低コストのイメージバックアップにも対応
CA ARCserve r15ポートフォリオ |
CA Technologies(CA)は5月31日、リカバリ・マネジメント・ソリューションの新版「CA ARCserve r15シリーズ」を発表した。6月14日より順次出荷する。
ARCserveシリーズは、企業向けのバックアップ・リカバリ製品群。今回、既存のバックアップ製品「ARCserve Backup」、レプリケーション製品「ARCserve Replication/High Availability(HA)」に、よりシンプルで低価格なディスクベースのイメージバックアップ製品「ARCserve D2D」を新ラインアップに追加して、全方位のデータ保護ソリューションとして提供する。
■対応環境の拡充など図った「ARCserve Backup r15」
ARCserve Backup r15は、大規模環境向けの高機能なバックアップソフト。価格は15万円(税別)より。
新版では、GUIの強化、対応環境の拡張(Exchange Server 2010/SharePoint Server 2010/SQL Server 2008 R2/Oracle Database 11g Release 2)を図ったほか、バックアップ環境のノード相関図を図式化する新機能「Infrastructure Visualization」を搭載。常に最新のバックアップ構成図を表示し、ジョブのステータスを色で識別できるようになっている。
GUIの強化でマニュアル不要の簡単バックアップを実現 | バックアップ環境を図式化するInfrastructure Visualization機能 | そのほかの新機能と拡張機能 |
■ファイルサーバー限定版など拡充した「ARCserve Replication r15/HA r15」
ARCserve Replication r15/HA r15は、リアルタイムのデータ保護が可能なレプリケーション(複製)ソフト。通常版の価格は19万8000円(税別)より。
新版では、仮想化環境への対応を強化。仮想ゲスト単位の複製機能において、VMware/Hyper-Vに加えてXenServerにも対応したほか、Hyper-Vホスト単位の複製機能を新たにサポートした。Hyper-Vホスト上のゲストを丸ごと複製するため、レプリカでの環境設定が簡単という。
アプリケーション対応も拡張。Exchage/Oracle/SQL Serverなどのアプリケーション自動検出機能で、新たにIISをサポートしたほか、ARCserve HA r15に複数のシナリオをまとめて切り替えられる「グループ管理機能」を搭載した。例えば、「データベースに障害が発生し複製機に切り替える際、同時にIISも切り替える」といった運用が可能となる。
このほか、さまざまな環境に適応できる通常版とは別に、機能限定版としてファイルサーバー専用ライセンスを拡充。「ファイルサーバー専用版 メンテナンス付」「ファイルサーバー専用版 HA メンテナンス付」「シングルサーバーレプリケーション」の3種類を取りそろえた。
従来よりファイルサーバー専用の複製パッケージが提供されていたが、これにメンテナンス(年間保守)も付けてライセンスプログラムとして提供するのが「ファイルサーバー専用版 メンテナンス付」。さらに障害時に複製機へ切り替えるHA機能も加えたのが「ファイルサーバー専用版 HA メンテナンス付」。最後の「シングルサーバーレプリケーション」は、同一サーバー内で別のディスクにレプリケーションできるライセンスで、外付けHDDやNASなどをレプリケーション先にすることで安価な導入が可能となる。
価格は「ファイルサーバー専用版 メンテナンス付」が11万8000円(税別)より、「ファイルサーバー専用版 HA メンテナンス付」が22万8000円(同)より。
仮想環境の複製に2つの方法を提供 | 複数のシナリオをまとめて切り替える「グループ管理」機能を搭載 | ファイルサーバー専用に新たなラインアップを追加 |
■ディスクベースのイメージバックアップ新製品「ARCserve D2D r15」
必要な機能だけを搭載したARCserve D2D r15の概要 |
ARCserve D2D r15は、今回から追加される、ディスクベースのイメージバックアップ新製品となる。大規模環境向けで高機能なARCserve Backupに対して、ARCserve D2D r15では小規模システムのニーズに焦点を絞り、「簡単(Easy&Simple)」さを実現した。
Windowsサーバーに導入し、システム全体、またはディスクやボリュームを素早く簡単に保護できるため、管理者の手薄な環境であってもすぐに導入、安定して利用できる。必要な機能だけに絞ることで、小規模システムへのソリューション展開を図る狙いだ。
バックアップ機能には、同社独自の「Infinite Incremental Technology(アイツーテクノロジー)」を採用する。1回目のフルバックアップ以降はブロック単位の増分バックアップとする技術で、1回目、2回目、3回目とそれぞれに復旧ポイントが設けられる。また、増分ブロックが4つ以上になった際には、一番古いブロックをフルバックアップとマージして、常に3つのブロックしか持たない仕組みにより、「やみくもにブロックを積み上げてディスク容量を圧迫する」といった事態を防いでいる。
製品ラインアップは「Basic」「Standard」「VM Protection per Host License」の3種類。BasicとStandardはともにサーバー単位のライセンス体系で、増分バックアップに対応するのだが、Basicのみ1週間に1回はフルバックアップが必要となる。VM Protection per Host Licenseは、VMware/Hyper-V/XenServerの各環境において、1ライセンスで同一ホスト上のゲストOSを無制限に保護できるもの。
価格は、Basicが8万円(税別)、Standardが10万円(同)、VM Protection per Host Licenseが25万円(同)。すべて年間保守が含まれる。
使いやすいWeb GUI | アイツーテクノロジによるブロック単位の増分バックアップに対応 | 仮想環境への対応 |
■無償ハンズオンなどパートナー支援を強化
ストレージ・ソリューション事業部長の江黒研太郎氏 |
ストレージ・ソリューション事業部長の江黒研太郎氏は、3種類の製品をそろえたことで、「多様化するデータ保護のニーズに全方位で対応できる。ARCserve Backup r15がデータ保護の大黒柱となり、災害対策・サービス継続を簡単に行いたい場合はARCserve Replication/HA r15、より簡単で低価格なバックアップがしたい場合はARCserve D2D r15が最適となる」と説明。
今後はさらにパートナー支援に力を入れ、「2009年に好評だったARCserve ReplicationとD2D向けの無償ハンズオンを毎週開催し、延べ4000名のエンジニア育成を目指したい。同時にホワイトペーパーなどの技術資料の充実や、仮想環境でのバックアップ方法を3時間で速習する無償トレーニングなども実施する」(江黒氏)としている。
2010/5/31 17:05