NEC、IT機器の冷却電力を半減する冷却モジュールを開発
NECは4月15日、冷媒が液体から気体に変化する際の熱移動を利用する相変化冷却と、液体と気体が混在した気液二相流で熱輸送を行う技術を利用し、省電力でIT機器を冷却するモジュールを開発したと発表した。開発スケジュールとしては、2011年度中の実用化を目指しているという。
新規開発した冷却モジュールは、IT機器内のCPUなど、局所的に発生する熱を、モジュール内の冷媒の気液二相流により効率よく放熱器まで輸送。輸送した熱を、冷媒の温度上昇を伴わない相変化を利用して放熱する仕組み。
気液二相流は、冷媒が、蒸気と液体の二相で混在した状態で流れることを指す。蒸気のみで熱輸送するヒートパイプに比べ、熱輸送量を上げることができ、ボイラーや原子炉などで利用されているという。
また、相変化冷却方式は、熱の移動に冷媒の温度上昇を伴わない潜熱を利用するため、ファンなどで冷却する空冷式や、冷媒の温度上昇が大きい水冷式に比べて送風量を削減できる。
これらの技術を採用したことで、ポンプ不要でファンの送風量も削減可能となるため、NEC製のワークステーション(Express5800/54Ca)のCPUにPenrium4-3.8GHzを搭載したマシンでは、従来の空冷式IT機器と比べて約80%、水冷式と比べて約60%の冷却電力を削減したという。
また、受熱部分と放熱器をチューブで接続し、熱輸送できる構造を採用。従来の空冷式や相変化式冷却では、CPUなどの発熱体に直接付けていた放熱器を離して設置可能となるため、実装の高密度化や、機器の仕様やレイアウトの変更にも柔軟に対応可能だとしている。
相変化冷却の特徴(潜熱の利用) |
2010/4/16 06:00