マイクロソフト、音声関連の機能を強化した「OCS 2007 R2」
業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏 |
マイクロソフト株式会社は4月20日、ユニファイドコミュニケーションを実現するサーバーソフトウェア「Microsoft Office Communications Server(OCS) 2007」の新版として、「同 R2 日本語版」を発表した。5月1日より提供を開始する。
OCS 2007は、ユニファイドコミュニケーションを実現するために必要な機能を集約したサーバーソフトウェア。プレゼンス(在席情報)に基づき、音声、IM(インスタントメッセージング)、ビデオ/Web会議などの機能を効果的に使い分けられるようになるほか、メールについてもExchange Serverとの連携によってサポートしている。
こうしたユニファイドコミュニケーションのメリットについて、業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏は、「既存のデバイス・接続手段中心のコミュニケーションにある無駄を、プレゼンス(在席情報)によって省くことができる。また、単一のユーザーインターフェイス、管理体系でユニファイドコミュニケーションを実現しており、さまざまな手段を飛び歩き、垣根を越えてコミュニケーションを行える」と説明する。
この価値を実証するように、すでに、導入企業では効果を上げているところも多々あるとのことで、例えばキリンでは、プレゼンスとIP電話環境の連携によって電話取り次ぎなどの時間・手間を削減し、年間7億円の経費を節減。またジュピターテレコムでは、Web会議中心の導入で、出張費を前年同月比で20%節約できた。何より、Microsoft自身がグローバルでユニファイドコミュニケーションを導入しており、年間212億円以上のコスト削減効果を実証しているとのこと。不況の中で、こうした目に見える効果が出しやすい点からも、ユニファイドコミュニケーションに企業の関心が高まっている理由の1つだという。
アテンダントコンソールの画面イメージ |
そうした背景の中で今回提供されるOCS 2007 R2では、「音声関連の機能が大幅に拡張された」(横井氏)点が特徴。グループ/チームで電話を受けることの多い日本からの要望も大きく取り入れられているとのことで、かかってきたコールの保留、着信の制御をはじめ、ルーティング、キューイングなどのワークフローをOCS 2007 R2自身が実装したほか、プレゼンスを参考に複数の着信をアシスタントが振り分けられる「アテンダントコンソール」に対応した。これによって、日本的なワークスタイルとの整合性が高くなり、より導入がしやすくなっている。さらに、別途システムを導入したりサービスを契約したりすることなく、電話会議を開催可能な「ダイヤルイン会議機能」を搭載。Web会議とも連携して、シームレスな管理を行える。
このほか、Webのブラウザを通してMac OSやLinuxなどの環境ともデスクトップ共有が行える機能、Windows Mobile端末でのプレゼンス確認、IMのサポート、ほかのWebアプリケーションなどから容易に機能を呼び出せるAjax対応のSDK提供、といった強化もなされている。
価格はオープンだが、100ユーザー規模の環境の場合、200万~300万円程度からになる見込み。OCS 2007からのアップグレードは、ソフトウェアアシュアランスを契約しているユーザーの場合は無償だが、それ以外のユーザーはライセンスを買い直す必要がある。導入に関しては、OCS 2007発表時の9社に加え、新たに6社のシステムインテグレータがパートナーが加入。さらに、4月15日に発表されたNTT comとの協業ソリューションが紹介され、こうしたパートナーとのエコシステムによって、日本での販売を拡大するとしている。
NTT comとの協業ソリューションのシステム概要 | OCS 2007のクライアントを拡張して、電話システムとの連携を実現している。なおOCS 2007 R2との連携は、2009年第3四半期の対応予定とのこと |
2009/4/20 15:48