3PAR、より粒度の細かい“自律階層化”を実現するストレージ管理ソフト

SSDモデルの追加も発表

米3PAR マーケティング担当副社長のクレイグ・ヌネス氏

 3PAR株式会社は3月16日、ストレージ管理ソフトの新製品「3PAR Adaptive Optimization(以下、3PAR AO)」を発表した。ストレージ製品「3PAR InServ F/Tクラス」に搭載し、ストレージの“自律”階層化を実現するもの。同日より受注を開始。併せて、InServ各モデルの搭載ディスクとして新たにSSDを追加。4~6月期に同社ストレージ製品へ導入すると発表した。

 3PAR AOは、ストレージの自律階層化を実現する管理ソフト。ストレージ上の異なる階層(SSD/FC/Enterprise SATA)を1つのボリュームとして再構成し、サブボリューム(特定のアプリケーションで使用されるデータセット)単位でデータを再配置する。

 米EMCも2009年に「FAST」というストレージ階層化製品群を発表しているが、米3PAR マーケティング担当副社長のクレイグ・ヌネス氏は「それと同等の技術としては2005年に『3PAR Dynamic Optimization』を発表している。今回の3PAR AOが画期的なのは、論理ボリュームより小さな容量であるサブボリューム単位でデータ移動できる点だ。特にハイエンドディスクアレイでこれが実現できるのは、他社にはない業界初の技術だ」とアピールする。

 また「自動ではなく自律」(ヌネス氏)と強調するように、サブボリューム単位のパフォーマンスを監視し、階層間の負荷のバランスを取りながら、最適なデータ再配置を実現するのも特長だ。プロファイルを作成し、Tier(3階層まで)を定義すると、3PAR AOがサブボリューム(500GBに4000個)単位のI/Oレートを測定。トランザクションの多いサブボリュームを高速なSSDに、少ないサブボリュームを低速で安価なSATAに、といった階層化を実現してくれる。

 ヌネス氏は「サービスレベルの最適化という目標に、自律的できめ細かなアプローチで応えられる。システムを中断させることなく、常に適切なデータに適切なQoSを提供する」と説明。QoSを制御するのが「QoSグラディエント」という技術で、パフォーマンスやコスト設定に応じて、任意のストレージタイプへのデータ移動速度を調整できる。「例えば、季節需要の変動幅が大きい商品の受発注管理アプリケーションには、“パフォーマンス・グラディエント”を設定可能。イベントの直前直後などにワークロードが急増した場合にも素早く、自律的にデータを高パフォーマンスのリソースに移動させ、ワークロードが通常に戻るまでその状態を維持する」という。

 同ソフトと併せて、ストレージへのSSD搭載も発表した。組み合わせれば、「最小限のSSDドライブ数で極めて高いパフォーマンス目標を達成できる」(ヌネス氏)。SSDには、STEC製のハイエンドSSD「ZeusIOPS」と同等の性能を持ちながら、価格のこなれた「Mach8IOPS」を採用。「FC単体構成と比較して約30%も低いコストで導入できる」としている。

3PAR AOの概要ポリシー設定によりデータ「自律的に」移動





(川島 弘之)

2010/3/16 14:58