高価なPANをお手ごろ価格で-物理・仮想統合管理を一元化する「Dell PAN System」


Dell PAN System
デル システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド/ソリューション開発本部 ビジネス開発 マネージャーの馬場健太郎氏
イージェネラ執行役員マーケティング本部長の保阪武男氏

 デル株式会社は7月13日、米Egeneraのリソース管理ソフト「PAN Manager」を同社サーバー・ストレージに組み込んだソリューション「Dell PAN System」の販売を開始すると発表した。

 PAN Managerは、Egeneraのハイエンドブレードサーバー「BladeFrame」に搭載されているリソース管理ソフト。Egeneraは2007年にPAN ManagerをOEM提供することを発表しており、2008年3月には米Dellと協業契約を締結。今回、アジア太平洋地域で初のソリューション提供となる。

 デル システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド/ソリューション開発本部 ビジネス開発 マネージャーの馬場健太郎氏は、「PAN ManagerのPANはProcessing Area Networkの略称で、CPU・メモリ・ネットワーク・ストレージなどのI/Oを抽象化することで、物理環境と仮想環境を一元管理できるのが特長。このPAN Managerを組み込んだDell PAN Systemは、BladeFrameと同一の機能を提供しながら、デルの汎用サーバーを利用することで高いコストパフォーマンスを実現している。また、デルのキッティングセンターで組み込み・検証をすべて行って提供するので、すぐに使える状態でお客さまの手元に届くのが利点」と、これまで高価なソリューションとして提供されていたものが、比較的低価格ですぐに利用できる点をメリットとして挙げた。

 イージェネラ株式会社執行役員マーケティング本部長の保阪武男氏は、「PAN Managerは、CPUやメモリ、ストレージだけでなく、I/Oの仮想化を実現できるのが特長で、物理サーバーと仮想サーバーの双方を一元的に管理できるシングルインターフェイスを提供するリソース管理ソフト。N+1自動フェールオーバーやN+1 DR機能などを提供しており、顧客企業のTCOを大幅に削減している」と説明。「このPAN Managerは弊社のBladeFrameに搭載しているソフトだが、他社サーバーのサポートや他社サーバーを含めた一元管理など、既存ユーザーから要望を受けており、OEM提供を開始した」と、ユーザーのニーズに対応する形でOEM提供を決断したと説明。

 保阪氏は、「われわれはこのPANをより多くのお客さまに利用していただけるよう、今回デルと協業を行った。今回の協業により、これまで手が届いていなかった顧客の開拓につなげていきたい。2010年以降には、複数のPAN」を管理できる製品を提供する予定でもあるので、デル以外にもすべてのハードにPANを搭載していきたい」と、デルだけでなく他社にもPANを積極的に展開していく考えを示した。


Dell PAN Systemの特長各種I/Oを抽象化することで管理が容易になるのがPANの利点Dell PAN Systemの構成

 Dell PAN Systemは、Processing Node(pNode)にPowerEdge M1000e/M610を、PAN Controller(cNode)にPowerEdge 2950 IIIを採用。価格は、PowerEdge M610×4、PowerEdge 2950 III×2、ソフトウェア各4ライセンス、保守5年の構成で1100万円から。

パナソニック電工インフォメーションシステムズ執行役員ソリューションビジネス本部長の田中啓介氏

 Dell PAN Systemを国内で初導入したパナソニック電工インフォメーションシステムズ株式会社は、「2004年よりEgeneraを標準サーバーとして、2000台以上のサーバーを統合しており、現在11筐体、245ブレードで400台以上のサーバーを統合運用している。今回、Dell PAN Systemにより、PAN Managerをより身近なものとして利用できるようになる」と、選択肢が広がることのメリットを強調。「グループへのサービス提供だけでなく、一般企業に対してもインフラ構築支援ビジネスの新たなツールとして推進していきたい」(同社執行役員ソリューションビジネス本部長の田中啓介氏)と、自社での利用のほか、一般企業に対しても紹介しやすいソリューションとして提案すると述べた。

デル執行役員システムズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏

 デル執行役員システムズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏は、「デルはこれまでに標準化・統合・自動化そして仮想化といったアプローチでデータセンターが抱える課題を解決してきた。しかし、物理環境と仮想環境で管理体系が独立しているのが現状。今回、EgeneraのPAN Managerを利用することで統一された管理環境を提供できるようになる」と、物理環境と仮想環境が併存するデータセンターの運用管理を統合できるメリットを強調した。





(福浦 一広)

2009/7/13 14:53