大塚商会が2009年度連結決算を発表-売上は1割減、利益は4割減


2009年12月期決算概要

 株式会社大塚商会は2月2日、2009年12月期(2009年1月1日~2009年12月31日)の決算を発表した。連結売上高は、対前年比8.0%減の4299億2700万円、営業利益は40.6%減の160億9400万円、経常利益は40.5%減の164億2700万円、当期純利益は38.9%減の87億8200万円となり、2年連続で減収減益となった。

 単体売上高は、対前年比8%減の4019億3700万円、営業利益は41.8%減の146億6600万円、経常利益は41.2%減の152億7100万円、当期純利益は40.9%減の82億2000万円。


連結売上高・利益の状況連結売上高の四半期推移連結経常利益の四半期推移
代表取締役社長の大塚裕司氏

 連結、単体ともに減収減益となった要因について、大塚裕司社長は、「取引社数は伸びているものの、1社あたりの取引金額が減少した結果、売上高は約1割減となった。利益については、たのめーるなどストックビジネスの粗利が落ちたことで大きな影響を受け、4割減となった」と企業の設備投資抑制傾向が継続していることなどが要因となっているとした。

 売り上げ規模では5年前の2004年度とほぼ同水準だが、「デフレ傾向、サービスの値下げ要求が強く、2004年当時に比べると収益を確保しにくくなっている」という。

 売上高の事業別内訳は、システムインテグレーション事業が14.9%減の2266億8800万円、サービス&サポート事業は1.1%増の2009億3800万円、その他の事業が20.1%増の23億円。

 単体の詳細なセグメント別売上高では、SI関連商品の売り上げが1761億1700万円、受託ソフトが283億3200万円、サプライが912億3000万円、保守が1062億5700万円。

 保守については前年に比べ4億円増加しているものの、第4四半期には顧客の経費節減傾向が強まり売上高増減率ではマイナス2.1%となるなど厳しい状況となっている。それに対し、前年割れとなっているSI関連商品は第1四半期から第3四半期までは2桁減が続いていたものの、第4四半期にはマイナス5.4%と改善傾向が出てきている。


連結、セグメント別売上高単体、詳細セグメント別売上高今回の発表で初めて公開された詳細セグメント別の売上高増減率の四半期推移

 重点戦略事業の状況は、「たのめーる」をはじめとした消耗品やサプライ商品などの事業「MRO(メンテナンス・リペア・アンド・オペレーション)」が対前年比3.4%増の955億4200万円、業務ソフト「SMILE」をはじめとしたソフトウェア事業が7.7%減の63億2700万円、ドキュメントソリューション事業「ODS21」が12,2%減の330億7300万円、セキュリティ関連事業「OSM」が6.0%減の408億2600万円。

 複写機の販売台数は13.4%減の2万536台で、そのうちカラー複写機は6.8%減の1万9195台。サーバーは7.5%減の3万2389台、パソコンは1.7%減の50万276台。


ストックビジネスの推移重点戦略事業の概況事業スタートから10年たった「たのめーる」年次推移

 2010年度については、連結では売上高は中間期で対前年比2.8%増の2346億円、通期で4.9%増の4510億円、営業利益は中間期が0.1%増の111億円、通期で3.8%増の167億円、経常利益は中間期で0.8%増の113億4000万円、通期で3.5%増の170億円、当期純利益は中間期でマイナス1.9%減の62億3000万円、通期で4.3%増の91億6000万円。


2010年度の連結売上高・利益の計画2010年度の単体、重点戦略事業の計画

 単体では売上高は中間期で対前年比2.8%増の2205億円、通期で4.7%増の4210億円、営業利益は中間期で増減なしの101億円、通期で2.3%増の150億円、経常利益は中間期で0.4%増の105億1000万円、通期で2.8%増の157億円、当期純利益は中間期で2.8%減の58億6000万円、通期で4.9%増の86億2000万円。

 「昨年度は減収減益ではあるが、販管費を抑えているためキャッシュフローとしては問題ない。ただし、企業は利益があがっても売り上げ減少が続く企業はやがて衰退する。2010年度は増収増益による業容拡大をはかり、営業利益率、経常利益率ともに現状の3.7%を大きくアップし、7%を目指す。その実現のために、取引があるお客さまの66%が単品取引にとどまっている状態の改善を目指して、お客さまとの接点を強化し、取引品目を増やす、総合提案、複合提案を推進する。市場の潮目の変化を正確につかみ、ITニーズの顕在化を進める。昨年度についても、12月は当社の決算月にあたるため、営業がかなり積極的にお客さまに向かい、そのままにしておけば次年度売り上げになるところを、積極的な提案で前倒し受注できた案件も多かった。今年度は積極的な営業姿勢で、ITニーズの顕在化をはかりたい」(大塚社長)

 通期売上高の内訳としては、システムインテグレーション事業が2403億3000万円、サービス&サポート事業が2083億4000万円、その他の事業が23億3000万円。

 単体の重点事業の計画は、たのめーるが7.5%増の1000億円、SMILEが2.7%増の65億円、ODS21が2.8%増の340億円、OSMが5.3%増の430億円。複写機は2.5%増の2万6000台でうちカラー複写機は4.2%増の2万台、サーバーは7.4%減の3万台、パソコンは0.1%減の50万台。

新宿に出したLEDを使った広告塔

 新規事業として、ソフト保守やASPサービス、ハウジング、ホスティングなどハードウェアに頼らないサービスメニュー、昨年から販売しているLED照明などの売り上げ拡大を計画。特にLED照明については、「LED照明への認知度があがったことで、今年度から本格的に数字として化けてくると認識している」(大塚社長)と高い期待を寄せている。

 LED照明アピールを狙い、新宿のかつてエプソンが広告を出していた中央線線路沿いにLEDを使った広告塔を出して、広くアピールしていく。





(三浦 優子)

2010/2/3 00:00