富士通、クラウド時代の新アプリケーションフレームワーク「INTARFRM」

既存ソフト資産のSaaS化も容易に

システム生産技術本部 SI生産革新統括部 本部長代理、アプリケーションフレームワーク統合推進室長の合田治彦氏

 富士通株式会社は3月11日、クラウド技術に対応した新アプリケーションフレームワーク製品「INTARFRM(インターファーム)」を発表した。 4月1日より順次提供を開始する。

 INTARFRMは、設計支援機能、開発支援機能、実行機能、保守支援機能などを備えたソフト・ドキュメントで構成されたアプリケーションフレームワーク製品。SOA・モダナイゼーションで既存資産を保護しながら、SaaSをはじめとするクラウド技術に対応しているのが特徴という。

 具体的には「ずっと使える」「いつでもどこでも開発できる」「さまざまな条件化で動かせる」「いろいろ選べる」「みんなが使える」のがメリット。

 「ずっと使える」では、設計情報のリポジトリを核とした首尾一貫した手法により、設計から保守までソフトライフサイクルのすべてに対応する。具体的にはリポジトリにより、要件および設計のトレーサビリティを実現し、「新要件定義手法」(2009年10月発表)により、ビジネス目標を実現する要件が漏れなく設計に反映されているか確認できる。また、設計情報からソースコードやテスト仕様書を自動生成できるほか、要件変更・設計変更・保守改修時に影響個所の判別も容易という。

 「いつでもどこでも開発できる」では、インターネット環境へ対応。開発環境をクラウド上に配置することで、時間と場所を超えた分散・大規模開発が可能。

富士通アプリケーションフレームワークの変遷ずっと使える~ソフトのライフサイクルに対応いつでもどこでも開発できる~インターネット環境への対応

 「さまざまな条件化で動かせる」では、オンプレミスとクラウドの両方に対応し、例えばマルチテナントなどの部品を用意しているため、開発したアプリケーションをスムーズにSaaS化できる。SOAにも対応するため、他システムや他社のクラウド環境上で動作するSaaSなどとの連携も容易という。

 「いろいろ選べる」では、Java/Visual C#/Visual Basic/COBOLなどさまざまな開発言語に対応。レガシーシステムのCOBOL資産を生かし、表示・入力には最新技術を導入するなどモダナイゼーションを促進する。要件に応じて、Web、RIA(Ajax、Javaアプレット)、スマートクライアントといったアーキテクチャの選択も可能。

 システム生産技術本部 SI生産革新統括部 本部長代理、アプリケーションフレームワーク統合推進室長の合田治彦氏によれば、「基幹システムのようなライフサイクルを重視した開発スタイルに加え、小さく始めて次々と成長させていくようなスピード・機動力を重視した開発スタイルにも適用できる」という。

 「みんなが使える」では、同社グループのノウハウを蓄積した各アプリケーションフレームワーク「QuiQpro」「eProad」「Client J Framework」「EZDeveloper」を統合・発展。各アプリケーションフレームワークで蓄積されたノウハウ・スキル・要員を、INTARFRM上でも継続活用できるようにした。

さまざまな条件化で動かせる~最新技術への対応いろいろ選べる~幅広い言語・アーキテクチャに対応みんなが使える~同社グループのノウハウを結集

 2010年4月から2011年度にかけて順次提供。今回は、Java/Visual C#/Visual Basicに対応した設計支援機能、開発支援機能、実行機能、これらを効果的に使うためのサポートサービス・教育サービスを提供し、10月には「Windows Azure」版をサポートする。2011年4月にはEJB版を提供し、同年度中に開発環境のクラウド化、運用保守との連携機能、COBOL版などを提供していく方針。

 価格は「INTARFRM Design Facility Base」が10万円(税別)、「INTARFRM Development Facility(Java Servlet/Visual C#)」が各10万円(同)、「INTARFRM Runtime(Java Servlet/Visual C#)」が各30万円(同)など。

 合田氏はINTARFRMの効果として、「システムは数年を待たずに保守不全に陥るものだが、長期にわたって使い続けることが可能になる」「影響調査やテスト効率化機能により、運用保守の作業を最大5割削減できる」「外部仕様から実装、全体の機能テストが終わるまでの製造工程を最大1/2に短縮できる」「教育プログラムなどにより設計・開発者の教育期間を最大1/2に短縮できる」などを挙げた。

 富士通では、2010年度末までに5000ライセンス、2011年度末までに1万5000ライセンスの販売をめざし、2012年度以降、海外展開も視野に入れていく。




(川島 弘之)

2010/3/11 14:01