NECが情報活用ソリューションを体系化、「継続的なPDCA」を支援
執行役員の山元正人氏 |
日本電気株式会社(以下、NEC)は7月29日、企業の業務プロセス改善を支援する情報活用領域の事業強化を発表した。業務プロセス改善を実現する情報活用ソリューション「Decision Navigator」を発売するとともに、情報管理ソフト群「InfoFrame」のラインアップ拡充を図る。
Decision Navigatorは、戦略の共有により組織パフォーマンスを向上するPM(Performance Management)と、蓄積されたデータを加工・分析するBI(Business Intelligence)を融合し、ソリューションとして体系化したもの。
2007年より提供開始した情報管理ソフト群「InfoFrame」を適材適所に配置し、コンサルティングや検証、構築サービスを通じて、「迅速かつ継続的なPDCAを実現するのが目指すところとなる」(執行役員の山元正人氏)。ソリューションメニューとしては、プロセスコンサル支援を行う「Decision Navigator/PM」とBI・DWH構築支援を行う「同/BI」を用意。
前者では、プロセスの可視化に始まり、事業戦略目標(KPI)へのブレークダウン、プロセスモデルの策定など、プロセス改善に向けた一連のサービスを提供。PDCAにおける「Plan(モデリング)」と「Action(プロセス改善)」を実現する。
後者では、情報分析業務に対するアセスメントや、得られた分析結果を実際の業務へフィードバックするためのコンサルティングのほか、情報分析システムの構築も行い、要件・システム定義から設計・構築・運用まで一貫したSE支援サービスを提供。PDCAにおける「Do(業務実行)」と「Check(継続的なモニタリング)」を実現する。
山元氏は、「企業内でデータが増加の一途をたどり、活用の重要性が増しているが、果たして増加したデータをきっちり経営に生かせているかというと疑問。日本企業はグローバル化を進めているが、それに伴い、各販売拠点のデータがうまく活用できていないことが浮き彫りになっている。在庫がたまっていくのは、これが原因と考えられる。問題は、拠点ごとのデータを拠点ごとにまとめるため、収集した際にデータ形式がバラバラなこと、その変換処理の前に人手で確認しなければならず非常に効率が悪いこと――すなわち、PDCAにおけるCheckがうまくいっていないことだ」と指摘。「解決するには、BIとPMの融合が必要。従来のBIによる“見える化”だけでは実現できなかったプロセス改善と継続的なPDCAサイクルを、Decision Navigatorで提供する」と新ソリューションの価値を訴求した。
情報活用ソリューションの全体像 | BI(見える化)とPM(改善)を融合することで、継続的なPDCAサイクルを実行 | Decision Navigatorソリューションメニュー |
InfoFrame製品ラインアップ |
新ソリューション発売に伴い、InfoFrameラインアップも拡充。1)データ統合の高速化、2)データ形式変換処理の高速化、3)DWH-BI応答性の向上、を実現する新製品や機能強化を図る。
1)では、データ品質管理ツールとして「Data Quality」を追加。重複データの自動判別や補正処理を行う「クレンジング機能」と、属性が一致するデータを一元化する「名寄せ機能」を提供するもので、データの統合基準をあらかじめ設定することで、分析しやすいデータを速やかに収集することが可能になるという。
2)では、高速データ処理エンジン「DataBooster」と、データ連携・統合ツール「PowerCenter」の連携を強化。システムごとに異なる書式・形式で保存されたデータを、PowerCenterにてDWHに抽出/加工/統合する際、DataBoosterがデータを最適化して高速加工を行う。山元氏によれば「従来より、データを収集するツールとしてPowerCenterを活用してきたが、これだけだと加工に時間がかかってしまう。DataBoosterを組み合わせることで、大量データの加工時間を従来比で85%以上短縮できる」という。
3)では、BI製品として「Microstorategy 9」を追加。複雑なクエリを特定し、効率的な処理を実現するもので、大幅なクエリ時間短縮が図れる「動的メモリキャッシュ技術」が特徴。以前よりNECが取り扱う、DWHアプライアンス「Netezza Performance Server」と組み合わせることで、「分析時間を従来比90%以上短縮することが可能となる」(同氏)。
NECでは、2012年度に情報活用領域において、年間100億円以上の売り上げをめざす。それに向けてコンサルタント・システム構築体制も強化し、「現在の要員(専任80~90名)を3倍に増やしていく」(同氏)としている。
データ統合の高速化 | データ形式変換処理の高速化 | DWH-BI応答性の向上 |
2009/7/29 14:56