日本HPがブレードサーバー戦略を強化、「HP ProCurve」の10GbEスイッチなどを提供
新製品のBladeSystem向けProCurveスイッチ(左)とワークステーションブレード(右) |
米HP HP Networking ワールドワイドマーケティング バイスプレジデントのスティーブ・ダイチ氏 |
BladeSystem向けProCurveスイッチの特徴 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は10月15日、ブレードサーバー「HP BladeSystem」関連施策を発表した。「HP ProCurve」ブランドの10Gigabit Ethernet(GbE)スイッチをBladeSystem向けに提供し、さまざまな機能をブレードサーバーに統合する「Blade Everything」のいっそうの推進を図るという。また、ブレードサーバー筐体、ストレージ、ネットワークのキャンペーンを開始するほか、新しいワークステーションブレードも提供する。
日本HPでは、最新のブレードサーバー筐体「HP BladeSystem c-Class」を中核に、x86やItanium、NonStopなど、サーバーブレードのラインアップを強化。さらに、ストレージやバックアップ装置、ワークステーション、ネットワークなど幅広いブレード製品をそろえ、ブレードサーバーによるシステム統合ソリューションの提供を推し進めてきた。それを具現化するソリューションの1つとして、ソフトウェアやサービスと組み合わせた統合ソリューション「HP BladeSystem Matrix」を6月に発表。以後も、継続的に強化を図っている。
今回提供された「HP ProCurve」ブランドのスイッチブレードも、そうした方向性の延長に存在する製品。同ブランドのスイッチでは、ユーザーが製品を使い続けている限り保証を提供する「ライフタイム保証」や、統合された管理機能、迅速なセットアップとプロビジョニングを可能にする機能などを提供している。こうした特徴を持つスイッチがBladeSystemと統合できるため、「ユーザーはより俊敏性を増し、コストの削減、リスクの低減を実現可能」(米HP HP Networking ワールドワイドマーケティング バイスプレジデントのスティーブ・ダイチ氏)という。
残念ながら日本ではまだ、10GbEの導入がワールドワイドと比べて遅れているというが、大規模データを扱うアプリケーションの増加やサーバー仮想化の普及により、広帯域への欲求は高まっているとのこと。日本HPではこうしたことも考慮に入れて、仮想化やHPCでニーズの高いブレードサーバーと10GbEスイッチを組み合わせ、積極的に販売を進める考えである。
今回、新たに提供されるのは、10GbEアップリンクに対応したエントリーモデル「HP ProCurve 6120G/XG Blade Switch」と、全ポートが10GbEに対応できる上位モデル「同 6120XG Blade Switch」の2つ。前者はサーバー接続向けのGbEポート×16と、アップリンク向けの10GbEポート×3、GbEポート×6を、また後者はサーバー接続向けの10GbEポート×16と、アップリンク向け10GbEポート×8を備える。価格はそれぞれ、57万7500円から、136万5000円から。出荷は11月中旬より順次開始される予定で、両製品とも、良品先送り保守の通常のライフタイム保証に加えて、1年間のオンサイト保守が標準で提供される。
HP ProLiant WS460c G6 ワークステーションブレードの主なスペック |
ワークステーションについては、Xeon 5500番台を最大2基、DDR3メモリを最大96GB搭載可能な「HP ProLiant WS460c G6 ワークステーションブレード」を11月中旬に出荷開始する。価格は最小構成で34万1250円から。ワークステーション上で稼働する3Dグラフィックスアプリケーションの画面を、圧縮技術を用いてリモートへ円滑に配信するソフト「HP Remote Graphics Software」を活用可能な点など、ソリューションとしての特徴は従来と変わらない。
なお、日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 橘一徳本部長によれば、ブレード型ワークステーションを担当する部署が、PCのグループからサーバーを扱うグループに変更されたとのこと。これによって、「CAD、CAEをブレードアーキテクチャに集約して提供しやすくなった」(橘本部長)メリットが生まれたとしている。
またキャンペーンは、サーバー、ストレージ、ネットワークの各分野で連携して、2010年1月29日まで提供される。まずサーバー側では、「帰ってきたエンクロージャー315円キャンペーン」を実施。サーバーブレードを3枚以上購入した場合に、筐体を315円で提供するほか、オプション製品や追加のサーバーに割引価格が適用される。ストレージ側の「ストレージてんこもりキャンペーン」では、「HP StorageWorks EVA」とiSCSIストレージ「HP LeftHand」を30%引きで提供するが、ブレードサーバー側のキャンペーンと組み合わせると、さらなる特典が提供されるという。またネットワーク側の「今こそスイッチと接続キャンペーン」では、ボックス型レイヤ3スイッチが30%、シャーシ型レイヤ3スイッチが40%、それぞれ割り引かれる。
日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 橘一徳本部長 |
日本HPでは、こうしたキャンペーンを通じて、ネットワーク、ストレージといった製品群との親和性の高い統合インフラ基盤として、BladeSystemを積極的にアピールしていく考え。橘氏は、「市況の影響を受け、ブレードサーバーの成長率も落ち込んでいるが、BladeSystemにさまざまな要素を統合するという当社の戦略はぶれていない。当社としても、サーバー、ストレージ、ネットワークの各チームが連携したキャンペーンなどにより、日本市場にあわせた啓発活動を行っていく。パートナープログラムにも40社が加入し、パートナー経由の(中堅以下の市場に向けた)ビジネスを強化する素地(そじ)ができたと考えている」と述べた。
2009/10/15 14:58