“万感の思いがある”、日本HPが自社x86サーバー向けSolaris 10を販売

日本HPを窓口にした一元的なサポートサービス、関連サービスも提供

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9月15日、米Sun Microsystems(以下、Sun)のOS「Solaris 10(x86版)」について、自社のx86サーバー「HP ProLiant」向けの販売と、ソフトウェアテクニカルサポートの提供を開始すると発表した。2月に米国で発表された取り組みの日本版で、今回、国内でもきちんとしたサービスを提供する体制が整ったことを受け、販売が開始される。

執行役員 テクノロジーサービス統括本部長の津村伸武氏
執行役員 ESSトランスフォーメーション担当 統括本部長兼マーケティング本部長の松本芳武氏

 具体的には、3つの分野で取り組みを進める。まず1つ目は、日本HPによるProLiant向けのサブスクリプション販売とソフトウェアサポートの提供で、Solaris 10を日本HPから購入すると、Sunのオンラインでの年間契約サービス「Sunsolve Online」が利用できるようになり、バイナリやパッチのダウンロードが可能になる。ソフトウェアサポートについては、HP-UX、Windows、Linuxといった「既存のオープン系標準OSと同等の体制で、1次/2次のサポートを当社が提供する」(執行役員 テクノロジーサービス統括本部長の津村伸武氏)とのこと。これによってユーザーは、日本HPを窓口にしたワンストップサービスを受けられるようになり、TCOの大幅な削減を実現できるという。

 執行役員 ESSトランスフォーメーション担当 統括本部長兼マーケティング本部長の松本芳武氏によれば、「これまでもProLiant上でSolaris 10を動かすお客さまは非常に多かった」とのことだが、日本HPでは公式なサポートサービスは提供していなかったため、ユーザーが自ら障害を切り分け、ハードウェア部分に限ってサポートサービスを受けるか、トータルサービスを希望する場合は、個別対応のカスタムサービスを契約するか、どちらかの対応になっていた。

 しかし今回、日本HPが公式にサポートサービスを提供するので、すべての契約ユーザーは、ソフトウェア、ハードウェアの問題を切り分けすることなく、ワンストップのサービスを受けられる。津村氏はこれについて、「1次/2次対応両方を自社内で提供できるのは、ハードウェアベンダーでは当社だけ。こうした体制を整えているのは、技術力、経験に裏打ちされた実績があり、これがお客さまのためになることを確信しているからだ」と述べ、日本HPの強みをアピールした。なお、標準ではVMware上でのSolaris 10の動作についてもサポートの範囲に含まれるが、Sunの「xVM」を含め、それ以外の仮想化技術については現状では対応していない。

 サブスクリプションライセンスは、サーバーのソケット数(1~2、3~8)、サポート時間帯、期間(1年、3年)に応じた8種類が用意された。価格は、例えば1~2ソケット、平日標準時間サポート(8時45分~17時30分)、1年の場合で13万6080円。サポート時間を24時間365日に変更すると17万100円になる。

 また2つ目として、各種支援サービスを提供する。まず、Solaris 10の新規導入に必要となる一連の導入作業を提供する「Solarisスタートアップサービス」と、この内容に加えて、ProLiant特有部分のオリエンテーションもセットにした「HP ProLiant Solarisサーバー導入サービス」を用意した。価格はそれぞれ9万4500円、30万2400円。さらに、Java環境の性能分析/チューニングサービス、アプリケーションの開発支援サービスをはじめ、多くのサービスをそろえ、トータルにユーザーを支援するとした。

日本HPが提供するサブスクリプションライセンスの種類と特徴各種支援サービスも提供する
最新世代を含めた34モデルのサーバーが動作認定されている

 最後の3つ目は、サーバー、ストレージ、ソフトウェアなどの動作検証、対応作業。Solaris 10の公式販売を受け、サーバーはラック型、ブレード型を中心に、最新の「G6」世代を含めた34モデルで動作認定を行ったほか、ストレージも、クラスタ構成を含め多数の製品を認定している。管理ソフトについても、「HP System Insight Manager(SIM)」「Integrated Lights Out(iLO)」など多数の製品が対応。松本氏は「当社のサーバーもG6世代の製品群は十分な性能を持っており、多くのケースでユーザーのTCOを大きく削減可能だ。またSolarisの状況を、電源なども含めて、管理者がほかのOSと同じようにモニタできる点は大きいだろう」と述べ、取り組みの成果を強調している。

 なお松本氏は、「従前からHP-UXを担当してきた立場としては、長年にわたって切磋琢磨(せっさたくま)してきたSolarisが、当社のソリューションの中に取り込まれたことに万感の思いがある」とコメント。1U/2Uクラスのサーバーをベースに、データセンターのエッジやWebアプリケーションのフロントサーバーとしてSolaris 10が使われるケースが多いことから、「UNIX市場で当社が取り込めていなかった領域を、この協業で取り込みたい」との方針を示した。一方、現在進めている基幹業務領域での、SPARCサーバーからHP-UXサーバー「HP Integrity」へのマイグレーション施策は、引き続き進めていくとのこと。両面で、日本HPのサーバービジネスを伸長させる計画である。




(石井 一志)

2009/9/15 14:42