「中期計画は継続、従業員が一丸となって乗り越える」-富士通・間塚新社長

「当面兼務」する自身の後任は未定、指名委員会で選任へ

代表取締役会長兼社長の間塚道義氏

 富士通株式会社は9月25日、代表取締役社長の野副州旦氏が辞任し、代表取締役会長の間塚道義氏が社長を兼任する人事を発表。それを受けて記者会見を開催し、今後の経営方針などを説明した。

 社長を兼務する間塚氏は、1943年生まれの65歳。学習院大学卒業後、富士通ファコム株式会社に入社し、富士通には1971年に転社。経営執行役常務、取締役専務 経営執行役専務、代表取締役副社長などを歴任した後、2008年から現職を務めていた。

 間塚氏は記者会見の冒頭で、「25日開催の9月度の定期取締役会で、野副社長より病気を理由に職を辞したいという申し出があり、承認された。これから治療に専念したいと、そのために社長の職務がまっとうできない、ということでわたしは理解した」と辞任の経緯を説明したが、「辞任は今日、取締役会の前にわたしに申し出があった。(取締役会の前に)最後に会ったのは連休に入る前だが、そのときは辞任しなくてはいけない病気であるとは思っていなかった」とも述べ、突然の辞任であることを強調。「急なことで、企業活動の継続性を勘案し、当面、わたしが社長を兼任する。緊急事態の影響を最小限にとどめられるよう、注力したい」とした。

 野副社長については、「構造改革を積極的に推進していたが、なかなかあれだけ精力的にできる人はいないのではないか。辞任は大変残念だ」とコメント。今後について、「中期計画で新たな変革を申し上げているが、これはみんなで考えて作ったものであるし、現実にそれをベースに各ビジネスグループで具体的に落として推進しているところで、見直しは考えていない。お客さま起点、グローバル起点、環境起点ということをすでに説明しており、これをきっちりと進めていきたい」と話し、中期経営計画はそのまま継続する意向を示した。

 また、「当面兼務」とした自身の後任人事については、間塚氏は「しかるべきタイミングで選出する。年内なのか、年度内なのか、次の総会前なのか、それ以降なのかまったく決めていない」としただけで、時期については明言を避けた。富士通ではもともと社長人事の決定にあたって、指名委員会制度は採用していないが、今回の辞任とはまったく別に、指名委員会制度を2009年度下期に立ち上げようとしていたとのこと。次期社長については、その仕組みの上で選任する意向という。

 なお、野副氏の病気の詳細については、プライバシーにかかわることのため、一切明らかにされていない。

 「自分の性格は、こつこつと積み上げていく型だと思っている。富士通のソリューションビジネスは長い間、お客さまとの信頼関係を作って新しいビジネスにつなげていくということ。そういう意味では向いていると思う。財布のひもはまだ開けてくれていない状況で、総じて本年度は厳しいという認識で経営にあたっていきたい。ただ、下期からはそういうところも緩和されていく、投資も少し再開されていくのではないかという期待感もある。お客さま、お取引先、株主に大変心配をかけたが、従業員一同が一丸となってこの難局を乗り越えたい」(間塚氏)。





(石井 一志)

2009/9/25 20:06