レッドハットのミドルウェア戦略、「JBoss開発者に選択の自由を」


 レッドハット株式会社は7月16日、商用ミドルウェアからの移行を促進する「JBossマイグレーションリソースセンター」を開設すると発表した。

 同センターは、「JBoss Enterprise Middleware」へ移行するために必要な技術情報を提供するWebサイト。レッドハットで実際にサポートを担当するエンジニア・コンサルタントが提供するドキュメントを利用できるほか、導入前にWeb上で移行に関する診断などが受けられる。いずれも無料で利用できるとともに、メニュー化して提供されるため、ユーザーは安心して乗り換えが可能という。

 主なメニューは、1)JBoss マイグレーションアセスメント、2)JBoss マイグレーションライブラリー、3)JBossマイグレーションサービスカタログ。

 1)では、マイグレーションのためのアセスメントを無料で提供。現状のミドルウェアに関する簡単な質問にWeb上で回答すると、レッドハットのコンサルタントから移行に関する課題や手法について、電話やメールでレポートが受けられる。これを基に移行のための具体的なプランを策定することが可能。

 2)では、マイグレーション情報に簡単にアクセスできるドキュメントライブラリを公開。JBossのパフォーマンスチューニングや各種チュートリアルといった技術情報が、日本語ドキュメントとして提供される。

 3)では、JBossマイグレーションや導入サービスなどを提供するパートナー各社のサービスメニューを紹介。現在、OKI、サイオス、住商情報、日本HP、日立システムなどが登録されており、各社のサービスの違いなどが明確化され、選定の検討が容易になるという。

 この発表に併せて、レッドハットではミドルウェア戦略に関する説明会を開催。米Red Hatミドルウェア・テクノロジー部門バイスプレジデントのロブ・カードウェル氏が登壇し、「JBoss Open Choice」などのミドルウェア戦略を紹介した。

 同氏は、まずEnterprise Java(EJ)における過去と未来について、「EJの世界では、Java EEが成熟した技術として独占していたが、今ではSpring/Seam/Groovy/POJO/SGi/Ruby/Strutsなどさまざまな業界標準が誕生している。またエンタープライズ基盤としても、従来のハイレベルトランザクションを念頭に置いた基盤だけでなく、Web 2.0に配慮した基盤、よりシンプルで小規模システム向けの基盤など、これからのEJではさまざまな要素に幅広く対応していかなければならない」と説明。

 これに対して、同社では「JBoss Open Choice」というミドルウェア戦略を展開しており、ハイレベル向けには「JBoss Enterprise Application Platform 5.0」、Web 2.0向けには「JBoss Enterprise Web Platform 5.0」、小規模向けには「JBoss Enterprise Web Server 1.0」を提供。加えて、各種ツール群をまとめた「Framework Kit」を提供する方針を打ち出している。

 同氏は、JBoss Open Choiceの利点として、「JBoss Open Choiceでは新たなアーキテクチャを採用しており、“Microcontainer”という中核エンジンや、各種サービスをモジュール化した“Core Enterprise Services”を搭載。Transactions/Messaging/Caching/Remoting/Web Services/Clustering/Security/Persistenceなどのサービスモジュールから必要なものをロードして利用可能なほか、Microcontainerにて新たにJMX/OSGi/POJOをサポートするなど、多くの開発モデル・API・開発言語を内包するため、開発者に妥協のない選択肢を与えることができる」と説明。さらにサービスモジュール化したことで将来の新技術も容易にキャッチアップ可能なことから、「将来にわたって安定した開発、標準化された管理体系を提供するのが、当社のミドルウェア戦略だ」と述べた。

米Red Hatミドルウェア・テクノロジー部門バイスプレジデントのロブ・カードウェル氏JBoss Enterprise Middlewareの基盤製品群JBoss Open Choiceの新アーキテクチャ





(川島 弘之)

2009/7/16 19:08