ジュニパー、JUNOS搭載の中小向け統合セキュリティ製品-「半分のコストで性能は5倍」

ボックス型Ethernetスイッチも発表、機能統合と一元管理によるメリットもアピール

EX2200シリーズ
SRX650
マーケティング本部 エンタープライズ ソリューションマーケティングマネージャー アジア太平洋地区 近藤雅樹氏

 ジュニパーネットワークス株式会社(ジュニパー)は5月12日、中小規模向けのネットワークサービスゲートウェイ「SRXシリーズ」4製品と、ボックス型Ethernetスイッチ「EX2200シリーズ」4製品を発表した。いずれも、同社の基幹OS「JUNOS」を採用しており、キャリアクラスの機能や信頼性を、中小規模環境に対しても提供できるという。参考価格はSRXシリーズが12万5900円(税別)から、EX2200シリーズが48万円(同)からの予定で、販売は同日より順次開始される。

 EX2200シリーズは、ジュニパーのスイッチとしてはもっとも下位に位置付けられており、支店や低密度のワイヤリングクロゼットに向けた製品となる。インターフェイスは24基ないしは48基の1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tポートと、4基のSFPを備え、基本ライセンスではレイヤ2とRIPの機能を提供。拡張ライセンスによってフルのレイヤ3機能を追加することもできる。ラインアップにはPoE(Power over Ethernet)対応モデルもそろえており、ユーザーのニーズに合わせて提供可能とした。参考価格は48万円(税別)からの予定で、2010年第1四半期の提供開始を見込む。

 一方のSRXシリーズは、ファイアウォール、IPS、VPN、NAT、ルーティングといった機能とネットワークインターフェイスを、ユーザーのニーズに応じて動的に拡張できるゲートウェイアプライアンス。これまでは「SRX5000」「SRX3000」の両シリーズを大規模ネットワーク環境向けに提供してきたが、今回は小規模向けの「SRX100」と、中規模向けの「SRX210」「SRX240」「SRX650」の計4製品をラインアップに加え、適用できる領域を大幅に拡大した。従来よりも小さな環境を対象としているため、一部製品では拡張性が制限されているものの、ユーザーはこれまでのシリーズ同様、高度なUTM(統合脅威管理)機能を利用できる。

 また、高速な処理性能を価格性能比の高い形で提供するのも特徴という。4製品中最上位となるSRX650ではファイアウォールが最大7000Mbps、IPSが最大900Mbpsの高いスループット性能を発揮。参考価格が10万円台に設定されているエントリーモデルのSRX100でも、ファイアウォールが最大600Mbps、IPSパフォーマンスが最大50Mbpsと十分な性能を持つ。マーケティング本部 エンタープライズ ソリューションマーケティングマネージャー アジア太平洋地区 近藤雅樹氏は、「競合と比べて約半分の価格でも、5倍のパフォーマンスを実現した」と述べ、コスト効果の高さを強調する。

 さらに、音声ゲートウェイの機能を統合できるほか、ウイルス対策では、パケットレベルでの簡易チェックを行うことでスループットを向上させるExpress AV機能も利用可能。Express AVとIPSの機能をアクセラレーションする専用ハードウェア「CSA」もSRX210以上に搭載できる。また、コントロールプレーンとデータプレーンの分離、冗長電源などによって可用性も確保したとのこと。

 参考価格は、SRX100が12万5900円(税別)から、SRX210が19万7900円(同)から、SRX240が59万9800円(同)から、SRX650が320万円(同)から。SRX100は2009年第3四半期に販売を開始する予定で、それ以外の3製品は5月12日に発売する。

 なお、近藤氏によれば、必要に応じて機能を統合していけるSRXシリーズによって、企業に散在する多くのセキュリティ機器を統合できるメリットがあるとのこと。また、今回発表された製品群はいずれもJUNOSをOSに採用しているため、「長年キャリアで培ってきた高い機能と信頼性を、小さなオフィスでも提供できるようになった」(近藤氏)点で大きな意義を持つ。さらには、ルータやスイッチを含めて同じOSを持ち、同じ管理ツール「Network and Security Manager(NSM)」での統合管理に対応するので、「機器コストの削減が可能なだけでなく、機器の配備にかかる手間の削減、運用管理コストの削減なども見込める」(近藤氏)メリットもあるという。

 ジュニパーでは、JUNOSと自社のさまざまな製品によって提供できるこのようなメリットを「次世代『スマート・ネットワーク』ソリューション」として体系化し、ユーザーへ訴求したい考え。そのために、四半期ごとに定期的なバージョンアップを続けながらもシングルトレインを維持し、モジュラー型OSならではの優れた拡張性と信頼性を備えたJUNOSを、今後もアピールする意向だ。近藤氏は、著名なネットワークOSに比べて、トータルで41%の総運用コストを削減できたという調査会社(Forrester Consulting)のデータを引き合いに出し、そのメリットを訴えていた。




(石井 一志)

2009/5/12 14:25