米Juniper、ニューヨーク証券取引所で新戦略を発表


Juniperが上場し、有力な顧客でもあるニューヨーク証券取引所には、「THE NEW NETWORK IS HERE」の横断幕が掲げられていた
CEOのケビン・ジョンソン氏
ジョンソンCEO自ら、Junos Spaceのアプリケーションのデモを実演してみせた

 米Juniper Networks(Juniper)は10月29日(米国時間)、記者やアナリスト、パートナーをニューヨーク証券取引所に集め、自社のプラットフォームに関する新戦略発表を行った。

 冒頭で登壇したCEOのケビン・ジョンソン氏は、これまで主流だった、1つの箱で1つの課題を解決するポイントソリューションから、水平的なスタックを持ち、オープンに統合された形で提供される“プラットフォーム”での展開が望ましいという点を指摘。同社のネットワークOSであるJunosを中核として、プラットフォーム化を図るとした。

 その中核となるJunosはネットワークOSであり、製品としては提供されていなかったが、今回はプラットフォーム化を踏まえてブランディング戦略を一変させ、ネットワークソフトウェアやハードウェアにまでJunosのブランドを与えるようになった。創業者でCTOのプラディープ・シンドゥ氏は、その1つとして、ルックアップエンジン、メモリエンジン、キューイングエンジン、インターフェイスエンジンの4つのチップからなる新チップの「Junos Trio」を紹介。「パフォーマンスを向上させると機能性が下がるというトレードオフがあったが、Junos Trioはパフォーマンスを50倍に伸ばしただけでなく、幅を広げ、フレキシビリティが向上。帯域、加入者、サポートできるサービスの数を自由に設定できる」とその特徴を説明した。

 このJunos Trioを搭載する最初の製品としては、インフラストラクチャ製品グループ 上級副社長兼ゼネラルマネージャーのキム・バーディキュー氏が、小型のイーサネットサービスルータ「MX80」を発表。サブスクライバ(加入者)、サービス、帯域幅を動的に調整可能な「3Dスケーリング」技術を搭載したこの新MXシリーズについて、競合よりもROIが高くTCOや消費電力が低いとの特徴をアピールする。

 またキム氏は、「当社のネットワークは、新しいアプリケーションをどんどん載せていける」として、Junosを中心とした新しいソフトウェアプラットフォーム、「Junos Space」と「Junos Pulse」を発表した。ここでバトンを受けた、Junos Space Business担当副社長兼ゼネラルマネージャー、マイク・ハーディング氏はJunos Spaceの価値について、「Junosの基盤を、ネットワークを幅広くカバーするように伸ばしたもの」と説明。統合クライアントのJunos Pulseについては、「現在は、さまざまなクライアントアプリケーションを使わねばならず、コストが上がるような、複雑な提供の仕方をしている。このようなエンドポイントの問題を解決するのが、サービスを全部まとめてパッケージ化したこの製品だ」とした。

 なお、ジョンソンCEOは自社だけでなくパートナーとともにソリューションを提供していく姿勢を強く打ち出しており、27日にOEM提供が発表されたDellや、7月にOEM提供を発表したIBMとの関係に言及。また、JunosベースのスイッチブレードをBLADE Networksと組んで提供することなども明らかにし、「(当社が推進するビジョンの)ハイパフォーマンスネットワーキングはオープンであり、アグレッシブにパートナーと組んで前進していく」と力強くコメントしている。

パートナーとのエコシステムを広く展開するというニューヨーク証券取引所内の会場には、多くのプレスやアナリストが詰めかけていたジョンソンCEO(左)をはじめ、Juniperのエグゼクティブが6名登壇する力の入れようだ





(石井 一志)

2009/10/30 09:00