NTT Com、一時的なデータ急増に対応する「バーストイーサアクセス」

企業ネットワークサービスの新アクセスメニュー

ブロードバンドIP事業部 サービスクリエーション部 担当部長の高部文宏氏

 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は5月25日、企業向けネットワークサービスにおいて、急激で一時的なデータ増加に対し、コストを抑えつつ柔軟に対応可能な新アクセスメニュー「バーストイーサアクセス」を発表した。7月1日から提供開始する。

 バーストイーサアクセスは、接続回線の一部帯域を確保し、不定期に発生する一時的なデータ急増(バースト)時に柔軟に増速が可能なアクセスメニュー。通常、1Mbps/10Mbpsの帯域を確保しておき、データが急増した際に、それぞれ10Mbps/100Mbpsまでバーストさせることができる。

 これにより、「ギャランティ型アクセス」と「ベストエフォート型アクセス」のいいとこ取りが実現すると、ブロードバンドIP事業部 サービスクリエーション部 担当部長の高部文宏氏は語る。

 ギャランティ型は10Mbpsや100Mbpsなど契約帯域を常に確保するもので、ベストエフォート型は帯域を確保しないもの。高部氏によれば「前者は、契約範囲内で100%の帯域が確保される反面、月額料金が高く、契約範囲を超えて増減するのが大変なのがデメリット。後者は、低価格な反面、帯域が確保されないため法人利用としては品質に欠けるのがデメリットだ。バーストイーサアクセスは、この2つの中間に位置付けられる新メニューで、環境やデータ環境の変化が激しいクラウド時代に最適なものになっている」という。

ネットワークサービスからアウトソース、アプリケーションサービスまで一貫して提供するNTT Comの「BizCITY」。バーストイーサアクセスはその中の「ArcStar IP-VPN」「e-VLAN」「ビジネスOCN」のアクセスメニューとして提供されるバーストイーサアクセスの概要。一部の帯域を確保し、10Mbpsもしくは100Mbpsまでバースト可能従来のギャランティ型とベストエフォート型の中間に位置付けられる

 価格は、通常10Mbpsの帯域を確保し、100Mbpsまでバーストできる「バースト100」が約30万円。1Mbpsの帯域を確保し、10Mbpsまでバーストできる「バースト10」が約9万円。従来の100Mbpsギャランティ型が70万円なので、例えば10Mbpsで契約していて増速しようとした際、バースト100を選択した方が40万円も低コストとなる。

 また、利用拠点の制限はなく、本社などのサーバー集約拠点だけでなく、支店間など、どの拠点との通信もバーストが可能。このため、ユーザーのビジネスにあわせた多様なネットワーク利用形態が実現するという。

 さらに確保帯域とバースト部分をデータに応じて使い分ける運用も可能。例えば、受発注などの重要な基幹系データは確保帯域、Webやメールなどの情報系データはバースト部分を使って高速に通信することができる。

 同サービスが利用できるのは、IP-VPNサービス「ArcStar IP-VPN」、広域イーサネットサービス「e-VLAN」、インターネット接続サービス「ビジネスOCN」の3サービス。これらの新アクセスメニューとして提供される。サービス提供エリアは全国で、既存のイーサアクセスと同等のエリア展開となる。

ギャランティ型1Mbpsが8万円なのに対し、バースト10が9万円。ギャランティ型10Mbpsが26万円なのに対し、バースト100が30万円。ギャランティ型100Mbpsの70万円よりも低コストで導入可能基幹系データを確保帯域にて、情報系データをバースト部分にて通信といったような使い分けが可能





(川島 弘之)

2009/5/25 17:22