インフォマティカ、データ品質管理ソリューションの新版

日本特有の住所表記を修正するオプション機能を追加

 インフォマティカ・ジャパンは9月16日、データ品質管理ソリューション「Informatica Data Quality」の新バージョンとして、「Informatica Data Quality 8.6.2」(以下、IDQ 8.6.2)を同日より出荷開始すると発表した。

米Informatica データ品質事業部 上級副社長兼ゼネラル・マネジャーのアイヴァン・チャン氏

 新バージョンの発表にあたり、米Informatica データ品質事業部 上級副社長兼ゼネラル・マネジャーのアイヴァン・チャン氏が、データ品質管理市場のトレンドについて説明。「米国では、多くの企業がデータ品質管理のために積極的に投資を行っており、その市場規模も急速に拡大している。市場拡大の背景には、企業内のデータが価値の高い資産であることを認識していながら、それを効果的に活用できていないという実情がある。データ品質管理ツールの導入実態をみると、ビジネスアプリケーションの継続的な運用を始め、マスターデータ管理(MDM)、BIおよびデータウェアハウジング、システムやデータの移行と統合といった用途が上位を占めている」という。

 こうした市場環境のなか、同社のデータ品質管理ソリューションの成長戦略についてチャン氏は、「当社は、3年前にデータ品質管理市場に参入したが、現在では同市場におけるリーディングベンダーへと成長している。これは、当社が従来から実績をもっているデータ統合ソリューションとデータ品質管理ソリューションが密接な関係にあり、相乗効果を発揮できている点が大きい。特に、データ統合、MDM、BI、CRMにおける質の悪いデータによる顧客のリスクにフォーカスし、“あらゆるデータ領域をカバー”“業務部門とIT部門のコラボレーション”“データ統合と一体化したプラットフォーム”の3項目を常に念頭に置きながらデータ品質管理ソリューションの開発を進めている」とし、2009年第4四半期には次期バーション「IDQ 9.0」をリリースする考えを示した。


データ品質ビジネスにおける成長戦略入力時点でのデータ品質を事前に確保データ品質評価基準の設定、モニタリングができるダッシュボード

 今回発表した新バージョンのIDQ 8.6.2も、こうした同社の成長戦略に基づいたもので、全社レベルでデータの分析、クレンジング、マッチング、レポート作成および監視のための機能を提供する。顧客データだけでなく、製品、財務・会計、在庫、資材、価格、受発注、資産などのあらゆるマスタデータに対応できるため、業務プロセスの品質管理など、より多くの品質プロセスの改善が可能となる。

 新機能としては、データを入力した時点でリアルタイムにクレンジングを行うことで、事前にデータ品質を確保することが可能となった。また、データ品質の評価指標基準を設定し、その現状を個別にモニタリングできるダッシュボードを提供。これにより、問題の特定、分類、数値化を行うことができ、人間の判断により手動修正するプロセスの効率化を実現する。

 さらに、同社のデータ統合プラットフォーム「PowerCenter」との連携が可能となり、一つのプラットフォーム上で、データの分析からクレンジング、マッチング、連携・統合までのデータ処理を一気通貫で管理・サポートし、高品質なデータ提供、およびビジネスにおける迅速な意志決定を支援する。このほか、IT部門と業務部門の連携を実現する「Data Quality Assistant」機能を新たに提供。データ品質のビジネスルールやデータ品質目標を設定し、両者が協業してデータ品質プログラムを継続的に実施することを支援する。

日本向け住所情報検証機能をオプションとして追加
インフォマティカ・ジャパン 代表取締役社長の内田雅彦氏

 また、新バージョンでは、日本特有の住所表記の修正を行うための拡張機能として「Japan Address Validation(JAV)」をオプションとして追加。「JAV」は、富士通との戦略的協業の一環として共同開発したもので、住所/姓名辞書をベースにさらに高品質なデータクレンジングを可能にするとともに、より広範囲の業務に対応するクレンジングを実現する。これにより、日本市場においてさらに活用しやすく、迅速に実装可能なデータ品質管理製品としてIDQを提供可能となった。

 インフォマティカ・ジャパン 代表取締役社長の内田雅彦氏は、日本市場での販売戦略について、「日本市場におけるデータ品質管理ソリューションは、名寄せ用途がほとんどで、金融機関を中心に導入が進んでいるのが現状。そのため、他業種では、まだデータ品質管理ソリューションが本格展開されておらず、当社にとってはここに大きなビジネスチャンスがあると見込んでいる」と述べ、「特に今回の新バージョンは、あらゆるマスタデータをカバーし、さまざまな業種に対応できるとともに、日本特有の住所データ修正も可能にするなど、日本の企業システムにマッチしたデータ品質管理ソリューションとなっている。これを機に、データ統合に続いて、データ品質でも早期に国内トップシェアを獲得したい」と意欲を見せた。

 価格は4200万円(税別)から。新オプションのJAVは、毎月更新される住所データを含む年間購読料が470万円(税別)からとなる。





(唐沢 正和)

2009/9/16 18:43