「小売業は最重点業種の1つ」、日本オラクルが小売業向けソリューションの強みを説明


 日本オラクル株式会社は10月6日、小売業向けソリューションについての説明会を開催。自社の業種・業務向けアプリケーション戦略や、小売業向け機能の強みなどを説明した。

 ERPなどのビジネスソリューションを提供していたOracleでは、汎用のERP製品のみならず、業種・業務に特化したソリューションの提供を重視するようになり、技術開発を行うとともに、個々の業界向けソリューションのトップベンダーを買収してきた。ライセンス事業推進統括本部 インダストリーソリューションアーキテクト本部 本部長の塚越秀吉氏によれば、そうした動きの中で、特に重視してきた業界の1つが「小売業」だという。

 この分野では、2005年に米Retekを約6億7000万ドルかけて買収。同社の製品と、同じく買収したProfitLogic、もともとの自社製品とをあわせ、新ブランド「Oracle Retail」を立ち上げて、自社の戦略3本柱の1つである「コンプリート」、つまり完全なソリューションポートフォリオの提供を実現してきた。また、その後も企業買収を続けており、リテール向けの3D店舗設計ツールを手掛けるAdvanced Visual Technologyを買収するなど、さらなる強化も図っている。

ライセンス事業推進統括本部 インダストリーソリューションアーキテクト本部 ディレクターの和田清氏

 こうして機能を強化してきた結果、経営管理、業務分析、業務管理、顧客管理、インフラ関連など、小売業向けには多岐にわたるソリューションを提供できるようになったOracleだが、顧客からも、こうした点が評価されているという。ライセンス事業推進統括本部 インダストリーソリューションアーキテクト本部 ディレクターの和田清氏は、「小売業のお客さまの業務は、大きすぎて1つのフレーム上でできない、という場合が多い。しかし。それがゆえに各システムが独立してしまい、インターフェイスやバージョンの整合性を取るために、多大な労力を費やしているケースがある」という点を指摘。「当社のソリューションでは、全社業務をカバーできるほか、全部を入れ替えるのではなく、最適なソリューションを必要に応じて導入できる柔軟性がある」と述べ、その特徴をアピールした。

 そして、和田氏は小売業向けの具体的なソリューションとして、1)シフト計画、2)ロイヤリティ管理、3)小売業向けデータウェアハウス(DWH)の3つを紹介した。

Oracle workforce Schedulingの画面イメージ
ロイヤリティ管理ソリューションの概要

 1)は、シフト計画作成支援ソフト「Oracle workforce Scheduling(OWS)」を中核としたもの。従来のシフト計画はほとんどの場合が予算ベースで行われており、どのくらいの売り上げを上げないといけないのでこの時間は何人、というような形でシフトを積み上げていくことが多いという。しかしOWSでは、需要予測製品を組み合わせることにより、「日別、店舗別、商品別などの需要予測から必要な人員を算出し、それに基づいたシフト計画が行える点が強み」(和田氏)とのこと。

 さらに、各自のスケジュールをドリルダウンし、この時間に何の作業をやる、といったところまでをシステム側で定義できるため、重複した作業、無駄な作業を排除可能。また、作業内容を各個人に細かく落としていかないと、何の作業をしたらいいのかを迷ってしまう従業員もいるため、こうした作業の指示をだすことで、作業効率を向上させられるとした。

 2)では、CRMアプリケーション「Siebel CRM」のバージョン 8.1.1から強化された、ロイヤリティ管理の機能「Siebel Loyalty Management」を中核としたもの。プロモーションの作成・実行から、顧客対応、ポイント管理といった部分までを包括的にサポートしている。特に分析機能については、4つのダッシュボード機能を標準で備えるなど、充実した機能を提供する。

 和田氏は、「国内では、ポイントプログラムなどはかなりの企業で実施されているものの、顧客を分析する組織がないため、そこから先どうしていくかという部分が弱い。当社のソリューションでは、どういう分析をして、何をやらなくてはいけないか、という部分がセットになっている点が強みだ」としている。

 分析という部分では、3)の小売業に特化したDWHのソリューション「Oracle Retail Data Model」も重要な役割を果たす。「テーブルや属性だけでなく、キューブ、マイニングモデルなども事前定義されており、小売業で考えられる分析すべてを用意した。また、データモデルも、小売技術標準協議会のベースモデルに基づいた業界標準を用意している」(和田)点が特徴。これを活用することで、欠品の低減、地域密着品ぞろえの実現、効果的なマーケティング活動の実施、といった課題解決が図れるとしている。

 これらのソリューションは、国内ではまだ発表されて日が浅いため導入はこれからになるとのことだが、すでに米国では多くの実績が生まれており、特にDWHについては、大手のグローバル企業でも導入されているため、TBクラスでの実績もあるとのこと。また、DWHを分析できる能力がなくては意味がないため、高い処理能力を提供するDWHアプライアンス「Exadata」との連携についても、すでに実績があるとした。




(石井 一志)

2009/10/6 18:10