ユーフィット、Dynamics AXの会計機能を補完する短期導入サービス

会計テンプレートを独自開発、日本特有の要件に対応

Microsoft Dynamics AX 会計クイック導入サービス
ユーフィット 取締役執行役員 ソリューションビジネス事業部長の佐藤祐次氏

 株式会社ユーフィットは7月1日、マイクロソフト株式会社と、ERPソフトウェア「Dynamics AXシリーズ」に関するソリューションプロバイダ契約を締結したと発表した。これに伴いユーフィットでは、独自開発の同シリーズ向け会計テンプレートを活用した「Microsoft Dynamics AX 会計クイック導入サービス」(以下、クイック導入サービス)を、中堅・大企業向けに提供する。

 ユーフィットではもともと、他社のERPソフトウェアを用いてERP事業を展開していたが、「現在の不況の中で、コスト削減の要望を、特にグローバルに展開する企業を中心にいただいている」(ユーフィット 取締役執行役員 ソリューションビジネス事業部長の佐藤祐次氏)。ただし、国際展開する上では、国産製品ではコスト削減の効果を発揮するのは難しいことから、グローバルで1万1000社の導入実績を持ち、「コスト、特にランニングコストで圧倒的な差別化を実現している」(佐藤氏)Dynamics AXに白羽の矢を立てた。

 しかし、日本語対応を含めた“日本化”が行われているとはいえ、海外のERP製品では、日本の商習慣にあわない部分がどうしても発生してしまう。ユーフィットではこのことを踏まえ、今まで手掛けてきたERPビジネスのノウハウを盛り込んだ「会計テンプレート for AX」(以下、テンプレート)を6カ月かけて開発。これを活用したクイック導入サービスを展開するという。

 テンプレートやサービスの名前が表すように、今回ユーフィットがフォーカスしているのはDynamics AXが持つ機能のうち、基本的な会計機能の部分。テンプレートでは、管理会計組織を意識し、複数の階層型組織マスターを設定できるようにしたほか、多数ある仕訳入力項目を必要なもののみに絞り込んだ画面を日本向けに開発している。さらに、22種類の帳票をあらかじめ用意することで、導入時のユーザーの負荷を軽減した。佐藤氏によれば、このテンプレートを用いると主に構築フェーズにおける省力化が見込まれるとのことで、標準6カ月程度かかる会計機能導入を、2カ月短縮可能。また構築に先立つ要件定義や設計のフェーズでもテンプレートを見ながら進めていけるため、通常よりも期間を短縮できるとしている。

会計テンプレート for AXの機能一覧追加された機能のうち、損益計算書の指示画面

 今後は、ユーザーニーズを反映し、管理会計機能のテンプレート化を継続して実施。さらに、国際会計基準の適用を見据えて、日本特有の機能の開発も図るほか、買い掛けや売り掛けなどの機能についても、順次対応していく予定だ。

Dynamics AXでは基本機能の部分とカスタマイズ部分を独立させているため、バージョンアップ時にもカスタマイズ部分を引き継ぐことができる

 なお、マイクロソフト側でもDynamics AXの継続的な機能強化を実施しているが、Dynamics AXは、カスタマイズ資産をバージョンアップ時にも引き継ぎ可能なアーキテクチャを採用しているので、サードパーティのテンプレートが容易に新版へ移行できる点も強み。実際に、テンプレート開発開始時の「Dynamics AX 4.0」から、現在では「Dynamics AX 2009」にバージョンが上がっているが、テンプレートは問題なく引き継げたという。

 クイック導入サービスの価格は、テンプレート部分を含めて3000万円から。ユーフィットでは、本社側ですでにDynamics AXを導入している外資系企業の国内導入に加えて、本来同社が強い中部地方の製造業などにおいても、ERPシステムのリプレースなどを中心にビジネスを進める考え。また、Dynamics AXを担ぐほかの販社・SIerなどとも歩調をあわせるとしており、生産管理など会計以外の機能や業種特化型ソリューションに強いパートナーと共同で、市場への訴求を図る。

 ユーフィットでは、現在年間5社程度へERPを導入しているとのことだが、こうした施策によりビジネスを拡大し、初年度に5~10社、3年後には20~25社へのクイック導入サービス提供を目指すとしている。




(石井 一志)

2009/7/1 14:22