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OS込みで無償配布された「Hyper-V Server 2008」ファーストインプレッション


 10月1日にマイクロソフトのWebサイトで公開されたHyper-V Server 2008(以下、Hyper-V Server)は、9月に米国で行われた仮想化戦略に関するセミナー(Virtualization Day)で米Microsoft上級副社長のBob Muglia氏が無料で提供すると発表したモノだ。

 Hyper-V Serverは、Windows Server 2008のServer Core(GUIレスのOS)+仮想化ハイパーバイザのHyper-Vがインストールされたモノといっていいだろう。Hyper-V Serverは無料で提供されるため、OS部分を含めて、ユーザーは無料で利用することができる。

 Hyper-V Serverの無料提供は、仮想化で先行しているVMwareへの対抗策の一環といえる。実際、VMwareの仮想化ハイパーバイザのVMware ESXiは、すでに無料で提供されている。


Hyper-V Serverはこんな感じ

 現在Hyper-V Serverは、MicrosoftのWebサイトからダウンロードできるようになっている。USサイトだが、Hyper-V Serverは日本語を含む多言語対応のものがダウンロードできるようになっている。

 Hyper-V Serverは、DVDのISOイメージファイルとして提供されている。容量は1GBと非常にコンパクトだ。

 インストール自体は、非常に簡単だ。ダウンロードしたISOイメージを焼いたDVDメディアからブートすれば、OSのインストールが自動的に始まる。重要なのは必ずHDDが必要ということだ。VMware ESXiのようにUSBメモリからハイパーバイザをブートするといったことはできない。いったんHDDにインストールする必要がある。


Hyper-V Serverのインストール画面。多言語対応している インストールはWindows Server 2008とほとんど同じステップで進んでいく Hyper-V Serverのログイン画面。Hyper-V関連の基本設定は「Hyper-Vの構成」で行える

 Hyper-V Serverは、Server CoreにHyper-Vの役割がすでにインストールされた状態で提供されている。Server Coreと違って、インストール後にHyper-Vを追加する作業は必要ない。また、Server Coreでは、コマンドラインで操作しなければならないため、操作に必要なコマンドを知っていないと初期設定(ネットワークやサーバー名の設定)が行えなかった。しかし、Hyper-V Serverでは、初期設定を行うためのバッチファイル「Hyper-Vの構成(hvconfig.cmd)」が用意されている。

 Hyper-Vの構成では、

  • ドメインへの登録、ワークグループ名の変更
  • コンピュータ名の変更
  • ネットワーク設定(IPアドレス、DNSサーバーの設定など)
  • ローカル管理者の追加
  • Windows Updateの設定
  • 更新プログラムのダウンロードとインストール
  • リモートデスクトップの設定
  • 地域と言語のオプション
  • 日付と時刻
  • ユーザーのログオフ
  • サーバーの再起動
  • サーバーのシャットダウン

などの設定が、メニュー形式で行えるようになっている。このあたりは、Server Coreでも面倒な部分だったので、初期設定が非常に便利になっているのはありがたい。

 ただ、複数のネットワークカードや外部ストレージなどを利用する場合、インストールメディアにドライバが入っていないと、ユーザー自身がServer Core上でドライバのインストールを行う必要がある。

 多くのドライバインストールプログラムは、フルインストールのWindowsで動作することが前提になっているため、Server Core上でインストールできないこともある。もし、ドライバを手動でインストールするには、コマンドラインで「PNPUTIL -i -a ドライバ名.inf」を実行して、ドライバをインストールすればいい。


 なお、Hyper-V Serverでは、

  • BitLockerドライブ暗号化
  • BitLockerのリモート管理ツール
  • リムーバブル記憶領域
  • マルチパスI/O
  • ネットワーク負荷分散
  • 簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)
  • Telentクライアント
  • バックアップ

などの機能を追加することができる。

 Windows Server 2008のServer Coreでは、Active Directory、DHCPなどさまざまな役割や機能をインストールできるようになっているが、Hyper-V Serverでは、仮想化で利用する機能しかサポートされていない。つまり、Hyper-V Serverを使って、タダでActive Directoryサーバーを構築することはできない。


 今回は、仮想HDDなどの仮想環境のデータを保存するドライブとして、バッファローのiSCSIドライブ「TeraStation IS」を使用した。Server CoreでのiSCSI設定は、コマンドラインで行うため非常に面倒だ。

 このため、バッファローが提供しているiSCSIの設定ソフトをHyper-V Serverにコピーして動かしてみた。サポートされているわけではないが、iSCSIの設定ソフトはきちんと動作した。これを使えば、iSCSIのイニシエータを動作させたり、イニシエータ名の設定などもGUIで簡単に行うことができた。できれば、バッファローでもiSCSI設定ツールのサポートが明示できるようになれば、使いやすくなるのだが。


Hyper-V Serverはリモート管理が便利

 以前掲載したServer Coreの記事でもいったように、Server Coreをコントロールするには、コマンドラインよりもリモートでMMCなどのGUIベースのツールを使ってコントロールした方が使いやすい。また、MMCなどで管理できない部分は、リモートデスクトップ機能を利用して、リモートPCからHyper-V Serverを操作するといいだろう。

 Hyper-V Serverのリモート管理は、Windows Vista SP1やWindows Server 2008のMMCから行える。実際テストしてみると、Windows VistaのMMCを利用して、Hyper-VマネージャによりHyper-V Serverの仮想環境をGUIで操作することができた。ここまでくれば、コマンドラインしかないHyper-V Serverでも非常に簡単に操作することができる。

 ただし、注意が必要なのは、Hyper-V Serverのファイアウォールのコントロールだ。リモート管理(リモートMMC)を行うには、Hyper-V Serverのファイアウォールのルールを設定する必要がある。テストであれば、ファイアウォール自体をオフにしてもいいが、実運用を考えれば、必要なルールだけをコントロールしておかないと、セキュリティ的にHyper-V Serverがぜい弱になってしまう。

 ファイアウォールのルールをコントロールするには、コマンドラインで行う必要がある。Server Coreの記事で紹介したように、必要なコマンドをHyper-V Serverで設定すれば、リモートPCのMMCでファイアウォールのコントロールをGUIを使って行うことができる。

 また、RC版がリリースされているSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)2008を利用すれば、複数のHyper-V Serverを統一的に管理することもできる。


ライセンスを気にせず使えるのがHyper-V Serverの利点

 無料で提供されているHyper-V Serverだが、実運用環境を考えるとすべて無料なのかということには疑問がある。仮想マシン上で動作するWindows OSに関しては、ライセンスが発生するためだ。また、Windows Server 2008のライセンスを持っていれば、Hyper-Vは同梱されているので、わざわざHyper-V Serverを利用するメリットはないということにもなる。

 とはいっても、すでにWindows NTやWindows 2000 Serverを利用していて、仮想化で新しいサーバーに移行するときには、Hyper-V Serverを利用するメリットはある。また、GUIがないとはいってもWindows Server 2008の中核部分となっているServer CoreとHyper-Vが無料で利用できるのは、ライセンスなどを気にしなくて利用できるのでIT管理者にとってはいろいろ便利そうだ。

 テスト環境などとして利用することもできるし、個人がWindows XPとWindows Vistaを切り替えて利用するといったことにも利用できるだろう。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Hyper-V
  http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2008/technologies/hyperv.mspx
  「Hyper-V Server 2008」ダウンロード
  http://www.microsoft.com/Hyper-VServer

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  ・ 米Microsoft、「Hyper-V Server 2008」の無償提供を開始(2008/10/02)


( 山本 雅史 )
2008/10/17 09:00

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