「不確実な時代には、変化に適応できるIT基盤が必要」-日本オラクル遠藤社長

Oracle OpenWorld Tokyo 2009 基調講演

代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏

 日本オラクル株式会社は4月22日から24日まで、2006年以来3年ぶりとなる大規模プライベートイベント「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」を、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催している。初日には、「ここから結びつく。そして動き出す。-逆境が経営基盤強化への回帰を生み、そこから新たなイノベーションが加速する」と題し、代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏がOpening Sessionに登壇した。

 現在の環境は先が不透明であり、「不確実な時代」と評されているが、遠藤氏は、「企業戦略を立てて実行する中で、さまざまな変化や予期せぬことが起こってくるため、経営には柔軟性が求められている」と主張。そして、こうした状況の中で必要なこととして財政基盤の強化を挙げたほか、原価低減と価格戦略の見直しが必要とし、「お客さまに支持されない会社は生き残れないのだから、お客さま視点の経営が再度求められている。そのためには、お客さまの課題や期待を正しく迅速に把握し、的確にレスポンスしていくことが必要だ」と指摘する。

 また、変化に対応するときに最後の課題となるのは、「人」だと遠藤氏は説明する。「『人』の意識やスキルが伴ってこないと、時代を生き抜くのは難しい。個々人にアドレスしたような経営、スキルやモラルを向上させながら、会社全体のパフォーマンスを高めていく経営が求められている」(遠藤氏)。

オペレーショナルエクセレンスに加えて、マネジメントエクセレンスの重要性が増している
日本オラクルの製品・ソリューションで、変化へ適応できるIT基盤の構築を支援するという

 一方で、日本企業は、現場レベルでは高いパフォーマンスを残してきたということにも言及した。「改善活動を現場レベルで起こしながら高めてきたオペレーショナルエクセレンスが日本企業の強みであり、依然として強みである」と遠藤氏は述べるが、“リーマンショック”以降激変した現在の環境の中では、それだけでは不十分なのだという。

 「ビジネスがグローバル化する中、市場で起こっていることを、洞察力を持って正しく把握することがまず大事であり、次は、どう選択肢を選んでいくのがいいのかを見定めながら、スピーディーに経営のかじ取りをしないといけない」とした遠藤氏は、「さまざまな情報を集めるだけでなく、判断力、シミュレーションの力が求められる。これがマネジメントエクセレンスの原点で、それをITの力を借りながら実現する」と説明。「オペレーショナルエクセレンスの上にマネジメントエクセレンスが積み上がったときに勝利者になる。後者の割合が大きくなったのが、不透明な時代と(以前と)の違いではないか」と述べた。

 ただし、ITを活用しようにも、「変化に対応力がないのは、人以外にITもそうだ」(遠藤氏)というのが現状だ。「人がついてこないから会社の経営、カルチャーが変わらないとよくいわれるが、同時にITの変化も難しくなっている。ITそのものが変化に対応できないくらいにスパゲティ状態になっていて、変化させようとすると膨大なコストがかかる。ITが経営のスピードの足を引っ張ってしまっている」(遠藤氏)。

 そして、こうした状況を改善できるお手伝いを、日本オラクルが提供すると、遠藤氏は主張する。遠藤氏は、「当社はインフラではOracle VMを用意しているし、データベースでは圧倒的に早くスケーラビリティがあるOracle Database 11gを、またアプリケーションでも、コアのERPに加えて、業界特化型の製品をさまざま提供している」と製品ポートフォリオをアピール。さらに「当社自身がイノベーティブでなくてはならないのはもちろんだが、1社ではすべてはできない。パートナーと一緒になって、エコシステムを提供していく必要がある」という点を強調し、パートナーとともに、顧客の改善活動を支援するとして、講演を締めくくった。




(石井 一志)

2009/4/22 14:26