日本HP、ITインフラ構築を簡素化・自動化する「HP BladeSystem Matrix」

次世代データセンターを具現化

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月11日、次世代データセンターを具現化する統合インフラソリューション「HP BladeSystem Matrix」を発表した。さまざまな製品・サービスを組み合わせたもの。最小構成価格は1265万8800円からで、8月下旬より出荷開始する。併せて、エントリーディスクアレイ製品の新モデルや、6コアOpteron搭載のProLiantサーバーなども発表した。

ITインフラ構築を自動化するHP BladeSystem Matrix

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏

 HP BladeSystem Matrixは、ITインフラを統合・自動化する「アダプティブ・インフラストラクチャ」を実現する製品・サービス群。「ITインフラの統合と仮想化による全体最適化」「柔軟で俊敏なITリソースの活用」「24時間365日のITサービス自動化」により、次世代データセンターを具現化するソリューションとなる。

 構成要素は「HP BladeSystem c7000エンクロージャー(以下、c7000)」「HPバーチャルコネクト」「HP Insightソフトウェア群」「HP StorageWorks EVA4400(以下、EVA4400)」といった製品と、これらを工場出荷時に組み立てる「HP Factory Express」、顧客環境に設置する「HP BladeSystem Matrixインプリメンテーションサービス」といったサービス群。

 システムリソースをあらかじめ仮想プール化し、ビジネスサービスに必要な分を柔軟に切り出して利用できるほか、プロビジョニングを自動化する仕組みにより、これまでシステムごとに実施してきた一連のITインフラ構築作業を簡素化、自動化、迅速化できる。エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏によれば、「アプリケーション要件に基づくシステムのサイジング、構成検討、機器オーダー、設置、プロビジョニング、インストール・環境構築などを簡素化し、ネットワーク作業工数を97%、デプロイ作業工数を38%、サーバー管理工数を88%削減。3年間で71%のTCOが抑えられる」という。

 プロビジョニングを自動化するために、自動化ソフトウェア「HP Insight Orchestration」で利用可能なテンプレートを用意するのも特長。これには「システムの設計を省略できる構成情報、OS・アプリケーションの要件、それらに応じてどうリソースを切り出すかというワークフローがあらかじめ定義されており、内部設定からOSのインストールまでを自動化することが可能」(木村氏)という。

 同テンプレートは順次Webで公開する予定。すでに「Microsoft Exchange 2007(4000ユーザー用)」「Microsoft SharePoint 2007(1000ユーザー用)」「Oracle RAC(3ノード構成用)」「Oracle DB(シングルインスタンス用)」「SAP NetWeaver」のベストプラティクスを盛り込んだものが公開済みで、誰でも利用が可能となっている。

 価格は、c7000、HPバーチャルコネクト、HP Insightソフトウェア群、HP ProLiant BL460c G6(管理サーバー用)、ならびにサービス群を含んだ初期構成で1265万8800円から。このほか、推奨オプションのHP BladeSystem Matrix共有ストレージ(EVA4400)が603万4350円から。すでに共有ストレージ環境が整っていれば推奨オプションは不要となるが、白紙の状態からすべて導入する場合は、拡張キットなども合わせて合計約3000万円からとなる。

HP BladeSystem Matrix次世代データセンターを実現するHP BladeSystem Matrix

利用の流れ。テンプレートを活用しながらリソースのセット、アプリケーションの選択、リソース割り当ての確認などを行い、GOボタンを押すだけで自動的に最適なプロビジョニングが始まるHP BladeSystem Matrixの構成要素

日本語GUIを新搭載したエントリーディスクアレイ新モデル

 これに加え今回は、エントリーディスクアレイ製品の新モデル「HP StorageWorks Modular Smart Array 2300シリーズ(以下、MSA2300)」も投入する。高速4GbpsのFC接続モデル「MSA2312fc/2324fc」、低コストでストレージ統合を果たすiSCSI接続モデル「MSA2312i/2324i」、3GbpsのSAS接続モデル「MSA2313sa/2324sa」の計6製品をラインアップ。基本スペックの強化と3.5型/2.5型ディスクを搭載可能にしたのが特長となる。

 3.5型ディスク対応のMSA2312では、4台までの追加エンクロージャーを使用でき、最大で60台のディスクドライブを搭載可能。最大容量は、SASが27TB(450GB×60)、SATAが60TB(11TB×60)。一方2.5型ディスク対応のMSA2324では、3台の追加エンクロージャーを使用でき、最大で99台のディスクドライブを搭載可能。最大容量は、SASが29.7TB(300GB×99)、SATAが24.7TB(250GB×99)。両機種ともHP-UXへのサポートOS拡大、255スナップショットライセンス対応、DC電源対応などの機能拡張を図っている。

 また、日本語対応GUIを新たに搭載し、グラフィカルで直感的な操作性を実現したほか、ウィザード形式で各種設定を行う導入支援機能なども追加された。

 価格は、FCモデルのMSA2312fc/2324fcがそれぞれ130万2000円、135万300円。iSCSIモデルのMSA2312i/2324iがそれぞれ113万4000円、118万2300円。SASモデルのMSA2313sa/2324saがそれぞれ109万2000円、114万300円。

 従来、アダプティブ・インフラストラクチャは大規模環境向けの提案だったが、c7000の代わりにc3000、EVA4400の代わりにMSA2300を利用すれば、中小規模の仮想環境インフラも実現するという。

MSA2300。FC、iSCSi、SASモデルを用意。いずれも3.5型/2.5型ディスクに対応グラフィカルな日本語GUIを新搭載設定もウィザード形式で簡単に

日本HP製管理ソフトを付与したvSphere 4 OEM版

 さらに、最新仮想化ソフトウェア「VMware vSphere 4」の発表に伴い、日本HPもOEM版の販売を開始する。最新版では、中規模/大規模企業向けの「Standard/Advanced/Enterprise/Enterprise Plus」、小規模企業向けの「Essentials/Essentials Plus」の計6エディションをラインアップ。中でも、大規模企業向けのEnterprise/Enterprise Plusでは、日本HP製の管理ソフトウェア製品群「HP ICE」がバンドルされており、仮想化環境の管理性向上が可能という。

 HP ICEバンドル以外にも、「動作認定サーバーの豊富さ」「初年度ソフトウェア保守・アップデート権のバンドル」「サーバー・仮想化ソフトウェア・仮想OS・ミドルウェアに至る一貫した保守サポート」などを、日本HPのOEM版のメリットとして挙げている。

vSphere OEM版のメリットエディション一覧。最上位のEnterprise/Enterprise PlusにはHP ICEもバンドル

6コアOpteronを搭載した「HP ProLiant G6」シリーズ

 併せて、AMDの6コアOpteronを搭載した「HP ProLiantサーバー Generation 6」も発表。CPUの強化でアプリケーションの実効性能と拡張性を強化するとともに、消費電力を削減できるという。ラインアップは「HP ProLiant DL165/DL385/DL585/DL785/BL465c/BL495c/BL685c G6」の7シリーズ。7月中旬より順次出荷開始する。




(川島 弘之)

2009/6/11 16:05